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線香花火の一閃

 どの道いつかは死ぬんだから、
 いつ死んだって構わないよ。

 なるべくなら苦しまずに死ねるように、
 神仏とかに祈るだけだよ。

 眠れる場所があって、
 食べられる物があって、
 飲める水があって、
 吸い込める空気がある事に、
 毎日感謝するだけだよ。

 他は何にも気にしなくていい。


 もしかしてそうした物が手に入らない人がいたら、
 それは渡さない周りの人たちが悪いんだよ。
 今苦しんでいる人じゃない。

 眠れなくて食べられなくて息も出来ないのに、
 頭が働いてくれるわけないからね。


 「傍観者も悪い」って言い方も嘘だからね。
 経験があるからこそ言うんだけどさ。

 本気で楽しんで殴ってるか、
 周りに言われて仕方なく殴ってるかくらい、
 殴られた側にも伝わってるよ。

 「どっちも傷付く」のは本当だけど程度が違う。
 万死に値するのは楽しんだ奴だけだよ。


 貧しい事を無能だと、
 一人でいる事を悪や敗者だと、
 思い込まなければ、
 この国ではまだほとんどの人が、
 生き延び切れるはずなのにね。


 私は小説家だからさ。

 暗闇の底でこそ輝いて見える、
 ほんのささやかな光を、
 千倍にも万倍にもふくらませて、
 文章を紡いでいるんだが、

 そうとしか見ない人にはどこまでいっても、
 線香花火の一閃でしかない。

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