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読者はどんな人か? 考えるより、会ったほうが確実にわかることがある

『痛い失敗体験から学んだ 愛される書籍の成功の秘訣(仮)』、今回は、「読者を知る」ということをテーマに、私が思い込みに気づいた体験をお話ししようと思います。

 赤ちゃんの育児雑誌から、希望が通ってインテリア雑誌に異動。その直後のお話です。

 前回の記事は、こちら。

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編集脳アカデミーの藤岡信代です。
電子書籍出版サポートとコンテンツビジネスのコンサルティングを行っています。

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 念願かなってインテリア雑誌に配属になった私。美しいインテリアの写真が満載の雑誌にウキウキするものの、企画を考えようとすると、読者がどんな人なのかがさっぱりイメージできない……。そんな壁にぶち当たっていました。

■インテリア雑誌を読む人は、どんな人?

 
 インテリア雑誌は、高いです。すでに30年近く前になりますが、当時でも雑誌の中で群を抜いて価格が高かった。女性ファッション誌が600円くらいなのに、私が配属になったインテリア雑誌は、倍以上のお値段でした。

 そんな「高い雑誌」を、わざわざ購入する人は、何を求めているのか?

「素敵なインテリアのお家に住みたい!」というのは、間違いない。
 だけど、それだけ?

 身近にもいそうな、リアルな人物として想像できない……。

 悶々としてきた私は、思いきって編集長に
「読者のお宅を訪問して、お話を伺ってきてもいいですか?」とお願いしたのです。

■読者にどうやって会えばいい?

 
 実例取材として読者宅にアポを取って、撮影・取材に伺うことはあっても、下取材のために読者宅を訪問することは、ほとんどない。編集長は面食らったかもしれませんが、快くOKをくださいました。

 とはいうものの、まだ異動になったばかりの私に、訪問できるような読者とのつながりはありません。

 そこで、まず愛読者アンケートハガキ(当時は郵便で読者の声を集めていたのです。今では考えられませんが)から、首都圏在住の方を選び、「収納」に関するアンケートのお願いを、これまた郵送でお送りしました。
 当時はこんなふうに、読者アンケートでいろいろと下取材してたんです。これは、赤ちゃん雑誌時代には、当たり前のように毎月行っていたことでした。

 もちろん、お送りしたアンケートにすべて回答があるわけではありません。それでも、写真つきで回答をくださった、親切な読者もいらっしゃいました。その中から数人を選び、お電話で(ここも懐かしい…)、訪問取材のアポをお願いしました。

■読者のリアルインテリアは……?


 アポは3件くらい取れたと思います。
 ドキドキしながら訪問。通していただいたお宅のインテリアは……

 想像以上に、さっぱりとした空間でした。とても驚きました。

 その瞬間、驚きつつも私は気づいたのです。
 無意識のうちに、「インテリア雑誌の読者は、素敵なインテリアの家に住んでいる」と思いこんでいたことに。

 いま目の前に広がっているのは、「素敵なインテリアに憧れて、これからがんばりたい!」と思っている方の、「まだまだこれから」のインテリアでした。

・憧れているから、素敵なインテリアの雑誌を読む
・まだまだこれからだから、情報をたくさん集めている
・理想のインテリアにするための方法を知りたい

 これが、インテリア雑誌の読者さんの気持ち。

 だから私たち編集者は、

・憧れのインテリアを、具体的な写真で見せてあげる
・現実とのギャップを埋めるための情報を、取材してくる

 これを真摯に追求すればいいんだ!

 小さな一歩だったけれど、「読者を深く知るために、会いに行く」という行動を起こしたことが、インテリア雑誌の編集長就任につながったと思います。
 思えば、雑誌リニューアルの成功も、読者の言葉からでした。

 あ、この話は、まだnoteに書いていないかも。これもいずれ書いてみますね。

■大事なのは、気持ちを知ること


 雑誌の運営をするとき、「売り上げ」だったり、「読者数」だったり、「数」が指標になりがちでした。それは、ブログなどのWEBメディアでも同じですよね。
 だけど、数ではわからないことがある。

 それが、読者の「気持ち」です。

 結局、他人のことは、いくら想像しても理解することには限界があります。 それが「気持ち」であればなおのこと、会って聞いてみないことにはわからないことが多いのです。
 
 リアルな交流の制限を受けるようになって、ネットでつながるだけではなく、リアルに対話することの価値が見直されていますが、メディアづくりでは、昔も今も変わらず、「会って話を聞く」ことが大切だと思います。

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