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医療は、これからも伸びていく。医療系エンジニアが描くキャリアパスとは | エンジニアインタビュー

株式会社ヘンリーは、「社会課題を解決し続け、より良いセカイを創る」というMissionのもと、クリニック・中小病院向けの基幹システムであるクラウド型電子カルテ・レセプトシステム「Henry」を開発・展開しています。

今回お話を伺ったのは、「Henry」のレセプトコンピューター部分の開発業務に携わる嶺野匡史さんです。2004年に医療IT企業を立ち上げて以来、病院の予約システムや電子カルテなど医療システムの開発業務を中心として、そのキャリアのほとんどを医療系エンジニア1本で積んできたという嶺野さん。

そんな嶺野さんから見た「Henry」ならではの価値や、医療系エンジニアとして描くキャリアパスについてお話を伺いました。

保険医療の仕組みに対する“使命感”


─ 嶺野さんは現在、開発メンバーの中ではどういった立ち位置でお仕事をされているのでしょうか?

役割としては、レセコン開発メンバーのリードというか、プロダクトマネージャー(PdM)のような立ち位置にいます。

─ ヘンリーとの出会いや、入社の経緯について教えてください。

自分で立ち上げた事業があまりうまくいかなかったときに、Wantedlyでヘンリーを見つけたのが始まりです。当時使っていきたいと思っていた「Kotlin」という言語を使っていたのと、両CEO(林・逆瀬川)のプロフィールを見て波長が合いそうだと思い、応募に至りました。

─ 今までのキャリアはほぼ医療関係のお仕事だと伺っていますが、そのきっかけは何ですか?

親族に医療関係の人が多かったんですよね。伯父が医師で、父も病院の事務方の仕事で。子どものころから医療というものは身近に感じていました。患者として病院へ行くこともよくあったというのも、1つのきっかけです。

ただ、キャリアが医療ほぼ1本になったのは、結果としてこうなったという感覚です。実績がついて、また新しいお仕事をいただいて、というのを繰り返してきた結果ですね。

─ これまで医療業界で働いてこられて、率直な感想はいかがでしょう?

そうですね……医療、というよりは保険制度に関する仕事という感じなので、どちらかと言えば官僚的というか、制度側の色が強い印象です。保険医療を支える仕組みはすごく複雑に出来ているのだな、と感じています。

─ 保険医療を支える仕組みは、昔と比べて良くなってきているのでしょうか?

私が携わり始めた20年くらい前から変わっていない部分が多い、というのが率直なところです。だからこそ「変えていかないといけない」という使命感もありますね。

「Henry」ならではの価値と、電カル・レセコン開発の価値


─ 嶺野さんは「Henry」の価値とはどこにあると思われますか?

医療のシステムは電子カルテとレセコンが両輪になっているのですが、「Henry」はその両方を作っているので、そこに一番大きな価値と魅力があると感じています。

クラウドが普及したことにより、クラウド型の電子カルテは増えているのですが、基本的にレセコンの部分は別のシステムを使用していることが多いんですね。

ところが、電子カルテとレセコンが別のシステムだと、どうしても建て付けが悪いところが出てきやすいという難点があります。そういったところで使われているレセコン自体が古く、うまくいかないというようなケースも多々出てきています。

「Henry」の場合はその両輪を自社で作っているので、連結がスムーズで回りが良いんです。それが「Henry」の価値であり、他のシステムと差別化できているところだと思います。

─ 電子カルテやレセコンの開発を行うことについて、今後市場価値は高まっていくのでしょうか?

どうでしょう、ちょっと難しいですね。クリニック版の電子カルテはさまざまなものが出てきているので、ある程度飽和している状態かなと思います。我々が今取り組んでいる中小医院版のものは作れるプレイヤーがまだ少ないので、そこでは存在感を発揮できるのかなと。

クリニック版はどちらかと言えばドクターのためのソフトですが、中小医院版はいわゆる基幹システムにあたり、病院内のデータがすべてそこに集まるようなものになるんです。ステークホルダーも増えますし、クリニック版よりも複雑さが上がります。なので、作れるプレイヤーが少ないんです。

また、レセコンをゼロから作れるプレイヤーも限られているのが現状なのですが、ヘンリーはそこにもチャレンジしています。

レセコン開発について熱く語る嶺野

医療系エンジニアとして描くキャリアパスとは?


─ エンジニアとしてのキャリアパスについてお伺いします。医療ドメインに特化したタイプのエンジニアになるというのは、キャリア面でのリスクはあるものでしょうか?

医療に限ったことではないのですが、ドメイン知識とエンジニアリングの両立はなかなか難しいかもしれませんね。ドメイン知識の価値はありますが、習得・習熟までには時間がかかる。その分エンジニアリングを伸ばす時間が取りづらく、時間的な制約というリスクはあるのかなと思います。

1つのドメインに特化したタイプのエンジニアは、モデルケースがまだあまり無いんですよね。素晴らしい技術をお持ちのエンジニアはたくさんいらっしゃいますが、ドメインに特化した方はあまり見つからないので、そこの需要はまだ見えにくいのかなと思います。

─ 医療ドメインに特化したエンジニアとしてキャリアパスを描くとなると、どんな道筋が想定されますか?

まずはある程度のドメイン知識と技術を伸ばしながら、自分で作ったものの実績を持つところからですね。プロジェクトの大小にかかわらず、医療の現場で実際に使うものを作ったという実績を持って、CTOを目指すのが一番わかりやすいキャリアパスになるのかなと。

今は医療系のヘルステックと言われる会社がどんどん興っているので、そういったところからスカウトを受ける機会もあると思います。

─ では、医療から他の領域に行く場合に「医療ドメインを経験した」ことによる価値は何かありますか?

やはり医療ドメインは複雑なので、その複雑さを自分で整理した経験がある、というのはすごく評価されます。世間のイメージとしても「医療=複雑」という印象があるのだと思います。

また、医療ドメインのエンジニアは他のドメインに比べて希少性があるので、ドメイン特化型のエンジニアであってもその次のキャリアパスが描きやすいと思います。

日本では「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)」に医療DXの本格化が選ばれたこともあり、今後さらに官の資金も医療系に流れてくるだろうと言われています。その中で医療系のエンジニアを目指すということは、市場価値の高い人材になることに繋がるのかなと。

日本だけではなく、世界的に見ても医療界は右肩上がりなんですよね。全世界の医療費の3分の1は新興国で使われていて、今後特に新興国市場で医療は伸びていくと考えられます。そういった世界の流れもあるので、医療に携わっていくことには価値があると思います。

健康に生きたい、というのは誰しもが持っているような根源的な欲求だと思いますし、やはり文化的な生活をするためには必要なものですので、これからも医療ドメインは伸びていくはずです。

─ 医療ドメインは複雑であるというお話はよくお聞きしますが、その複雑さを分解してシンプルに組み立てていくエンジニアのお仕事について、嶺野さんの中でやり方のコツは何かお持ちですか?

それが一番難しいところなんですよね。私自身は感覚的にやっている気がします。そのコツをあえて言語化するとしたら……やはりまずは広い知識を持っておくことでしょうか。

私は1点の最適解を作り込まないタイプで、8割くらい出来ていればクリアした、と判断するんですね。ただ「この範囲ならこれくらい出来ていればOK」という見通しは、経験はもちろんですがある程度の知識が無いと判断できないんです。

子細にこだわりすぎると際限が無くなってくるので、広い知識と経験則を持ち、システムや自分にとっての落としどころを見つける、というのは1つのコツになるのかなと思います。

レセコン開発チームや医療系エンジニアとしての“野望”


─ 嶺野さん個人として、もしくはチームとして今後やっていきたいことはありますか?

まずチームとしてお話しすると、電子カルテのためのレセコンを作り、ヘンリー社内だけでなく外部に提供していくことが1つ。

チームの……というより半分、私個人の野望になるかもしれませんが、医科・歯科・調剤などに分かれているレセコンをすべて網羅しているメーカーになりたいと思っています。今、これらを全部やっているメーカーは基本的に無いので、そこを目指したいですね。

あとはこれも個人の野望に近いのですが、日本製の医療システムを海外に展開していきたいという思いもあります。日本で培った技術や制度といった仕組みを、海外にも広げていきたいです。

─ 医療システムは日本と外国では異なるのではと想像するのですが、そのあたりはいかがでしょうか?

もちろん現地にアジャストしなければならないことはたくさんありますが、基本的なところに関しての繋がりは十分にあります。なので技術以外にも、海外に行ったとしても繋がるドメインを持っているというのは、エンジニアとして強い武器になるのではないかなと思います。

地道に気長に、いいものを作り続けるエンジニアへ

レセプト開発チーム(写真撮影時だけマスクを外しています)

─ ありがとうございます。では、嶺野さんはどんな人と一緒に働きたいと思われますか?

地道にいいものを作りたい、という方と働きたいと思っています。医療は地道というか、気長に取り組まなければならないところが多いので、気長に構えて難しいものをきれいに作ることにモチベーションを持てる方が入ってくださると心強いですね。

もしくは医療への思い入れがある方ですかね。両方兼ね備えている必要はないので、そのどちらかをお持ちの方と一緒に働けたらと思います。

─ 最後に、ヘンリーに興味をお持ちの方へメッセージをお願いします。

エンジニアの世界では日々新しいものが出てきていて、10年後はどうなっているかまったく分からない。ある程度の年齢に達すると、エンジニアリングだけで戦っていくのは厳しくなってくるのではないかなと感じています。

だからこそ、何かそれ以外に自分の強みを1本持ちたいという方は、ぜひドメインに特化したエンジニアという経験をしてみていただきたいです。医療ドメインとエンジニアリング、そのどちらにも価値があるということは、きっとヘンリーでのお仕事をしていく中でも感じていただけると思います。

医療についてまだ知識や経験がない方であっても、ヘンリーは会社としてしっかりサポートします。もちろん私自身もサポートしていきたいと思っていますので、そこに関しては安心して飛び込んできてください。お待ちしております!

インタビュー:鶴留彩花


ヘンリーでは、さらなる成長に向けて採用も積極的に行っています。ご興味をお持ちいただけた方は、ぜひお気軽にご連絡ください。