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ラノベとNTR(寝取られ)とBSS(僕が先に好きだった)

ギャルゲーというかエロゲーというジャンルがPCゲームにあって、まあノベルゲーム(紙芝居的にストーリーが進むやつ)なんですが、このノベルゲームってゲームとしての差別化が難しいので市場競争でどんどん過激になっていったわけですね。過激といってもすでにエロ方向はもう十分なのでシナリオで泣く方向。泣きといっても感動じゃなくてもいいからとにかく心を揺さぶられる量がすべてという「泣きのつり橋効果」というか感動したから泣くんじゃなくて泣いたから感動したんだというプログレッシブな方向に進化を遂げました。いわゆる鬱系。

鬱系も最初はヒロイン死んじゃって悲しいみたいなのだったわけですが、死んじゃうよりもヒロインが寝取られるほうが悲しいだろという泣きのエスカレートが発生し、そこにNTRというジャンルが確立されました。「NTR=寝取られ」です。

そして月日は流れ、寝取られるなんて彼女がいたってことだから十分幸せじゃん、俺なんか彼女いないしという過激派が現れ、付き合ってもいない女の子を寝取られるという究極の泣きが発見されました。これが「BSS=僕が先に好きだった」です。なおBSSの始祖は夏目漱石ともいわれています。

ここまで引っ張ってなんですが、ラノベって純粋なNTR(主人公がヒロイン取られる系)ないんですよ。読者が感動系じゃない暗い泣きを求めてないってのもあるだろうし、そもそもラノベ読んでてヒロイン寝取られたらやだろっていうまあそうだよね。じゃあこの記事何なんだよというあれですが、いま付き合ってる彼女がいるけどヒロインに迫られて自分が寝取られの対象になる系はありますね。この辺は逆NTRでしょうか。ヒロインの迫ってくる描写と揺れ動く心理がポイントなので作者の力量が問われる系。

↑ 二番目に好きな女の子と付き合うんだけど彼女もこっちが二番目に好きで他に一番好きな相手がいる。一方、一番好きな女の子は僕のこと好きみたいな雰囲気だけど彼氏がいてというなんかぐちゃぐちゃな話。そして耳元で推理小説のタイトルをささやきあうよくわかんないエロス。2021年最大の話題作
わたし、二番目の彼女でいいから。 (電撃文庫:西 条陽)


一方、彼氏のいるヒロインを寝取るとかは恋愛小説では昔からある感じですけどラノベでは多くないないですね。男の影がある女の子ってラノベだと人気でないようです。処女厨乙ってやつですね。

NTRラノベが少ないぐらいだから、その進化系であるBSSについても、純粋な意味でのまあBSSラノベは難しいと思いますが、ヒロイン二人が「私が先に好きだったのに」みたいな方向性はありますね。WSSですかね。この方向性、ポテンシャルはあるものの作者の才覚が求められるので難しいジャンルではありますが今後が注目されます。

↑ 幼馴染から彼女になった女の子の親が離婚して離れ離れになっていた双子の妹が親の再婚で主人公の義理の妹になって一緒に住むことになって迫ってくるという属性てんこ盛りな逆NTR系。湿度高いの好きな人におすすめ
カノジョの妹とキスをした。 (GA文庫:海空 りく)

↑ 元カノでしかも今別の男と付き合ってるヒロインという割とないタイプ
元カノが転校してきて気まずい小暮理知の、罠と恋。 (ガガガ文庫:野村美月)

↑ ラノベでは珍しく純NTR系。というかラノベじゃなくてセカイ系SFかも
僕の小規模な自殺 (メディアワークス文庫:入間 人間)


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