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疲れを知らない子供のように読みたい児童文学:『嘘の木』と『カッコーの歌』

 みなさ~ん!
 児童文学、読んでますか!

読書の秋 Must Go On

 最近のアニメ、毎シーズン原作なろう小説のが入ってきてますよね。
 なろう小説ってつまり異世界ものじゃないですか。異世界っていうと基本は魔法とかなんとか、地球じゃできないことをするわけです。そういうのって本来はファンタジー小説、幻想小説の守備範囲なんちゃう?
 ってことは売れてる幻想小説、事実上なろうの上位互換として機能するんちゃう?

 あとはまあ、なろう小説って、読んでて楽なんすよ。展開もある程度決まってて、ストレスに晒されることが少ない。いやそんなん中高生ならともかくいい大人が甘えなさんな……とはそうそういかないと思います。なぜなら21世紀の人間が晒されてるストレスって、19世紀や20世紀のそれとは明らかに質が違うそれだと思うので。
 でもね、そういう疲れてる大人に、もっとピッタリのコンテンツがありますよ。過度なストレスにも晒さず、そのくせ甘やかすばかりでもなく、我々に大切な何かを思い起こさせてくれるような……
 そう、児童文学ですね。
 読めよ、児童文学。
 バブるオギャるも既に死語になりつつあるけど、幼児退行するのに遅すぎるってことはないんだよ?

名著2冊、待望の文庫化!

 今回はこれが宣伝したくて書いてるんですよ。
 全然案件でもないし(貰えるわけがない)、リンクもアフィリエイトじゃないんですけど。

 フランシス・ハーディングの『嘘の木』です。
 僕が読んだのは結構前なんですけど、本屋で見かけて「これ結構面白そうだな」と思って、でも3000円するんですよ。
 金はともかく本棚ってだいたい埋まってるじゃないですか。
 ちょっと考えようかな、と思って試しに図書館に行ったら置いてありました。ラッキー。

 いや、滅茶苦茶面白かったね。

 一応宣伝文句的には児童文学ってことになってるんですよ。あんまり覚えてないけど文字のサイズも気持ち大きかった気がしなくもない。でも全然子供向けの甘ったるさが無いというか、むしろ小学生がこれ読んでたら「ウチの息子って神童!?」ってなると思う……もちろん読めると思うけど、読みにくい要素が除いてあるだけで味付けは変わってない。
 あらすじとかはリンク先を見てください(アフィはついてないってば)。数多くの栄誉ある賞も受賞してます。

 それが最近文庫化されました。
 文庫と単行本って値段も本棚の占有スペースも全然違うし、単行本って中々持ち歩きにくいじゃないですか。「旅行中たっぷり読書しよう」と単行本持っていって、結局ほとんど読まずに重かっただけみたいなパターンがよくあるんですよ、僕の場合。文庫だとそれでも大した被害にはならないでしょう、結構鞄の底でページ曲がったりはしてるけど。
 文庫化されるメリットはそれだけじゃなくて、電子版も安くなってます。本屋に行ってがっしり厚みのある本に金を出すならともかく、電子書籍に3000円も払うのって抵抗あったりしません?
 でも、1300円で電子だと、これはもう全然アリなんですよ。普段なら安売りを待ちたいんですが、3000円だった時を知ってるとこの時点で安い。
 いや、まだ買ってません。結構個人的には紙で持ちたいかなって気がする本なんですが、迷ってます。電子ならそのうち更にセールが来るかもだし、普通に未読で積んでるのが沢山あるし。
 ってことで皆さん、買って読んでください。もしくは図書館で借りてください。お子さんのいる方は与えて反応を見てみてください。

  とか言って喜んでたら、さらに同じ作者の『カッコーの歌』も文庫化されました。これも僕は図書館で借りて読んだので、つまり本件に関して東京創元社には1円も払ってません。いいだろ別にホロヴィッツは毎回買ってるんだから。
 2冊揃えてもたったの2600円です。
 お子さんのクリスマスプレゼントにどうですか。
 自分が読みたくても、別に名目上そうすればいいんですよ。
 僕の父は小学生の僕に中央公論社の『世界の歴史』全16巻セット(普通の文庫なので普通に字が小さい)を形式上渡してから自分で読んでましたよ。まあそういうことするとこういう子供が育つんですけど(『世界の歴史』は結局全部読みました)。

文庫はいい文明

 こういうジャンルって部数が少なそうだなーとか勝手に思ってて、全然文庫化なんて期待してなかったんですよ。
 たとえば児童文学寄りの幻想文学だと、買って読んだ中だとこれが面白かったんですけど。

  なんかプレミアついてるのか値上がりしてますけど、定価3200円+税です。まーそこそこのお値段でしょう。気になるもの全部買ってると財布も本棚もどんどん余裕無くなってくんですよ。それはそれとしてこれは面白かったので読んでください。電子なら定価だから……いやでも3000円だからな……
 そんな中で↑の2冊も3000円クラスでした。それが1000円ちょいで手に入るって、もう破格ですよ破格。半額以下。
 ブラックフライデーとか言ってる場合じゃない、謎の令和最新型を安物買いしてる場合じゃない。
 読みましょう、嘘の木。

 あと今年も薔薇の名前は文庫化されませんでしたね……

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