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ミーはおフランスにおどらされ

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 Pixivに投稿してきた小説以外の文章を、
 noteに移して行きます。

(文字数:約1700文字)


 イメージだけで決めてしまう事は、
 大方の場合において正しくはない、
 と改めて思わされた話その2

 ところで私がシャンソンを習い始めた事を話すと、
 私を昔から知る人達の反応は、
 驚くか笑い出すかの二系統に分かれるのだが、

 中でも一番強烈だったお一人:
 「意外意外ー。
  え、どうしてそんな事になっちゃったのー?」
 
 そうですか? 面白がって頂けて何より。

 「好きだったの? 前から興味でもあったわけ?」

 そりゃ無けりゃあ習い出しませんよね。

 「歌えるのー?
  あなた、あんな明るい楽しい雰囲気出せるのー?」

 おおっと。
 有難う認識の相違に気付かせてくれて。

 シャンソンは、決して明るくは、ない。

 むしろ大半がどす黒く、
 重苦しく、
 救いようのない、
 ドロドロとした、
 情念もしくは諦めに溢れた世界だと言っていい。

 そんな中にふっと、
 ひと時の清涼剤のように、
 シャンゼリゼだかセーヌ川だかを、
 恋人とるんたった歩きながら、
 「セシボン」だの「モナムール」だの、
 見詰め合って語り合ってくれるから、

 「これはこれで良し」
 と気持ちを切り替え歌う事が出来る。
 やはり人間毒を喰らった後には、
 薬を飲まなきゃいけないよ。

 ※セーヌ川の左岸と右岸で、
 それぞれ独自に発展したそうです。
 興味深いのでこの話は更に調べた上でまた。

 そんな清涼剤的一曲が、
 5月に習った2曲目のこちら、
 『古いパリの岸辺に』

 1936年発表
 1939年リュシエンヌ・ドリールという
 金髪のうら若きパリジェンヌが歌ってヒットした曲を、
 また遊びで勝手に訳してみます。

    美しきパリ
                 岡埜 由木古
  日曜の朝に あなたのお誘い
  「良く晴れた川岸を巡らないか」と
  予定はたくさん だけどお受けして
  初めての日を今日もくり返すのよ

  美しきパリ セーヌさえ微笑むよ
  美しきパリ 恋人にまた戻る
  本屋さんに花屋さん それぞれにきらめいて
  美しきパリ 楽園と変わらない
 
  川岸に架かる いくつもの橋は
  私達のこれまでを知っているから
  スズメ達の群れに 勝手にしゃべるの
  私達もせせらぎに 聞き入ってるけど

  美しきパリ セーヌさえ微笑むよ
  美しきパリ 恋人にまた戻る
  本屋さんに花屋さん それぞれにきらめいて
  美しきパリ 楽園と変わらない

 今回気にしたところは
 タイトル部分の繰り返しは、
 やはり同じフレーズを繰り返したい。

 あと「古い」って単語はこの場合、
 「老成した」とか「成熟した」あたりを、
 表してそうな気がするから、
 「なつかしい」と迷ったけど、
 総じて「美しい」で。

 結構がんばったと思うけど、
 これでもあと原詩一行半くらいの情報が
 ごっそり入り切れていない。

 正直私の人生には、
 馴染みの無い明るさと軽やかさだけども、
 薄暗い裏通りを歩いて来た人間だからこそ
 こうした一曲が輝かしく感じられるのもまた事実。

 という事でさぁ歌ってみましょうかぁ。

 ……しかし甘かった。
 歌の力半端無い。

 身も心も軽やかに、
 はずまなければリズムに乗れない。
 特にサビの一部ははずむだけで足りず、
 微笑みを浮かべながら高らかに
 飛び立たなくてはならない!

 まさしく隣に今素敵な旦那様がいて、
 セーヌの川岸を、
 エスコートして下さっているかのように!
 (実際には飛んでません。気分ですよ気分。)

 おおおおおお……
 なめちゃいかんかった歌は演技だ!
 自分に全く存在しないものを、
 いかにしぼり出すかにかかっている!

 家に帰ってどっと疲れましたー。
 一ヶ月同時に2曲習うのは幸いですー。
 この曲だけをみっちりやって帰ったら
 私ちょっぴりとだけど泣いちゃうよ。
 (もちろん先生もそこは把握した上で、
  バリエーションをもたせている。)

同じ箱:
B'z 『今では……今なら……今も』
多分春の日の街角繋がり


2023年11月追記:
  セーヌの右岸と左岸で独自に発展について、
  まだ調べてません(爆)。
  しかし先日関連書籍を入手しました。

  積読になっていますが、
  文学フリマ大阪戦利品読了後に読む予定。

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