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陽だまりの粒 外伝⑤終盤

「貴代ちゃん何で咲は暴れたんだ」美彩が貴代から話を聞き出そうとしている。
「それがさ~…」

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PM 12 : 25

4時間目の実習が終わり、昼休みに入った時の事

「歩美ちゃん一緒にトイレに行こう」
「うんいいよ、咲ちゃんさぁ何で玉ねぎを刻むと涙が出るんだろうね?」
「ホントホント、あれ何とかして欲しいね」

咲と歩美が女子トイレに入ると、咲は妙な胸騒ぎを感じて、歩美を連れて一旦廊下に出た。

廊下を出た所で貴代と優子が合流して、
咲がトイレに不審者がいる事を3人に伝えた。

「歩美ちゃん他のトイレ使って」
「咲ちゃん大丈夫?」
「多分大丈夫」
咲は首にかけていたロケットペンダントを首から外すと、ペンダントを開いて写真を皆んなに見せてから「和君お願いです、私に力を貸して下さい」と言ってペンダントを貴代に預けた。
掃除用具ロッカーから、モップを1つ出し、水道蛇口にホースを取り付けた。

「さあ〜行くよ」咲はトイレの入り口のドアを開くとトイレの中に入り、誰かが入っている個室の右隣に入った。

ガチャと鍵をかけ便座に座らずにワザと水を流して相手の出方を伺った。
少し待つと、個室の上からマイクが静かに降りてきて、咲が入っている個室を上から覗く安倍の姿も現れた。

咲と目が合った安倍はマズいと言った顔をすると、逃げるために下に降りてドアを開けたが、ドアの前で待ち構えていた咲に掃除用のモップのえの部分で頭をぶっ叩かれた。
不意を突かれた安倍が個室の中に隠れて鍵をかけて籠城しようとしたが、咲は水道のハンドルを全開に回して掃除用のホースを安倍が隠れた個室の上に向けて水を放水した。

「うわぁぁぁ〜」個室の中から声にならない声がして、びしょ濡れになった安倍が個室のドアを開けて外に出て来た。
それを見た咲は安倍の顔面目掛けてホースの水を放水して、ばちゃばちゃばちゃと水が辺りに跳ね返って床を濡らした。

「貴代ちゃんと優子ちゃん後は頼むから」と言って咲はトイレから出ると、もうそこに戻っては来なかった。

トイレの周りに食物科の生徒が集まり、トイレから出された安倍を皆んなで取り囲んだ。
「おいこら!おめぇここで、何してんだよ」
貴代と優子が個室の中から、踏み台と何かを録音するためのラジカセとマイクを持ってきて、
安倍の前に叩き付けた。
「何だこのラジカセは?」
優子がカセットテープを巻き戻して再生すると、水を流す'ゴー'という音の後にオシッコをしているような音が録音されていた。
誰かが「これオシッコしてる音だよね」と言い出すと、コイツ気持ち悪いと言って一斉に引いた。

歩美が担任の藤倉を連れて来て、安倍は生徒指導室に引っ張っていかれた。

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「と言うわけよ」貴代がこれまでの経緯を説明すると。
「成る程ね、安倍は変態だって事で決まり」とみどりは掃き捨てるように言った。

その時、部室の戸が開いて咲が入って来た。
「私今週一杯停学だってさ・・・だから帰るね」
誰もが信じられない顔をして固まってしまった
「ちょっと咲、安倍も停学か?」里香が咲に尋ねた。
咲は無言で首を横に振りやるせない表情をした。

「その差は何なの?」貴代が咲に聞いてみた。
「あのね貴代ちゃん、アイツが女子トイレに入ったのは事実だけど、それ以上の実証する証拠がないの」
「えぇ…要するに咲が用を足していたら、覗きで捕まえられたわけ?」
「そうなんだろうね」咲はやってられないと無愛想に答えた。

「帰るよ」咲はそう言って部室を後にした。

「よし!抗議する為に皆で帰るか」里香が音頭を取ると、そこにいる全員が賛同して、この案をクラスに持ち帰ることにした。
廊下を歩きながら「智ちゃんレポートに書いてあった、刺身って何❓」と里香が智美に質問すると、智美は話づらそうな態度を取った」、「慎ちゃんは、咲で女体盛りでもするのかって大笑いしたんだけど、うちのスーパーの刺身の予約に安倍の名前があったのよ、近所ならともかく、あれの家はNECの近くだよ!全然近くないから…」

「ねえ里香、女体盛りって何?」美彩が里香に尋ねて来た為に、里香は智美の表情を伺った。
「あのね、美彩さん知らなくても良いこともあるんだからね」と智美は美彩に言うとさらに続けて、「女体盛りは、裸の女の人の体に刺身を盛り付けして変態をもてなす事なのよ、箸で乳首を摘まんだり、刺身に醤油を浸けるようにそれを局部に付けて食べたりする、日本が世界に誇るど変態文化なのよ」
「何でそんな事知ってんだ?さすがにそれは気持ち悪いって」美彩はそう言うと不愉快そうな顔をした。

話を聞いた三年生の女子が続々と帰り始めて、その勢いが一・二年生まで伝わり、校庭は学校をボイコットして帰る女子で溢れ始めた。

「安倍が咲で女体盛りをしようとした話をダーリンが聞いたら大変な事になるね」里香が智美に言うと、智美は「今夜、私からダーリンに伝えるつもりだよ」と淡々と言って、「ダーリンの怒りで、安倍は大気圏を飛び出して、宇宙の果てまでぶっ飛ばされるだろうな」と二人の意見が一致した。

#小説 #エッセイ #恋愛 #青春 #女子高生

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