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絵本賞落選、その1「トマトせんせい」
昨年、某出版社の「怪談絵本」に応募して落選したもの。
トマトせんせいは息子が小1のときの担任の先生をモチーフにした。
「トマトせんせい」
おかっぱあたまのおんなのせんせい、みょうじとなまえのさいしょのじが「と」と「ま」だから「トマトせんせいってよんでください」って。
みんな、はーいってげんきにへんじしたけど、ぼくはぶるっとした。ぼくトマトにがて。たべられない。
トマトせんせい、そのときぼくをみて、目がぎらってひかった。せんせいのかおがトマトにみえた。こわい。
きゅうしょくのとき、ぼくのにがてなトマトがでた。たべられなくてのこしてたら、せんせいがきて、トマトをゆびさして、「たべなさい」って。
ぼくが下をむいてじっとしてたら、せんせいはまえのせきのよしださんのよこにいって、「のこさないできれいにたべるひと、だーすき」って。
そしてまたぼくをみた目がぎらってひかった。トマトのかおとひかる目こわい。
つぎのひのあさ、きょうしつにみんなのさくぶんがはってあった。ぜんいんにきんしょうのリボンがついているのに、ぼくのだけリボンがついてなかった。ぼくひとりだけ。
かえりみち、ぼくの目からぽつんぽつんとでてきたなみだがとまらなくなった。
うしろから、ぽんとかたをたたいたのはきむらくん。
きむらくんはわらいながら「ぼくのさくぶんなんか、はられてもいないんだからさ」って。
「あのね、トマトせんせいはにんげんのふくをきたうちゅうじんなんだ」って。
「ぼくがだすおとにさそわれてにんげんのふくをぬぐから、そのときにつかまえるんだ」って。
木のかげにかくれてまつと、トマトせんせいがきた。
きむらくんがけんばんハーモニカをふくと、せんせいはあたまに手をあげてチャックをおろした。
にゅーんとたこみたいなあたまがでたとき、きむらくんはきゅうしょくぶくろからきんいろにひかるロープをだしてなげた。
ロープのわっかがくびにスポッとはいった。きむらくんがロープをひこうとしたら、うちゅうじんはぶんぶんくびをまわして、きむらくんをふりまわした。
きむらくんはそれでも手をはなさない。ぶんぶんふりまわすいきおいで、ふたりともいっしょにびゅーんってどこかにとんでいった。
つぎのひ、トマトせんせいもきむらくんもがっこうにこなかった。ぼくのつくえのなかにきむらくんのけんばんハーモニカときゅうしょくぶくろがはいってた。
げこうじかん、ぼくはきむらくんのけんばんハーモニカをふいてみた。
そのとき、こうもんでみんなをみおくってたこうちょうせんせいが、あたまに手を……。
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