月の夜
月を見上げると思い出す義母の言葉がある。
20代新婚の頃、亭主の実家は当時暮らしていたコーポから車で15分くらいの場所であった。
亭主の実家は義祖母と義父母の3人暮らし。
私たち若夫婦は週末には亭主の実家に顔を出し、一緒に夕食をするのが常だった。
夜の10時前になると「じゃあそろそろ」と私たちは自分たちのコーポへと帰る時間となる。そんな時、義父母は揃ってわざわざ門の外まで出てきて見送ってくれたものだ。
「大切な人を見送る時には、一緒に月を見上げるのよ」
車に乗り込む前に、そっと義母が教えてくれた。
「その人が自分の家に帰った頃に、もう一度、同じ月を見上げてるかもしれないと思えば、まだ大切な人と気持ちが繋がってる気持ちになれるからね」
今宵は大きな十六夜の赤い月。
そういえば漱石は「I love you」を「月が綺麗ですね」と訳したとかしないとか…
皆が眠りし月の夜に も少し遊ぼうか
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