本質的な価値は、機能の先にある。ユーザー目線での電子カルテ・レセコン開発|エンジニアインタビュー
株式会社ヘンリーは、「社会課題を解決し続け、より良いセカイを創る」というMissionのもと、クリニック・中小病院向けの基幹システムであるクラウド型電子カルテ・レセプトシステム「Henry」を開発・展開しています。
今回お話を伺ったのは、ドメインエキスパートとして「Henry」のレセプトコンピューター部分の開発業務に携わる馬場祥雅さんです。前職では医療系システムの導入・サポートを経験し、2022年7月からヘンリーに入社されました。
十数年前から使われているようなものも多い、医療ドメインの業務システム。その既存のシステムを見てきた馬場さんだからこそ感じる、電子カルテやレセコン開発の“本質的な価値”とは?転職のきっかけから今後の野望まで、馬場さんの思いについて伺いました。
既存のシステム保守から、新しいモノづくりへ
─ まずは馬場さんの経歴と、ヘンリーでされているお仕事について教えてください。
キャリアは地元のシステム会社でのSEからスタートしました。配属された部署が医療系のシステムを扱うところで、電子カルテやレセプトコンピューターの導入・サポートなどを行う仕事を9年間したあと、2022年7月からヘンリーに入社しました。
現在はドメインエキスパートとして、医療事務の方と実際にシステムを作るエンジニアの方の間を取り持つような役割に就いています。
─ 9年間勤めておられたのですね。転職のきっかけは何だったのでしょうか?
前職で扱っていたシステムが、十数年前から使われているようなある程度完成されたものだったので、いつかはイチから何か新しいものを作ってみたいな、という思いはずっとあったんですよね。
その一歩がなかなか踏み出せていなかったのですが、たまたまWantedlyでCEOの逆瀬川さんに声をかけていただいたんです。そこでヘンリーのことを聞いて、システムを作るところに一度チャレンジしてみようかなと思ったのが、転職のきっかけです。
─ ヘンリーに対しての第一印象はいかがでしたか?
古くからあるシステム会社が強い電カルやレセコンの領域に対して、ゼロからモノを作って挑戦しようとしているところが良いなと感じたのが第一印象です。
─ 入社を決めたポイントは何だったのでしょうか?
面談をした時はまだ医療ドメインの会社で働くかどうか決めていなかったのですが、他にも何件か面談をしていく中で、やっぱり今まで9年間やってきた医療という領域でもう一度チャレンジしていきたいな、と思ったのが大きなポイントですかね。
地元の岡山で働きたいと思っていたので、フルリモートで自分のパフォーマンスが出せるやり方で働いてもらえたらいい、とおっしゃっていただいたのも入社の後押しになりました。個々人がよりパフォーマンスを発揮しやすい働き方を認めてくれるので、働きやすさやモチベーションにつながっています。
ヘンリーはモダンな技術を使って開発しているので、数十年前になかった技術だからこそできることもあるはずです。今までにないアプローチで改めて電カル・レセコンを作っていきたいな、と思ったのも開発に携わろうと思った理由の1つですね。
ドメインエキスパートは現場とエンジニアの架け橋
─ 馬場さんがヘンリーでお仕事をする中で、モチベーションとなっているものは何ですか?
そうですね……自分の中で、仕事の「意義」はすごく大事だなと考えています。医療というのは社会的にすごく意義の大きい領域だと思っているのですが、ヘンリーはそこに対して真正面から挑戦しているので、それが自分にとってのモチベーションにもなっています。
─ ドメインエキスパートとしてのお仕事についてもう少し詳しくお教えください。
ヘンリーには何人かドメインエキスパートの方がいて、自分はレセコン開発部分を担当しています。レセコンには診療報酬という大きくて複雑な要件があるのですが、医療事務とエンジニアとの間では当然ながら知識量に差があるんですよね。
その差でコミュニケーションのミスを引き起こさないように、間に立ってコミュニケーションを円滑にするのがドメインエキスパートの仕事です。医療分野とシステムに関する知識の両方を使って、システム開発のスピードや品質を高めていくのが大きな役割ですね。
─ システム開発をスムーズにするために、医療事務の方とエンジニアの方の橋渡しをする役割ということですね。実際にお仕事をしてみて、率直なご感想はいかがですか?
やはり、やりがいは非常に大きいですね。自分の経歴ならではの、医療現場・システムエンジニアの両方の知識やスキルを活かせるポジションなのかな、と感じています。前職ではシステムの仕様を医療現場の方にかみ砕いてご説明していたので、仕事の内容としては今とやっていることはそんなに変わりません。どちらにしても翻訳力がすごく求められますね。
電子カルテ・レセコンは“使うこと”が目的ではない
─ 前職での保守業務と、ヘンリーで行っているような新しいシステムの開発は、やはり別物なのでしょうか?
そうですね、そこは全然違うと感じます。保守だと既に動いているシステムを、今ある仕組みの中でどう課題を解決するのかを考えていくことになります。でもゼロから作っていくのは、そもそも仕組みをどう作っていくのがいいのか、と考える必要があるんですよね。
医療ドメインは診療報酬改定が2年に1回あり、そこで制度自体のメンテナンスが行われていきます。そこに対してどれだけ柔軟性のある仕様にしておくか、といったところを考える必要があるのも、保守とはまた異なる部分だなと感じています。
─ 電子カルテ・レセコンの保守や開発に携わってきて、「もっとこうなったらいいのに」と思う部分はありましたか?
どちらも求められる機能がすごく多くて複雑な業務システムなので、機能の充実を優先して使いやすさの部分は相対的に優先度が低くなってしまうケースが多いんです。それは結果的にユーザーさんのためになっていないのではないか、と思うところはすごくありました。
医療機関の方にとっては、電カルやレセコンといったシステムはあくまでツールの1つであって、それを使うことが目的ではありません。ヘンリーでは使いやすさの部分にも目を向けていて、パッと見ただけで「この画面では何をすればいいのか」が直感的に分かりやすい仕様になっています。
電子カルテやレセコンってこうだよね、というイメージにとらわれずに、ユーザーにとっての本質的な価値はどこにあるのかをきちんと考えて形にしようとしているのは、ヘンリーのいいところですね。自分自身もその視点を忘れないように意識しながら仕事しています。
─ 開発を進めていく上で、大変だなと感じるところはありますか?
求められる機能がすごく多い上に、「この部分の機能だけできていればOK」という妥協点が無いところですかね。また、どうしても出てきてしまう上手くいかなかった部分は、一つひとつ解消していくしかないのも大変ですね。
医療現場の皆さんは緊張感をもって働かれています。自分たちが作ったシステムの機能不足や使いにくさのせいで、現場の業務に支障をきたすことがあってはなりません。それもあって、現場のユーザーさんの声をすごく大事にしよう、という文化はヘンリーの中でもかなり根付いているように感じますね。
─ システムを作っていく中で、大切にされていることを教えてください。
メンバーそれぞれ大切にしているポイントはあると思いますが、自分はできる限りフラットな目線で考えられるように、というのは気を付けています。既存のシステムを9年間見てきたので、どうしても自分の中での常識や「これってこうだよね」と固定観念が出てしまう部分があるんです。
でもそれは本当にユーザーさんのためになるのか、ユーザー体験に目を向けたものであるのか、という目線が抜けてしまいやすくなるので、客観的にゼロベースで機能や仕様についてきちんと考えるように心がけています。ユーザーさんがシステムを使う時に本当に求めていることは何なのかを、フラットな目線で考える。それが一番難しいんですけどね。
本質的な価値を追求し、ヘンリーを新しいスタンダードに
─ 今後の野望はありますか?
1つは、ヘンリーのレセコンを新しいスタンダードにすることです。レセコンは数十年にわたってずっと同じシステムが使われ続けてきたのですが、ヘンリーはそれをもう1回ゼロから作ろうとしている途中です。完成したら、「レセコンと言えばヘンリー」というくらいスタンダードなものにしたいですね。
あともう1つは、前職の会社から「Henryをうちで販売させてほしい」と言ってもらうことです。医療のことを全然知らない状態から9年間いろいろと仕事をさせてもらった会社でもあるので、その人たちにヘンリーの良さが耳に届くまで、業界内での認知度を上げていきたいなと思っています。
─ 馬場さんはどんな人と働きたいと思いますか?
そうですね……システムを利用してくださるユーザーさんにとって、本質的な価値が何であるかを一緒に追求していける方と働きたいですね。
システムの機能が充実していることはあくまで前提であって、ユーザーさんにとっての本質的な価値は機能の先にあります。現場の業務にシステムがどれだけ役立つか、どうすればさらに役立つのか、というのが価値なのだと考えています。
そういった部分、本質的な価値とは何か?というのを一緒に考えて追及していける方と、システムを作っていきたいなと思いますね。
─ ありがとうございます。最後に、ヘンリーに興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。
ヘンリーのメンバー間はすごく仲が良くて、お互いに自分の持っている知識を教え合ったり社内で勉強会を開いたりしています。医療ドメインは取っつきにくい印象を持たれるかもしれませんが、ヘンリーは熱意があればどんな方でも活躍していただける環境だと思いますね。
今は中小病院版の製品開発をしていて、リリースに向けてみんなで頑張っているような状態です。まだまだエンジニアの方も足りていないので、我こそはという方はぜひよろしくお願いします!
インタビュー:鶴留彩花
ヘンリーでは、さらなる成長に向けて採用も積極的に行っています。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。