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バイイング イン インド☆my traveling diary Ⅲ 人生初の買い付けと、ビーマンバングラディッシュエア

Ⅲ  

さて、肝心のお店をオープンするための『バイイング』だが、タイでは思っていた以上にことがスムーズに進んだ。バンコクのカオサン付近では、いつも作品作りに使っている素材が日本で購入する値段の半分以下で買えた。バンコク1のチャトチャックマーケットでは、貴重な古いビーズも手に入った。何気なく立ち寄ったオフィス街では、アフガニスタン人の経営するショップにも遭遇し、当時好きだったアフガニスタン刺繍の良いコンディションの雑貨をたくさん買い付けることができた。より山岳民族の居住地に近いチェンマイでは、お目当てのカレンシルバーや美しい山岳民族による刺繍の布製品も見つけることができた。ただ、私がアクセサリーのかなめとして使用しているジェムストーン(半貴石)についてはしっくりくる出会いがなかった。
大きなココナッツの殻でできた柄杓が気に入って購入した頃だっただろうか。一体何をお店のために買うべきなのか、私の中で混乱が生じてきた。自分の作品の素材探しが最優先、プラス手作りされた美しいモノを一緒に並べるという何となくの計画はあった。しかし溢れるほどのモノをひたすら見てまわっているうちに、観光客のようにただ気に入ったモノを買っていて良いのか? バイヤーが行く店というものが他にあるのではないか? 日本で見たこともないようなモノはもうタイにはないのか? そもそもどのようなスタイルの店にするのか。。。ぐるぐるとまわる頭で、ひたすら歩きまわっていた。

迷いや不安はおおいにあったのだが、頭と心と体をフル稼働させて毎日を過ごしていると、まるで自分の中からエネルギーが溢れ出てくるようだった。ひとまず自分の作品づくりに使う重要な素材が手に入ったので、人生初のタイでの買い付けは満足だった。

次の行先であるネパールに行く準備をした。手に入れたチケットはダッカ経由で行くビーマンバングラディッシュ航空だった。往復で約4万円ほどだったか。
リスが木の実を蓄えるように、せっせと買い付けたモノを部屋に運び入れ、それらをパッキングしてPost Officeへと持ち込み、送る作業までを一人で終えると、ネパール行きの空港ゲートではさすがにげっそりしていた。同じゲートには一人旅であろう旅人もちらほら見られ、少し安心した。中でも日本人似の若い女の子がいたことは、初ビーマン搭乗を恐れていた私には心強かった。しかしこの時私にはこちらから話しかけるパワーは残っていなかった。彼女はのちに、あなたは私より若く見える(私は童顔)。でも、ゲートであなたをはじめて見かけたとき、40代の女性に見えたわと語った。私はその時30代前半。。。疲れは女性の大敵である。
ダッカの空港に到着後、この国に一泊することはわかっているが、一体どこに行けば良いのかわからずきょろきょろする私に、その女の子が話しかけてきた。 
Yは韓国人の26歳。長く、美しい黒髪に、眼鏡をかけていてもその奥の美しい顔立ちを隠せないスラっとしたべっぴんさん。おまけに性格がとてもキュートで、誰もが彼女を好きにならずにはいられないといった感じの女の子だった。真っ赤なバックパックはまだ新しく、旅慣れているようには見えなかったが、一人旅をエンジョイしているのは伝わってきた。
航空会社が用意しているダッカの街中のホテルでは、Yと相部屋になった。彼女は英語が流暢だったので、すぐにたくさんの話をして仲良くなった。Yは同じ飛行機でここまで来た若いフランス人男性にすでに言い寄られていた。その男性は彼女に、なぜネパールなんだ?インドの方が絶対に面白い。一緒にインドへ行こう!と執拗に誘っていた。彼はダッカ経由で翌日インド行きの便に乗るのだ。 私は困っているYとしつこい男性をぼーっと眺めながら、多くのインド好きが語るインドのスペシャル感について考えていた。またこの人も言っている。何なんだインドって?? しかしその時はまだネパールにも到達していない自分がインドに行くなんていう想像はまったくつかなかった。


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