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エディット・ピアフという人物

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 しばらくシャンソン記事を再掲してきましたが、
 シャンソン以前にそもそも、
 ピアフという人物が大好きだという話。

 見出し写真はピアフの代表曲の一つ、
 『私の回転木馬』をイメージ。

(文字数:約1700文字)


  注意:史実には必ずしも基づかず、
     あくまでも私のイメージ上の、
     ピアフについて語ります。


名前からルッキズム自虐ネタ

  ピアフ、という芸名自体が、
  142cmと小柄である事からの愛称で、
  スズメ、の意味だという。

  しかしフランス語を習っていた身にとって、
  正式なスズメは「moineau(モワノー)」だ。

  Piafは主にパリのスラングで、
  おそらく鳴き声をイメージしたもの。
  「チュン子」みたいな感じだな。

  ピアフ自身も生前、
  ワールドツアーでアメリカに赴いた際、
  「どんなフランス美女が来るかと思ったでしょ?
   ごめんなさいね。こんなチビで衣装も冴えなくて」
  と自ら登場時に言い放っている。

  もちろん歌声が半端無いからこそ、
  笑いに出来るんだが。

  その一方でEdithの語源は、
  「富の支配」。

  ……いいじゃねぇか下剋上っぽくて。


そもそも大道芸人の娘

  私と出自が似通っている……(めまい)!
  
  もちろん同一ではないし、
  厳密に言えばかすっている程度。
  ある意味私の方がより底辺に近いが。

  10歳前後にして街角で、
  「私は売女」なる曲を歌って、
  金をもらっていたって、

  10歳前後にして既に、
  その選曲を納得させられるか、
  面白がらせられるだけの、
  表現力を駆使していたという事だろう?


表現力の幅広さ

  シャンソン全域を見渡した訳でもないので、
  はっきり断言できはしないが、
  ピアフの楽曲の幅広さたるや、
  女優である事はもちろんネタだったりもする。

  エレベーターの到着、
  すなわち愛しい人に逢えるまでの時間を、
  一階ずつ待ち侘びている心持ちだったり、

  すり切れて音が歪んでいく、
  レコードの声真似だったり
  (しかも歌詞を読み込めばちゃんと泣ける)、

  「七つの大罪」に取材した、
  壮大な古典的楽曲の一方で、
  当時の上流階級からは蔑まれた、
  酒場で流行りの音楽だったりする。

  アメリカで当時大人気の、
  オートバイに跨った風に見せたりもする。

  代表曲は『愛の讃歌』に『バラ色の人生』だが、
  ピアフファンの間でとりわけ評価が高いのは、
  『ミロール』だ。 

  大失恋の後悪友どもから、
  飲み屋街に色街にと担ぎ込まれて、
  相手に出て来た女の前でも泣いてばかりいる青年、
  ミロールに語りかける、
  その場末の女。

  ……男性にとっても女性にとっても、
  これ以上に沁みるシチュエーションがあるかね!

笑ってごらんミロール
ちょっとだけ 笑ってみるんだよミロール
ほら かっこいい
いい笑顔になってきた いい男だねぇ
歌ってごらん ミロール
踊りなよ ミロール!
どうせアタシしか見ちゃいないんだから
バカみたいになったっていいんだ 楽しいだろ

『ミロール』のラスト部分を偏光意訳

  いみじくもピアフファンを名乗るのであれば、
  習得を目指すのは『ミロール』でありたいところだが、
  私にとってはこちらこそが、
  「ピアフにしか歌えない、いや、
   ピアフしか歌ってはならない」曲なので。


究極的かつ積極的平和主義

  スキャンダルも様々にあったピアフだが、
  生前わりとしっかり非難された出来事は、

  第二次世界大戦中、
  フランスは占領下にありながら、
  ドイツ軍に招待されて歌いに行った事だ。
  それも一度や二度ならず、度々。

  当時のピアフの言い分が、
  「望む人がいればどこにだって行くわ」

  ……最高じゃねぇか!

  敵対する両陣営から望まれる、
  こういう歌手や表現者が、
  今こそいてほしいじゃねぇか!
  
ていうかだから私がなりた(注意:
      このエピソードの詳細に裏側は、
      正式な評伝に当たって下さい。)    

   
  正直このエピソード一つだけで、
  私がピアフを敬愛するには充分過ぎる。

何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!