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あまりに怖い体験の記憶は失くなる

いつも、お読み頂きありがとうございます。
たくさんのスキやフォローに感謝しております。
私には、芸術的な感性がありませんので、皆様のお写真やイラスト、俳句、短歌が衝撃です。

また、短編の小説を毎回、書いていらっしゃる方々の創造性にも感嘆するばかりです。

良い刺激を頂いております。ありがとうございます。

今回は、過去に人様からお伺いしたお話しの中から、「記憶がない」という結末のお話しをさせて頂きます。

お付き合いお願い致します。


記憶を失くしたお話し

仕事でも、プライベートでも、仲が良くなった方々から、時折、怖いお話しをお伺いします。

そうしていると、共通点のあるお話しに遭遇することがあります。

例えば、お話し自体は全く違うのに、ある部分だけは、同じであったり、シチュエーションに共通点はないのに、落ちだけが同じであったり。

その中で、特に印象強いのが「最後の記憶がない」という共通点を持ったお話しです。

前にも少しだけ触れたことがあるのですが、不思議体験をしたご本人様が「なぜか、記憶を失くしている」パターンがあるのです。

それなので、お話しとしては成り立ちません。一番、大切な箇所が抜け落ちているのですから。

聴く側も「ふーん」で終わってしまうのです。


ですが、この手の方々は、その体験自体を「異常に恐怖」されています。

話すことに躊躇し、汗をかきながらお話しになるのです。


私は、ここから気がつきました。

この方々は「自ら、記憶を消したのだ」と。

怪異がこの方々の記憶を消したのではありません。

体験者、自らが「己を守るために記憶を消してしまっている」のです。

見てしまったものを覚えているとショックに耐えきれない。だから、無意識に記憶を消したのです。

そんな「記憶を失くした体験」を初めて聞いたお話しです。


雰囲気の悪い旅館

これは、以前一緒に仕事をしたことのある年長者の方がお話ししてくださったものです。

いろいろな経験をされている方でとても面白い方でした。

仮に「Wさん」とさせて頂きます。

このWさんが、大手電話会社の慰安旅行に参加された時の体験談です。


Wさんは、大型バスをチャーターし、有名な温泉地を訪れました。車中、かなりお呑みになり、どんちゃん騒ぎだったそうです。


宿泊先が由緒のある古い旅館だったらしいのですが、霊感もなければ、お化けなど信じない、更に大分、酔っ払ったWさんが、ここに着いた時、「何か嫌な感じ」を受けたそうです。


古びていて汚いなどではなく、「暗い」「寂しい」印象でした。

同僚の方達も、同じ感想で、「なんか、暗いね」と仰っていたそうです。


旅館の方々は、至って普通。可もなく不可もなく淡々とされているイメージでした。

こうなると、大の大人が揃いも揃って「怖い」などと言うわけにもいかず、皆さん、なるべく気にしないように、お過ごしになられました。

そうはいっても、実際は気になっていらっしゃるので、誰とは言わず、お酒を呑み、早く寝てしまおうということになりました。

必然、どんちゃん騒ぎをする雰囲気はなく、寝るための準備をそそくさとされたそうです。

Wさんは、「この時点で、皆、おかしかったよね」と仰られていました。


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ニタニタ笑う男、記憶は消し飛ぶ


真夜中

Wさんは窓の外からする音で目が覚めたそうです。お泊りになったお部屋は一階で、外はすぐに庭です。

ズルズルと何かを引きずる音が、かなりな音量で聞こえていました。

「こんな夜中になんだよ、庭の手入れでもしてるのか?」若干の怒りを覚え、半身を起こしました。

他の皆さんは寝ています。

「うるさいなぁ。一言、いってやろう!」とカーテンを開けました。


物凄い笑い顔を浮かべた軍服の男が窓に張り付いていたそうです。ニタニタ、ニタニタと。


残念ですが、ここで記憶はないそうです。

兎に角、総毛立つほどの恐怖を感じたことだけは、覚えているそうですが。

気がつくと、窓際で倒れていました。全身は汗でびしょ濡れだったそうです。

Wさんは、同僚にも、旅館の方にもこのことは、話さずに帰ってきたそうです。

「なぜですか?」とお伺いしたところ、「あまりに尻切れトンボの記憶で、何があったのかも分からず、話すことができなかった」と仰られていました。

そして、「思い出そうとすると、怖いんだよ笑」とも仰っておりました。


終わりに

詰まるところ、Wさんが何の音を聞いたのかも、その身に何があったのかも分かりません。

果たして、Wさんに何があったのでしょうか…


後日、このお話しを違う友人達に話したところ、友人達が言いました。

「それ、分かる。俺たちにもある…」

この友人達、数人で心霊スポットに赴いた時に、何かを見たそうなのですが、全員で何も覚えていなかったそうです。

私は、この時点で初めて、「ゾッ」としました。

「そんなことがあるんだ。人間は怖すぎると記憶が飛ぶんだ」と。

記憶を消したくなるほどの恐怖体験とは一体、何なのでしょうか。

想像すると怖いですよね笑。何を引きづっていたのだろう?


最後までお読み頂き有難うございます。

何の作用なのか実際には分かりませんが、人はあまりに怖い思いをするとこのようなことがあるようです。


皆様がお幸せでありますように。

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