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バックヤードから、約1万人の従業員が「この会社で働いていてよかった」と思える仕掛けを【阪急うめだ本店&ヘラルボニー】

ヘラルボニーは「異彩を、放て。」をミッションに、企業様とさまざまなカタチでコラボレーションし、社会課題の解決を目指しています。

 今回ご登場いただくのは阪急うめだ本店。2022年の全館イベント「HARMONY FOR THE SMILE」にて大規模な催事「ヘラルボニーアートコレクション」を開催したのを皮切りに、さまざまな共創を進めてきました。
そして今年5月には、従業員用バックヤードをヘラルボニーの異彩アートで彩り、すべての人の感性を刺激するような素敵な空間が誕生しました。

こちらのプロジェクトを担当されたOMO販売推進部ストアデザイン部ディビジョンマネージャー・杭原誠さん、ストアプロモーション推進部マネージャー兼サステナビリティ推進担当・山下達也さん、ストアプロモーション推進部ディビジョンマネージャー・奥尚子さんに、取り組みのきっかけや、成果や今後の抱負までを伺いました。

今回のコラボレーションで起きたこと

  • 発信したストアメッセージを、浸透させるための施策までご一緒

  • 従業員が自発的にアクションを起こすようになるきっかけ作りに

  • 初めてのバックヤード装飾で、約1万人の従業員が誇りが持てる環境へ手応え


従業員に、ストアメッセージ「世界に、あそび心を。」を浸透させるために

――従来さまざまな取り組みで共創させていただきましたが、今回は阪急うめだ本店の従業員さんが利用するバックヤードのデザインをヘラルボニーが担当することになりました。そのきっかけや経緯を教えてください。

山下達也さん(以下、山下):まずはその前段階として、弊社で毎年発信しているストアメッセージがあるのですが、2024年度はヘラルボニーの皆さんに「世界に、あそび心を。」という素敵なメッセージを考えていただきました。

このメッセージには、違いを楽しみ、固定概念にとらわれないマインドを持って働くことが、あそび心に繋がっていく、という思いが込められています。

本来ストアメッセージは私たちの決意表明でありますので、お客様にももちろんお伝えしますし、弊社で働く従業員にもマインドを理解して、アクションを起こしてもらいたいと考えてきました。しかしこれがなかなか難しくて。「従業員に浸透しない」「アクションに繋がらない」という課題がありました。

しかし今回、「世界に、あそび心を。」という素敵なコピーを考えていただいた以上、従業員の「あそび心あるアクション」に必ず繋げたい、という思いでプロジェクトがスタートしました。

奥尚子さん(以下、奥):私自身、「世界に、あそび心を。」というコピーを最初に聞いた時、ちょっとウルッときたくらい感動しまして。今の社会、そして「みんなが輝ける社会を目指して、ダイバーシティ実現に向けた取り組みにますます力を入れていく」という姿勢を持つ私たちの会社に必要なメッセージだと思いました。 

私たち自身、お客様を楽しませる職業ですから。このメッセージを接客にも生かせたらと強く感じました。

――従業員の方々にストアメッセージを理解していただき、アクションに繋げていくことが今回の最大のミッションだったのですね。そのためにバックヤードに装飾するというアイデアは、どんなふうに生まれたのでしょうか?

山下:阪急うめだ本店は15フロアもある巨大な店舗で、取引先の方も含めて1万人ぐらいの従業員が働いています。その方々が出勤や休憩の時に必ず通る通用口などのバックヤードに、何か仕掛けができないかという話は以前からありました。

そして今回、ヘラルボニーの異彩アートなら、空間をカラフルに彩りながら、ストアメッセージの浸透という課題解決にも繋げられるのではと、プロジェクトがスタートしました。

――バックヤードへの装飾は、初の試みだったのでしょうか?

山下:私が知る限り、聞いたことがないですね。百貨店業界でもあまりないと思います。一般的には「◯◯しないでください」という連絡事項や注意事項が貼ってある場所というイメージが強いのではないでしょうか。

杭原誠さん(以下、杭原):でも本来、従業員にとってバックヤードは、仕事から解放されてリラックスできる場所であるわけですから。アート見ることによって心の安らぎや、活力、癒しを感じてもらいたい、休憩しながら元気をチャージしてもらいたい。そのうえで、「人を喜ばせよう」という思いで売り場に戻ってもらえれば、という願いを込めて企画しました。


バックヤードの通路が異彩アートでカラフルに

想定外の反応が。楽しさの輪が広がった

 ――バックヤードの装飾はどのように進められましたか?

杭原:ただ単にアートを飾るのではなく、そこから一歩踏み込んで、従業員がアクションを起こしたくなる仕掛けをどう作ればいいのかをヘラルボニーとアイデアを出し合って考えていきました。

山下:そこで完成したのがアクションボード。ボードと10色10種類のあそび心カードを用意して、従業員が自由にメッセージを書いて、差し込んでいく仕掛けを作りました。

「お客様や周りの人を楽しませることができた」「自分に優しくすることができた」「苦手なことにチャレンジできた」など、10種類のあそび心カードを用意。従業員は自分のあそび心にぴったり来るカードを選んで、ボードの好きな場所に差し込んでいく。

――完成したバックヤードについて、従業員の方の反応はいかがでしたか?

山下:アクションボードにはカードを差し込むところが700マスあったのですが、これが10日も経たないうちに埋まってしまったんです。

杭原:当初、誰にも差し込んでもらえなかったらどうしよう?という不安もあったのに、まったくの想定外でしたね。

奥:またメッセージカードには、電車で席を譲ってもらったとか、日常であったちょっとほっこりするような話が書かれていました。聞けばみんなが温かい気持ちになれるようなストーリーですね。それこそが心のゆとりとか、「あそび心」というものなんだろうなと私も気づかされました。

杭原:またメッセージだけでなく、メッセージカードの色に合わせたイラストが描かれていたこともありました。従業員の内面で、フツフツと湧いていたクリエイティビティが引き出されるきっかけになれたかもしれません。

メッセージボードは毎月入れ替え、月ごとに新しい彩りのあるアクションボードが完成する。今後は前月に自由記述で書いてもらったメッセージを掲示するコーナーも設置する。

山下:どのメッセージカードにも、「あなたのちょっとの心のゆとりが世界を輝かせる」という文章が入っているんです。このメッセージがすごく好き、今の自分に足りないことを言ってもらっている気がする、と感じて、カードを肌身離さず持ち続けていると伝えてくれた従業員もいました。

――それはすごいです。嬉しい想定外が出てきたのですね。

山下:はい。さらにまだアクションには至っていなくても、立ち止まって他の人が書いたメッセージを読んでいる従業員もたくさんいますし。我々が意図していたことが従業員に少しずつ伝わり、広まっているのかなと感じています。

杭原:今回ヘラルボニーのほかに、普段からお付き合いしている施工業者やデザイン事務所など、非常にたくさんの方に関わってもらいました。その方々も「一緒にできて楽しかった」とおっしゃって、完成したものを見て非常に喜んでいただけました。そうやって、社外の方にも楽しさの輪が広がっていったのも良かったですよね。

奥:そうですね。企画した私たちもものすごく楽しかったです。

また私たちは「楽しさNo.1デパートメントストア」を目指していて、常にお客様向けに楽しさを提供する企画を考えてきました。でも今回、従業員や取引先の方にも楽しさを提供したことで、従業員や取引先の方にも「こういう楽しいことをやってくれる会社なんだ」「働いていて良かった」と誇りに思ってもらい、エンゲージメントに繋げられれば、との狙いもありました。皆さんの反応を見ていると、少し実現に近づけたのでは、と手応えを感じています。

「あそび心」の可能性は無限大。次の一手は?

――今後こちらのバックヤード企画はどのように進めていく予定ですか?ヘラルボニーに期待することがあれば教えてください。 

山下:バックヤード企画に関しては、弊社の社内報で記事にしてもらったり、全館の朝礼などで従業員に伝えしながら、理解を広めていきたいと思っています。

奥:メッセージボードも、今は始めてすぐの段階なので皆注目してくれているのですが、しばらくしたら反応が薄れてくるかもしれません。継続的に関心を持ってもらうためにも、「ヘラルボニーさんそうくるのね?」と唸るような、あそび心を刺激する次の一手があるといいですね。

杭原:それは楽しみですね。我々もヘラルボニーと一緒にあそび心全開でアイデアを出していかないと。

――最後にありがたい宿題をいただきました。今まで阪急うめだ本店の場をお借りして、大きいこと、新しいことに挑戦させていただいてきましたが、我々自身、「あそび心」の可能性は無限大だと感じています。「次の一手」を早速考え始めたいと思います。


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