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歴史と文化を6次化しなきゃ!②

第2回を講読していただき、ありがとうございます。
前回の概念整理を受けて、今回はその具体例について整理していきたいと思います。
「歴史と文化」と「6次化」については、次回にします。

ここまでは、

「歴史と文化」を「大切にしたい、大切にしなくては!」という思いがあっても、何が対象となるのか? がわからない! という意見も良く聞きますので、具体例を整理してみます。
ここでは対象を4つの分野に絞りましたが、日常生活のあらゆる場面に、その対象はおよびます。

≪郷土芸能≫
地域に残り、伝わる郷土芸能は単に「昔の娯楽」ではありません!
神楽をはじめ、多くの郷土芸能は、生業の盛行や災難の消除を願ったり、先祖の供養に励む気持ちが表れた、日常生活で結実した「人の想いの結晶」です。
日常生活の一部ですから、地域の地理的条件や気候的条件の影響を受けて、意匠や素材などに特徴が見られるかもしれません。また囃子や踊りの特徴から、その芸能の伝播経路が想像できるなど、地域性の特徴を紐解く糸口になり、アピールポイントになります。

≪訛語・方言≫
地域の特色は、聴覚でも感じ取れます。
画一的な鉄道駅に降り立ったとしても、人々の会話が土地の言葉で交わされているのが聞こえた時「いつもと異なる空間である」ことは容易に認識できます。
訛(なまり)や方言は「変わらない、変わりにくい地域の特徴」であるとともに「隠れやすい特徴」であることも事実です。
地域の言葉を発掘し、どのようにパッケージ化して届けるか。
工夫が必要とする地域の特徴ですが、活かし方によっては大きな魅力を発揮します。

≪食文化・地域食≫
地域の食事は、それが日常「ケ」で食される素材・調理法であれば、その地域の気候・気象、地形・地理、風習・風俗と相互に影響を与えながら確立された献立ですから、真に他所とは異なる地域性です。
まさしく「地域の食(フード)」「風土(ふうど)」が作り上げた、地域性の代表と考えても良いと思います。地域食は「その地域が何であるか」を語る際には、最も適した素材の一つです。特徴的な地域食を、地域の魅力発信から外すことはできません。

少し前「B級グルメ」イベントのブームがありました。その功罪を語るのは難しいですが、一つだけ。
B級グルメイベントは、地域食の特徴をアレンジして「受けの良い観光食」にしてしまいました。この傾向が強いほど、原形から遠ざかり、本来地域食が持つ「地域食の(ばっく)ストーリー」を見失いやすく、脚光は一時的になりがちです。

≪生業・伝統工芸≫
地域での生業(なりわい)。地域で取れる素材を生活に役立てるために始まり、続けられてきた生産活動ですが、高度経済成長期以降に、地域の地理的・気候的・風習的特徴が崩され、衰退したものも多いです。
今でも続いていても、素材の地域性が失われ、生産技術も革新が進み、中には「産地:海外」となってしまったものもあります。
では、それは「地域の生業文化」ではなくなったのか?

そうではナイと思っています。
それは、地域で始めた人々と続けた人々の想いがあるからです。でも条件があります。
歴史的に確認が取れること。そして人々の想いをストーリーとして発信、または商品に添付すること。

しかし商品となると、あっちが「本家」、こっちが「本店」、そっちが「元祖」となりがちです。自らが意図していなくても、巻き込まれる可能性がありますので、情報を整理して周知していきましょう。


次回は6次化について書きます。

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