新規作成、再生、一時停止
開かれた人生に憧れているまま、いい年になっしまって、閉ざしてきた日々を呪いながら、いつも同じものを食べて同じ場所に行く、そのままでいるつもりはないけど、大きな変化を起こすのは心身共に労力が必要で、ひたすらに重力が邪魔をしない部屋が欲しい。
縮こまったままになっている、乾涸びているのとは少し違う、乾涸びているというのはつまり、水分がない、水分を保つための膜が壊れ始めている、壊れている、壊れてきた、壊れた、壊れていた、でも私は違う、内側に水分と言葉を溜め込んでいるから、それがいつまでも冷え続けているからで、それは冬の日に限って思い知らされる残酷さ、部屋の中にいるから余計に寒いのと似ていて、勇気と必然だけあれば、一歩外に出ることができれば、何一つ支度をしなくても誰かに見られて困る自分なんていないことを知ってあれば、鍵を手に取ることができれば、冷たさを感じない速度でドアノブを握って離してしまうことさえ出来れば、それだけで
求められている、許される、人を傷つけない、愛される、認められる、振る舞いを、すべて忘れて裸足のまま人と歩きたい。
相手が夜なら私も夜を、朝なら朝を、怒りには共振を、悲しみには共感を、喜びには増幅を、加虐欲には肉体と底なしの献身を捧げ、そうして過ごした時間は諦念と隈だけを残して去っていったから、もういやだから、全部消してしまいたいから、あんなふうに、二度となりたくないから、起き上がってお皿を洗う。
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