種族解説:コールド・ドレイク
上古の終わり……この世に〈深淵〉が溢れ出た〈大崩落〉にあって、種族の存続を投げうって諸種族と世界を滅亡から救ったのは、他ならぬドラゴンたちであったと歴史書は伝える。確かに〈奈落〉の蓋は閉じられたが、その代償としてドラゴンは筆頭者である竜王らを喪い、種族として大きく衰退を遂げた。
〈大崩落〉後に続いた薄明の時代はまさに悲惨であった。ドワーフは岩戸の奥へ引きこもり、エルフは世の行く末に絶望して森へ還った。そして人間の古き諸王国はことごとく滅びるか分裂して名を変え、人の暮らしはかつての姿をとどめぬほどに退行したのである。
薄明の時代が終わり、現在へと続く晴間の時代が始まったのは1168年のこと。この年、国内平定を宣言した第7代神聖アルフモート国王ハインタウゼンの権威をケイポン国が正式に承認したことを区切りとする。
現在、人間の諸王国はかつての隆盛を確かに取り戻しつつあり、ドワーフやエルフの中にも、再び明日への希望を持つ者らが現れてさえいる。だが、薄明の時代が過去となった現在でも、過去の長い影が我らの足元に澱んでいることに変わりはない。
〈深淵〉の邪悪は確かに世界へと根を張り、その枝葉はくらやみの中で伸び続けている。かのおぞましき勢力は、この世を再び地獄と化す機会を、今なお虎視眈々と狙い続けているのだ。近年、大陸南部に突如として勃興した新興帝国の内実を知るものはまだ少ない。現時点で確実に言えるのは、晴れ間に覗いた青空が分厚い黒雲に閉ざされ、長く冷たい雨の時代が…もうすぐそこまで来ていると言うことだけだ。
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