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新しいパーパスを「世界の常識」を変えながら伝えていく【パイロット&ヘラルボニー】

ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに、企業様とさまざまなカタチでコラボレーションし、社会課題の解決を目指しています。

今回登場いただくパイロットコーポレーション(以下パイロット)には、消せるボールペン「フリクション」へのアートの採用をはじめ、ヘラルボニーのDE&Iを学ぶ体験型プログラム「DIVERSESSION PROGRAM(ダイバーセッション・プログラム)」への参加、HERALBONY Art Prize 2024 への協賛をしていただきました。

パイロットとヘラルボニーのコラボレーションがスタートしたきっかけから取り組み、成果、今後について、経営企画部経営戦略室課長・木内雄さん、グローバル企画部フロント商品企画課・宮崎澪奈さんに、お話を伺いました。

今回のコラボレーションで起きたこと

  • 2022年に初めて制定した企業パーパス「人と創造力をつなぐ。」を体現した、従来にない企画

  • 高機能、高品質の商品に情緒的な価値をプラス

  • 社員が研修に参加することで、アンコンシャス・バイアスの気付きとチームビルディング効果を実感


世界の常識を変えた消せるボールペン「フリクション」が、異彩作家の常識を超えたアートと出会う

――2007年の発売以来、世界中で愛用されているパイロットのフリクションのグラフィックデザインに、ヘラルボニー作家のアートを採用していただくことになりました。まずはそのきっかけを教えて下さい。

宮崎澪奈さん(以下、宮崎):弊社の社員で、ヘラルボニーのドキュメンタリー番組を見て感銘を受けた者がいまして、社内でその素晴らしさを力説していたんです。私も興味を持ち、ヘラルボニーの作家さんたちのアートを見てみると、すごく素敵で。このアートと弊社の商品とを組み合わせた、全く新しい商品を開発したいと考えました。

木内雄さん(以下木内):弊社では2022年に、「人と創造力をつなぐ。」というパーパスを制定しました。

このパーパスには、全ての人の中には「創造力」があり、何かを生みだすこの「創造力」こそが人の存在する意義であるという考え方が前提にあります。弊社が提供する筆記具をはじめとした製品やサービスを通して、それをエンドユーザーに感じてほしいという想いが込められています。

ヘラルボニーさんとのコラボレーションを通じて、作家さんをはじめ、何かを創造する人を支えたい、そうすることでこのパーパスを体現したいという思いもありました。

 ――御社のパーパスとヘラルボニーの親和性に着目してくださったのですね。では、コラボレーションする商品として、フリクションを選ばれた理由はどんな点にあったのですか? 

宮崎:今回コラボレーションをする商品として「フリクションボールノックゾーン」を選定しました。発売当初、フリクション自体が「消せるボールペン」ということで従来の常識を覆した商品と言われたこと、また、この商品は「解放しよう」をコンセプトにクリエイティブなシーンに向けた商品で、アート作家の方々が放つ「異彩」とも、世界観がとてもマッチすると考えました。

――様々な共通点から生まれたコラボレーションだったのですね。筆記具にアートを落とし込む過程で、大変だったことはありますか?

宮崎:筆記具は平面ではなく曲面で構成されていますし、スペースも限られ
てます。その点を考慮して、ペンに落とし込んだときにどの角度からも作家さんのアートが魅力的に見える作品、アートの価値が最大化されるような作品を選びました。

――そして今回6作品を採用していただき、そのうち1作品は小林覚さんが今回のために描き下ろしたオリジナルのものとなりました。

宮崎:今回のコラボレーションのコンセプトが「思うままに かく をこえる」です。小林覚さんは文字も色も直感で選んで、思うままに文字をアートにするという点でも今回のコンセプトにぴったりだということで、オリジナルのアートをお願いしました。

一番手前が小林覚さんの作品を採用したフリクションボールノックゾーン

 ――そうして完成した商品を見て、どう思われましたか?
 
宮崎:
1本1本がとても魅力的で、純粋に嬉しかったです。社内の反応もすごくよくて。「完成度が高い」「アートが素晴らしい」「作家さんの思いや背景をちゃんと伝えたい」といった声が聞かれました。

もちろん、私自身もアートに込められたストーリーをきちんと伝えたかったので、今回オリジナルアートをお願いした小林覚さんが描いている姿を撮影させていただき、その動画は社内や販売店などに向けた展示会でも公開しました。

――ストーリーを伝えるために、動画も作ってくださったのですね。動画を見たお客様の反応はいかがでしたか?

宮崎:まだユーザーの元には届いていませんが、販売店の方からは、従来のコラボレーションの域を超えた今回のような新しい企画は心に訴えかけられるものがあり良いですねという声がありました。

また、販売店の方からはヘラルボニーとコラボレーションした理由や、このコラボレーションが今後も継続するのかと聞かれることも多く、これは従来にない反応で新鮮でした。

――そこまで興味を持ってくださったのは嬉しいですね。販売店の方がコラボレーションを継続するかどうかを聞かれた意図が気になります。

宮崎:やはり単発の企画ですと、一過性の反応で終わってしまうことも多いからだと思います。企画を継続することでより広く、よりたくさんの方に商品を目にしていただき、商品だけでなくその背景についても深く知ってもらいたい。販売店の方もそういう想いを持ってくださったように感じました。

――販売店の方がそこまで考えてくださったとは嬉しいです。今後店頭に並ぶのが楽しみです。

新しい気づきに満ちた3日間の体験型プログラム

――製品でのコラボレーションの他にも、パイロットとはさまざまな取り組みをご一緒しています。

例えば、経営企画部、人事部の方々に、ヘラルボニーが提供している、組織のDE&I(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)を促進する体験型プログラム「DIVERSESSION PROGRAM(ダイバーセッション・プログラム)」を受講いただきました。そのきっかけについて教えてください。

木内雄さん(以下木内):弊社は1918年に日本で創業しましたが、業界内でもかなり早い1926年に海外進出し、現在では世界190以上の国と地域に展開しているグローバル企業です。
一方で、変化の多い時代に、継続的な成長に向けて、社員全員が日々の職務にやりがいを持てるよう、2022年に先に述べた「人と創造力をつなぐ。」というパーパスを制定。それを機に会社の変革を加速させ、DE&Iについても解決していくべきサステナビリティ重要課題と考えるようになりました。

そこで自分たち自身の「学びの機会」を探していたところ、ヘラルボニーとの商品開発の打ち合わせの場で、ちょうど企業向けのDE&I研修事業を始めたことを教えてもらったんです。しかも座学というより、体験重視の学びの場を探していたこちらの希望ともぴったり合致していたため、研修への参加を決めました。

とくに私が所属する経営企画部や人事部はDE&Iの推進役であるわけですから、まず先頭を切って参加することになりました。

――ワークショップは、ボードゲーム型ワークショップ、福祉施設訪問、アート創作ワークショップと体験重視の研修で構成されましたが、参加されていかがでしたか?

木内:特に印象に残ったという声が多かったのが、ボードゲーム型ワークショップ「異言語脱出ゲーム」。参加者各自「目が見えない」「耳が聞こえない」「10個のワードしか話せない」などの設定で、チーム一丸となって難題に挑むというゲームです。

このゲームを通してマイノリティを疑似体験することで、自分の「アンコンシャス・バイアス(無意識の偏った物の見方)」と向き合うことになりましたし、お互いの違いを認め合いながらチームビルディングしていく過程で多くの気づきがありました。

例えば、弊社は新卒から長年勤めあげる社員が多く、顔も名前も知っている社員が多数を占めています。そのため日常的に言わなくてもわかるよね?」という暗黙知*が非常に多い集団であることに気づかされました。

*個人の経験や勘に基づく言葉で説明できない知識や技術

 ――3日間でいろいろな気づきを得ていただいたのですね。

木内:はい。他にも福祉施設を訪問し、作家さんに直接お会いし、制作活動を見学した時間も非常に有意義でした。それまでヘラルボニーが掲げる「異彩を、放て。」という言葉は、障がいのある方々の才能を放つという文脈と捉えていたのですが、自分自身も「異彩を、放て。」と問いかけられているのだと実感しました。とても感銘を受けました。

このさまざまな気づきを、今後、社員一人ひとりの具体的な行動変容へと繋げていきたいですね。

グローバル企業として、世界中の障害のある作家さんの才能が集まるアートプライズに協賛

――さらに最近ではヘラルボニー主催の国際アートアワード「HERALBONY Art Prize 2024」にシルバースポンサーとして参画いただきました。

宮崎:このアートプライズの趣旨に賛同したのはもちろんですが、当社のメイン事業である「筆記具」とアートは親和性が高く、パーパス「人と創造力をつなぐ。」のもと、協賛を通してアーティストたちの「創造する力」を支えたい、また世界中の障がいのある作家さんの作品が集まる、世界規模のアートプライズとお聞きして、グローバルに事業を展開する弊社としてもぜひ協賛したいと考えました。
また才能ある作家さんの活躍を後押しすることで、従来の「障がいとアート」のイメージを塗り替えるという趣旨にも賛同しています。

――ありがとうございます。最後に今後ヘラルボニーに期待することがあれば教えてください。

宮崎:今後も筆記具をメインに扱う弊社だからこそできる、さまざまなコラボレーションを通じて、アーティストの皆さんがありのままに創造力を発揮できる社会になるよう、支えていきたいです。そして、このような取り組みを通じて弊社が目指す「人と創造力をつなぐ。」を実現し、世界中に広めていきたいと考えています。

木内:ヘラルボニーの松田両代表がお話された、とても好きな言葉があります。それは、「障がいのある方が直面している壁があったとしたら、その壁を少しでも低くしたい。階段があったとしたら、その階段を少しでも緩やかなスロープにしたい。スロープに段差があったとしたら、段差を取り除きたい」という内容でした。

ヘラルボニーが、そうした段階を踏みながら着実にそういう世界を目指してることに私たちも共感していますし、今後も継続的にお手伝いができたらいいと考えています。

そして、弊社製品の高品質で高機能という従来の価値に、ヘラルボニーとのコラボレーションで得た情緒的な価値をプラスし、企業価値も高めていければ嬉しいです。



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