フォローしませんか?
シェア
henshu_ckr
2018年4月1日 19:26
「おい釣りバカ、お前こっちに来いよ!」 バスジャック犯が、クラスでひとりぼっちの生徒に声をかけるみたいに、釣り人に声をかけた。いや、釣り人の格好をしているだけで、本業は別にあるということを俺は知っている。 釣り人は、自分が指名されているとは気づいていない様子で窓の外を眺めている。さすがに、自分は無関係だと思っているだろうし、このままバスジャックが解決されないと、クーラーボックスの中に死体が
2018年3月25日 21:06
目を開けると、あかいくつバスが停車している。 どうやら、神様は俺を逃がしてくれるつもりがないらしい。 じっとバスを見つめる。 重い足取りで、バスに乗り込んだ。パスケースでタッチをして清算を済ませ、運転手のそばに立つ。 バスが扉を閉めて、ゆっくりと発車する。 俺はバスをよく利用する。景観が良いからでもあるし、パワハラ上司に会うまでに遠回りをしたいからでもあるが、なにより父親が乗って
2018年3月18日 20:00
世の中で知らないうちにバスジャックブームでも起こっているのだろうか。 君が爆弾テロ犯だったのか? と目眩がし、膝から崩れ落ちそうになる。 何故なのか? 俺と別れてから変な宗教にハマってしまったのだろうか。「咲子さん、なにしてるの」「見てわかるでしょ? 選手交代でバスジャックしてるのよ」「なんでまた。どうしたんだよ」「とにかく、誰も動かないで!」「俺になら教えてくれてもいいじゃない
2018年3月11日 20:18
同じ時間を繰り返し、同じバスに乗り、バスジャックに遭っている。 だけど、バスジャック犯と組んで、事件を解決しようとしているのは初めてのことだ。「で、お前はどいつが怪しいと思うんだよ」 岡本に訊ねられ、そうですね、と俺は口を開く。「あのギターケースとクーラーボックスは怪しいですよね」 なにしろ、バスを吹き飛ばすくらいの爆弾だから、サイズもあるだろう。 くしゃくしゃ頭の男、立花
2018年3月8日 20:32
いつもの風が吹き抜けて、目の前のあかいくつバスの扉が開く。運転手からの視線を受けて、俺はバスに乗り込んだ。 七周目で、俺は自分が大きな誤解をしていたことを思い知った。 バスジャック犯と爆弾テロ犯は別にいる。 思い返せば、道理で、と思うことが多い。バスジャック犯が取り押さえられているのに、起爆できたのもおかしかったし、人が降りようとしたら爆発していた。 バスジャック犯の目的は妹の手術
2018年3月4日 20:01
バスジャック犯、岡本のリュックサックからは、爆弾ではなく葉っぱの詰まったジップロックが散乱した。おそらく脱法ドラッグだろう。 それを見下ろす岡本が大いに落胆するのを見て、俺はどういうことかと首を傾げる。 バスに乗り込んで来た時、岡本は俺が滑川なる悪党の手下なのではないか、と心配していた。「いっつもこうだ、チクショウ。オレは肝心な時にやらかす」 バスジャック犯の、弱々しい声が漏れ聞
2018年3月1日 20:45
十二月の風が吹き抜け、体が震える。 嫌な汗が流れ、さっと首に触れて確認をする。血は流れていなかった。痛みも残っていないことに、ほっとしつつ前を見ると、いつものあかいくつバスが停まっている。運転手が催促する目つきで俺を見ている。 さっきのバスジャックで得た情報を整理しながら、バスに乗り込む。 急ブレーキ作戦は悪くないと思ったのだが、首を切られるとは思っていなかった。今日はオーブンを売るこ