【「使える英語」を身につける】耳コピをやめて発音記号を活用!
以前、発音力の鍛え方 #1、#2 を書きました。
今回は発音練習について、日本語話者が陥りやすい耳コピ & 耳コピ系練習の罠についてまとめます。
「ネイティブ発音を真似」 → 発音力つきません!
「ネイティブの正しい発音を聞いて真似する」耳コピ系の練習、日本では非常に人気があるようです。
…が、耳コピ系の練習、発音力強化にはあまりつながりません。
なぜ、耳コピでは力がつかないか。
その理由は超シンプル。
日本語話者は、そもそも英語の音をそのまま聞き取れていないことが多いからです。
日本語のみの環境で脳の言語領域がある程度完成する年齢になると、それ以降、脳は英語の音を日本語の音に変換して認識するようになります。
「water」が「わら」、「party」が「パーリィ」と言っているように聞こえるのはそのせい。
『発音力の鍛え方 1 & 2』でも書いた通り、「Water」も「party」も、「わら」や「パーリィ」とは舌の動きや位置が全く違うので、音も全く違います。
ただこの違いは日本語耳だとわからない場合が多く、なんならいい発音、英語っぽい発音に聞こえたりします。
でも、英語耳だと、これが全部違う音に聞こえる。
つまり、耳コピ系練習で「わら」「ぱーりぃ」的発音を身につけてしまうと、英語圏の人から「癖が強くて分かりづらい発音だなあ」と思われがちな発音になってしまう、ということなんです。
苦労して、時間をかけて、行き着くのがそこになるなんてもったいなさすぎる!!
そうならないようにするためには、耳コピ系練習から発音記号を使った練習に切り替えるのがおすすめです。
…ただし、念の為の追記として、耳コピ系が全く役にたたないわけではありませんよ。
耳コピ系練習は、すでにある程度発音しっかりできる人が話すスピードをあげたい場合や、ドラマチックな喋り方や特定の訛りなどを身に着けたい場合などにはとても役に立つ練習。
そのレベルの人はどんどんやったらいいと思います!
ただ、まだそこまで行っていないのであれば、後回しにしておくのが一番。
そういうことです。
発音力アップのためにやるべきこと
1. まずは単語に集中
学問としての英語ではなく、コミュニケーションに使える英語のための発音力を身につけるためには、何よりもまず、一つ一つの単語の正しい発音を知ることが大事です。
よく、「英語は単語と単語がつながるから聞き取りにくい」とか「単語と単語をつなげるように発音するとよい」とかいう意見を耳にすることもありますが、あれは単語をきちんと発音できて速度があがれば自然にそうなります。
わざとやると違う音に聞こえるので、注意が必要。
日本語でも、例えば「お疲れ様でーす」を極端にだらしなく言うと「おぁぇーす」的な雰囲気の音になるかと思いますが、これを「おぁぇーす」と書いたまま発音したら、なんだかちょっと違う音になりますよね。
英語もこれと同じ、ということです。
作為的に単語と単語を溶け合わせる発音は、下手すると英語耳の人からすると「英語できないのにできるフリだけしようとしているなんちゃっての人」みたいな痛々しい発音に聞こえてしまうので、ホントにいいことが何もないです。
さらに、発音はよければよいほど自然になる → そもそも発音を意識されることがなくなるので、相手の目は文法や話の内容に向かってきます。
この状態でそちらのスキルが伴っていなかったら、「英語苦手なんだな」ではなく、「この人頭(または育ちやマナー)悪いな」という評価にすらなりかねないのです。
これ冗談でも誇張でもなく、本当に、自分の身の回りでもそう思われてしまっている方けっこういらっしゃいます。
ハイリスクすぎる!!
発音が苦手であればあるほど、単語一つ一つをしっかり言ってくれた方が、英語耳の人にとっても理解しやすいので、遠慮なくブツブツ切っていきましょう。
なお、リスニングはまた別のスキルなので、「リスニング力の鍛え方」で紹介した練習法で特訓するといいですよ!
2. 発音記号つきのオンライン辞書を活用する
英語の音を勝手に日本語の音に置き換えてしまう脳になってしまっている年齢の方は、英語音を脳に覚えさせるために、発音記号を活用しましょう。
このためには、発音記号が確認できて、音もその場で確認できるオンライン辞書を使うと便利です。
置き換え脳ができあがっている場合でも、脳は新しい文字を音とセットで覚えることはできます。
その性質を利用して、脳に英語の音をインストールしてしまう、ということですね。
そのため、いきなり単語に飛びつく前に、英語で使う発音記号を全部書き出し、各記号の音を先に覚えましょう。
発音記号一覧は、英語辞書の付録や中学生くらいの教科書や参考書などにまとめられていることが多いので、手持ちのものをまず調べてみてください。
発音記号と音をセットで覚える = 英語の音がインストール済になれば、今度はそれを英語の文字と紐づけて覚えていくことができるようになります。
オンライン辞書を見る場合も、発音記号を眺めながら音を聞くようにすると、「何の助けもなく音を聞く = 脳が勝手に日本語化する」罠に落ちなくてすみます。
日本語回路を経由せずに英語の音を覚えていくことができるようになると、リスニングも、発音も、両方伸びていきます。
これ、もちろん最初は大変ですが、慣れてくるとそれまでの苦労が嘘のように発音力がぐいぐいつくようになるので、最初だけ我慢して頑張りましょう。
3. 舌と口の動きを意識する
『発音力の鍛え方 #2』で、日本語話者の日本訛りの原因となる、日本語と明らかに違う口、舌の使い方をする音をまとめました。
発音記号を使って英語音を自分にインストールするときは、この舌、口の動きに最優先で注意を払いましょう。
よくある「R と L」問題なども根っこはここです。
Ra、La いずれも日本語にない音(日本語の「ら」と舌の位置が違う)だけれども、日本語の「ら」と似ているから、脳が勝手に「ら」にしてしまう結果聞き分けられなくなるのです。
ただ、舌や口を正しく動かせていれば、相手はちゃんと英語の音として正しく理解してくれます。
自分の耳では自分の発音の違いがよくわからないのに、相手はちゃんと理解してくれるという不思議な状況になるわけですね。
でもコミュニケーション上はそれで問題ないのです!
ここ、本当に大事なので要約して繰り返します。
自分の耳でそれっぽく聞こえる音は、英語耳の人にはそれっぽく聞こえないことが(しょっちゅう)あります。
自分の耳では違いがわからなくても、口や舌が正しく動かせていれば、英語耳の人は自分が発している音を正しい単語として理解してくれます。
優先すべきは正しい舌と口。
耳ではありません。
今回はここまで。
では皆さん、Happy Learning :)
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