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専門家でも通じ切れない理由

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 今年の正月に、
 「高野山家宝暦」についての記事を書いたのですが、
 先日改めて見方を教えてもらう機会がありまして、
 その機会についての説明や感想と共に、
 まとめ直します。

(文字数:約5000文字)←長いです。



実は毎年開催されてる「高野山学」

  昨年から今年にかけて、
  高野山大学に月1回のペースで通い、
  「高野山学」という市民講座を受けているのですが、

  通い出した理由の一つは去年から、
  密教占星術を教えてくれる回があったから。

  と言うわけで先日9月16日も、
  高野山報恩院住職 山口文章先生を迎えて、
  『密教占星術入門  ー 宿曜経が示すもの』
  の講義に参加したんですが、

  が、

  先生も前もって仰られましたけども、
  去年の資料とほとんど同じ。

  なぜかと言えば去年の反響が物凄くて、
  しかしその中でも「分かりにくい」という意見が多くて、
  先生としては分かりやすく話せたつもりだったのに、
  なぜだろう、
  と今年も同じテーマに再挑戦する事にしたと。

  と言うわけで私の方でも、
  去年と今年の2回聴いた感想を、
  まとめる事にしたわけですが、

    先生そもそも「占い」に興味無いでしょ?

  宿曜経、という元になっている経典の専門家で、
  天体としての星は大好きで運行にも詳しいけれど、
  それらから吉凶を判断したいなんて、
  そもそも判断できるなんて思っていないでしょ?

  檀徒さんたちから葬儀や棟上げ式の日取りとか、
  吉凶をしょっちゅう相談されるから、
  自分たちでも判断できるようになってね、
  という善意で教えて下さっているわけで、

  高野山というより占いが好きで受講した人間に、
  「二十八宿」って要するに何やねん、
  ってとこが知りたくてたまらない人間に、
  ピンポイントな内容ではない。

  なるほど。有難うございます。でも違う。


『高野山家宝暦』は実は

  「高野山家宝暦」も一人一冊ずつ頂けて、
  吉凶の記し方も教えてもらえましたけれども、

  結局15ページの二十八宿一覧表に合わせた、
  吉凶判断になるのがどうにも納得行かないぞ?
  何のために各人が生まれたその日の、
  二十七宿が割り出せるようにしてある?
   ↑
  28なのか27なのかってとこもややこしい。

  しかしその辺は「あまり気にしないで」と言われる。
  宿曜経にも根拠書かれてないから深みにハマるからって。

  しかし、
  しかしですな。

  西洋占星術の知識があれば、
  私は軽くかじっただけですがそれでも、
  ぼんやりと見えてくる気がしたんですよ。

  資料は存分に頂けましたので、
  いっちょ西洋占星術的に調べ直してやろうかい。

  そりゃな。
  「高野山家宝暦」見てたらさ。

 二十八宿の事は宿曜経と大日経以外に根拠はないのだから、
他の色々な説に惑わされてはいけない。

「高野山家宝暦」15p 二十八宿の説明

  とか書かれてあって、
  高野山で真摯に学んできた僧侶としては、
  他の文化体系諸説にあたるの快くない感じがするわな。

  ってかここのこの文章書いたの、
  高野山出版部に勤めていた頃の若き日の、
  私の菩提寺の御住職だ(汗)
  (冒頭の正月に書いた記事も、
   御住職から教わった事を参考にした。)


なので宿曜を調べ直してみる

  とは言え宿曜経そのものではなく、
  あくまでも頂けた資料を元にざっくりいきます。

1、宿曜、とはつまり

  二十八宿と七曜。
  要はこの二種類が基本の知識。
  なので、

2、まずは二十八宿

  天体中の月の通り道に沿って、
  十二星座に近い星の名前をつけたもの。

  例えば、
  さそり座の心宿はつまりアンタレスだ多分。
  おうし座の昴宿は明らかにプレアデスだしな。

  「月宿傍通暦」という重要な一覧表がありまして、
   (↑ネットにあるので検索して下さい)
  何月何日生まれなら何宿って分かるようになってます。

  ただし、平安時代の日本に伝わった経本なので、
  旧暦に換算しなければ使えません。
   (↑換算サイトがネットにあるので検索して下さい)

  旧暦に換算した私の誕生日によると、
  私の「命宿」は柳宿。
  つまり生まれた日の月は蟹座にあったって事で、
  西洋占星術とも一致。

3、二十七宿と二十八宿と二種類あるのなんで?

  生まれた日の月が、
  新月か満月かその途中かまで、
  上記の一覧表で分かるようにしちゃったからです。

  月の周期は約27日なのに、
  朔望周期は約29日なもんだから、
  斗宿と女宿の間に牛宿突っ込んで、
  (いて座とやぎ座の間に琴座のベガが入る。)
  調整しなくちゃ毎日の暦に換算できないんですね。

  えーとつまり、
  生まれた日の月の位置である、
  「命宿」は二十七宿しかないけど、
  暦の中には二十八宿ある状態。

4、次に七曜を重ねるぞ

  「高野山家宝暦」の15p、
  「二十八宿の説明」を見ると、

  それぞれの宿ごとに、
  「安住宿」だの「和善宿」だの、
  「悪害宿」だの「猛悪宿」だの、
  いかにも吉凶っぽい区分がされてあるんですが、

  私が生まれた日の月の位置「柳宿」も、
  「悪害宿 ー 物事全て控えめに万事慎むべし」
  とか書かれてあって大変に気分が悪い。

  これを毎日の暦に反映させて、
  吉凶を判断するのが私としては納得いかんわけだ。

  なので資料を良く見てみたらば、

  かに座の支配星が月で、
  しし座の支配星が太陽。

  ここまでは西洋占星術と同じだから納得いけると。

  密教占星術では、
  かに座としし座を、
  「最も地球に近い星座」と考えて、
  そこから離れていくに従って別の星が支配する事になる。

  つまり天動説の考えで突き進んでんだよな。
  平安時代当時は地動説、存在してなかったからな。

  じゃあ密教占星術なんか意味ないじゃん、
  で片付けるのはまだ早い。
  インド占星術も西洋占星術も、
  実際のところ天動説時代に生まれたし突き進んでるから。

つまりこの順に地球から遠ざかるって事です。
水金(地)火木土……の惑星順ですね。
     →                        →                       →
     水星  金星   火星   木星  土星
月 かに ふたご おうし  おひつじ うお  みずがめ
日 しし おとめ てんびん さそり  いて  やぎ

  地球に近い星座や二十八宿では、
  大地に関わる農耕とかに適していて
  (とは言え近すぎるとパワー強すぎて地震とか起きやすい)。

  地球から離れた星座や二十八宿では、
  地球的なコントロールが効きにくくなるから、
  平安時代には凶っぽく判断されがちだけども、

  土星や木星の支配を受けていて、
  ある意味地球の尺度からは自由、とも言える。
  つまり今現在自由に生き切れている方には、
  別に凶の日でもなんでもない。

  とは言え社会全体的な気分、とか、
  社会全体に影響あるような偉い方向けの吉凶判断、
  が15pの一覧表って事で、

  庶民の個人単位では気にしなくていいんじゃないですか?

  とは言え農耕とか家建てる日なんかは気になるよね。
  だけどそこも冒頭の記事の中に書いた、

  何はともあれラッキーデーの、甘露日、金剛峯日と、
  何であってもアンラッキーデーの、羅殺日だけ、
  気にしてりゃ良いんじゃないかなって気がする。

5、一週間が「月火水木金土日」順なのはなんでよ

  これね。
  私は日頃から普通に疑問だったんだけどね。

  上記の惑星の並び順、
  (月)、水星、金星、地球(太陽)、火星、木星、土星
  実は一時間ごとに当てはめてあったんだよね。

  ええと、これ文章で伝わるだろうか。

  0時から1時までの間を、
  月が支配する日を、
  月曜日とします。

  すると1時から2時を支配するのは水星、
     2時から3時を支配するのは金星、
     3時から4時を支配するのは太陽……、
  と並べていって、

  ちょうど24時間後の、
  0時から1時までの間は、
  火星が支配するので火曜日になるんですね。

  伝わりました?(かなり不安)


6、結局個人の吉凶判断ってどうするの?

  西洋占星術に合わせておひつじ座から、
  二十七宿を並べてみます。
  (鬼とか危とか翼とかいかにも吉凶っぽい文字が並ぶけと、
   要は星の名前なのでフラットに受け止めて下さい。)

婁宿  おひつじ座
胃宿  おひつじ座
昴宿  おひつじ座・おうし座(プレアデス)
畢宿  おうし座
觜宿  おうし座・ふたご座
参宿  ふたご座
井宿  ふたご座・かに座
鬼宿  かに座
柳宿  かに座
星宿  しし座
張宿  しし座
翼宿  しし座・おとめ座
軫宿  おとめ座
角宿  おとめ座・てんびん座
亢宿  てんびん座
氐宿  てんびん座・さそり座
房宿  さそり座
心宿  さそり座(アンタレス)
尾宿  いて座
箕宿  いて座
斗宿  いて座・やぎ座  (この辺に牛宿)
女宿  やぎ座
虚宿  やぎ座・みずがめ座
危宿  みずがめ座
室宿  みずがめ座・うお座
壁宿  うお座
奎宿  うお座

  まぁ西洋占星術なんか、
  360度の1度ずつに割り振った、
  サビアンシンボルなんかがあるから、

  3×9の27種類に割り振った、
  二十七宿くらいは別にカオスでもないかな。

  で、あくまでも私を例に出すと、
  生まれた日の月の位置が柳宿、なので
  この辺が命宿の人とか暦中の二十八宿とか、
  ちょっと気にしといたらいいんじゃない?

命宿から数えて何番目か    星座   西洋的角度           
命宿(1番目)   柳宿  かに座    0     ◯
事宿(4番目)   翼宿  しし座    30
業宿(10番目)   心宿  さそり座  120 ◎
克宿(13番目)   斗宿  やぎ座   150
聚宿(16番目)   危宿  みずがめ座 210
胎宿(19番目)   奎宿  うお座   240 ◯
同宿(20番目)   婁宿  おひつじ座 270

  西洋的に言ったら、
  120度の位置「業宿」は、
  星座同士の仲が良くて物事が上手く進みやすい日で、

  命宿と、240度の位置「胎宿」は、
  仲は良いんだけど良すぎてちょっとね。
  何か新しい事始めるには向かないかな。

  とりあえず120度と240度は仲良い星座なんで、
  (かに座とさそり座とうお座は水星座仲間。)
  西洋占星術でも一ヶ月や一年間を、
  ふんわり3分割してるわけです。

  他は西洋占星術ではそこまで重視されないんだけど、
  私的には確かにちょっと、
  トラブルが起きたり体調が崩れたりしやすいかなって。
  (一方でいきなりのラッキーとか舞い込んだりもする。)

  とは言え要するには、
  西洋占星術で言うところの「月星座」だから、
  個人の体調や気分に関わる星だから、

  表向きや社会性を表す太陽星座とはまた別尺度だし、
  ちょっと気にしとくくらいで大丈夫よ。

結局最後はめんどくさいから適当

  ここまでを調べてようやく、
  私みたいな教わった事もすんなり納得しにくい人間は、

  うん、確かに先生がおっしゃっていた通り、
  そこまで気にしなくていい、
  って言い切れるわけです。

  要は私自身の煩悩とか情念が強すぎるわけだが、
  そうした人間もこの世には存在して、
  そうした人間向けの納得の仕方なので、
  別に悪くもないと思う。

※18:40追記
  夕飯作りながら振り返ってみたんだが、
  現在一般的に知られている、
  太陽星座は一切使わず

  月の位置のみで、
  社会的な吉凶も個人的な吉凶も、
  ざっくり占えるって、
  密教占星術わりかし侮れない。

  ついでに言っとくけど、
  「柳宿生まれの貴方はこんな人♪」とか、
  「柳宿生まれの貴方の運命の相手は?」とか、
  「柳宿生まれの貴方はどんな人生をたどる?」
  みたいな話は一切無い。
  (一応「家宝暦」には、
   九星気学でその辺の話も触れてある。)

  主に月の運行や満ち欠けを気にしながら、
  ただ一日一日を大事に生きろよって話で、
  わりかし潔いな。

  とは言え西洋占星術の知識も無ければ、
  私は私の自由要素に気付く事が出来ず
  (私の木星と土星は結構強力)、
  人生を楽しく過ごしにくかったと思うので、

  両方あっても別に良いと思うの。

以上
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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