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【「使える英語」を身につける】 英語のルール:7 つの C

ある程度英語ができて、テストの点も悪くないのに、いざ英語でコミュニケーションを取ろうとすると、相手から思ったような反応を引き出すことができない。
しっかり説明したつもりだったのに理解してもらえなかったり、ちょっと気の利いたことを言ったつもりだったのに相手に引かれてしまったり。

こういう現象が起こる原因はいくつかあるんですが、その中でも、自分の周りの、『日本語ネイティブ&英語学習中』の方に特に多く見られるのが次のいずれかのパターン。

  1. 言葉は英語だが、文の構成やロジックが日本語のまま

  2. 文脈やその場に合わない表現を使っている

  3. 『丁寧さ』や『気遣い』の感覚にずれがある

このパターンのどれかがコミュニケーションの問題となっている場合、英語の普遍的なルールを理解することで、コミュニケーションの精度をぐっと高めることができます。
そこで、今回から何回かに分けて、英語コミュニケーションの精度をあげるためのルールをまとめていきます。

『言葉は英語、思考の骨組みは日本語』問題

冒頭であげたパターンの根っこには、「言葉は英語に置き換えたけれど、実は日本語のルールでコミュニケーションを取ろうとしている」という問題があります。

具体例をあげるなら…

  • いらっしゃいませ

  • よろしくお願いします

  • お疲れさまです

  • お世話になります

こういった表現、訳すことはできますが、その訳語が日本語と同様の頻度、用途、感覚で使われることはありません。
そのため、訳した表現を日本語の感覚で英語コミュニケーションの場に取り入れると、英語圏では違和感を持って受け止められてしまう、というわけです。

これはつまり、『言葉は英語、思考の骨組みは日本語』問題と言うことができるでしょう。

そして、この『言葉は英語、思考の骨組みは日本語』問題、上記の例のような単純なものだけでなく、より長い会話、プレゼンテーション、会社の資料などでも見られます。

そして、日常のなんてことない会話では、こういうズレがあっても「この人ちょっと変わってるな」くらいですみますが、仕事だとそうはいきません。
内容にもよりますが、この問題はコミュニケーションの効率、効果ダウンに直結し、ビジネスに大きなマイナスのインパクトを与えかねません。

英語でコミュニケーションを取る上で、言葉や文法だけでなく、ロジックや言語感覚を英語に寄せていくことは、本当に大切なことなのです。

ロジックや言語感覚を英語に寄せる

では、ロジックや言語感覚を英語に寄せていくために、どうしたらいいか。
これは、理論を掘り下げるとそれだけで学問が一分野成立してしまうくらい奥が深い内容です。

そこで、ここでは、『使える英語を身につける』という観点から、実践的にコミュニケーションを取る際、その準備をする際に役立つ Tips にフォーカスしてまとめていきますね。

効果的な英語コミュニケーションのための 『7 つの C』

英語で効果的にコミュニケーションを取りたい場合、次の『7 つの C』を意識するとよいと言われています。

この『7 つの C』、もちろんこれがすべてということはないのですが、意識するとより効果的なコミュニケーションの実現に役立つことには間違いありません。
さらに、これらは英語に限らず、仕事の効率アップにも直結するので、英語「の」勉強になってしまわず一石二鳥!

※ 『英語「の」勉強 vs. 英語「で」勉強』というトピックは別記事にまとめているので、よかったらそちらも合わせて読んでみてください。

1. Clarity → コミュニケーションの目的や内容が明確でわかりやすい

下記ポイントを明確に定義すると、伝えたい情報の主旨が明確になり、相手の理解にもつながるため、Clarity が向上します。

  • コミュニケーションを取る目的は何か

  • 誰に対するコミュニケーションなのか

  • コミュニケーションを取る相手の特性、要望、期待値、好みなどは何か

  • 取った結果何が起こることを期待しているか(※数値、感情、影響など複合的に)

  • 期待通りの結果を生み出すために必要なものは何か

  • 期待通りの結果を生み出した後の次のアクション、または起こる現象は何か

  • 次のアクション、起こる現象に必要なものは何か

2. Completeness → 相手にとって必要な情報がすべて含まれている

自分のメッセージを相手に正しく伝えるために必要な情報と、相手が期待するアクションを取る気になった場合に必要な、次のような情報をすべて入れ込みます。

  • 相手が情報を処理するために必要な情報:データ、理論、分析結果など

  • 相手になにかしらのアクションを期待する場合、そのアクションに必要な情報とリソース:連絡先、参考資料、次のアクションのプロセスなど

3. Concreteness → ふわっと曖昧なところがなく、定義が明確で誤解の余地が少ない

これは日本語だとあまり強く意識するよう言われることが少ない項目なので、ここに関する期待値や感覚には言語による大きなズレがありそうです。
日本語環境で教育を受けてくると、思考を明確に言語化する練習をする機会が少ないので、そもそもあまりトレーニングされていない領域なのかもしれません。

ただ、逆に言うと、ここはトレーニング量の違いがそのままコミュニケーションの壁になっている可能性が高そうな領域でもあります。
そのため、日本語での思考を明確に言語化する練習をすると、それがそのまま英語力向上、さらには仕事の質の向上にも直結するかもしれないです!

  • 要望、要求、依頼、主張などがある場合は明示する(※感じの悪い表現にならないよう注意する必要あり)

  • 事実を示すデータや図表などがあれば活用する

  • 同義語が複数ある場合、可能な限り一義的な語句、表現を選択する

4. Conciseness → 的確かつ簡潔である

  • できる限り言葉数を減らし、より少ない言葉で、より直接的に目的に達する表現を選択する

5. Consideration → コミュニケーションの受け手の立場に立って考える

  • 1. で定義したコミュニケーションの対象となる相手の特性、要望、好みなどを考慮し、相手に伝わりやすく、理解しやすく、受け入れやすい表現を選択する

6. Courtesy → 相手に対する敬意、尊重の念を示す

相手に合わせて適切なレベルの丁寧さ、礼儀正しさの言葉づかいを選択します。

  • スラングや過剰な口語表現は、ニュアンスを正しく理解せずに使うと悪い印象を与えることがあるので注意

    • 日本で出回っている「ちょっと気の利いた英語表現」的な言い回しには間違ったものも非常に多いので、実際に英語圏の人が使う場面を見ずに使うと危険

なお、英語にも、様々に丁寧度合いの異なる幅広い敬語的表現が存在します。
これは日本語とは感覚が大きく異なる分野なので、これについては別途まとめます。

7. Correctness → 語句、表現、文法およびそれらの用法が正しい

語句、表現、文法の間違いは、日本語と同じように、話し手/書き手の能力や注意力などへの信頼の低下に繋がります。
英語学習中だとある程度ハードルが高い項目にもなりますが、できる限りミスを少なくする努力はするべきです。

なお、英語学習中の英語ネイティブの方が口頭での英語コミュニケーションに挑戦する場合、それなりに会話が成り立つ方であっても、下記の文法上のミスが非常に多く見られます。
これらは、「ネイティブじゃないからね」とある程度大目に見てもらえる語句の勘違いや表現の不自然さと違って、「教育水準が低い/ちゃんとしていない」という印象につながることがあるようなので、気づく度自分で直していくようにするといいですよ。

  • 主語に合わせた動詞の活用

    • 三単現の s など、単数/複数/人称の違いに対応する動詞の変化

  • 単数/複数の使い分け

  • 過剰な短縮形の利用

    • 短縮形は特に口語では非常によく使用されますが、フォーマルな表現ではないので、いつでもどこでも使うのはあまり好ましくないです

さらにレベルアップを目指す場合は…

さらにレベルアップを目指したい場合は、ある程度本腰を入れて英語世界のロジックを身につけることをおすすめします。
これも、

ロジックについて学ぶ/ロジック使いを練習するための教材・資料

ロジックは古代ギリシャのアリストテレスの時代から続く、とても奥深い学問。
これを掘り下げると本当にキリがないので、日常のコミュニケーションにおいては、『明確な根拠を前提として提示し、そこから導かれる正しい結論を示す』くらいの軽さで考えておくとよいでしょう。

ただ、より深くロジックを理解したい場合、”Logic: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)" や "Critical Reasoning: A Practical Introduction (English Edition)" あたりの、割とコンパクトでとっつきやすい本などを読んでみると全体像が見えて視界がよくなります。

加えて、GRE、GMAT、LSAT あたりにはまさにこのロジック力を測る Verbal Reasoning セクションがあるので、次のような問題集に取り組むと、学業やビジネスの場で期待されるベーシックなロジック使いを鍛えることができます。

Graduate(学部卒)以上のレベルはちょっとハードルが高いな…と思う場合は、子供向け、学生向け、先生向けのテキストなど、もう少しとっつきやすいものでもよいでしょう。

また、ロジック全体となると幅が広すぎ、逆にとっつきにくく感じてしまう場合は、手っ取り早くロジックの欠陥(Logical Fallacies)についてまとめた記事などを参照してみるのもありかと。

Logical Fallacies については、Purdue 大学 Online Writing Lab のこのページなどがわかりやすいのでおすすめです。
また、これ以外でも Logical Fallacy でネット検索するだけで、おそらく自分にとってわかりやすい英文記事などがたくさん出てくると思うので、いくつか見てみて、自分で構成したロジックと見比べ、精度の向上に使ってみてください。

では皆さん、Happy Learning :)

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