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【創作大賞感想】青豆ノノ『ソウアイの星』

 感想記事全体の思惑:セブンソード的な試み

 本作品及び様々な方々からの感想記事が、
 創作大賞2024期間中ずっと、
 「今日のあなたに」欄に表示され続けていたから。

  初読時:約1時間半
  再読時:1時間20分
  本作の場合は初読時の新鮮さを大事にしたい。

(文字数:約2000文字)



なるべくネタバレせずに話の流れ

  幾千の星に抱かれて
  ロマンを叫び続けて

LUNA SEA『End of Sorrow』

  失礼。
  好きな曲の歌詞が読後の頭に思い浮かんだだけです。


  クリスマスから年末年始にかけての、
  吉祥寺が舞台。

  推しバンドの活動休止と、
  ボーカル朔也の声帯手術を知らされた流香は、
  頭の中にいる友人、ルナと共に、
  年明けからの手術と術後の経過を見守る。

  朔也とは人気が出る以前から関わり、
  親しくなれそうではあったものの、
  バンドを推し続けるために、
  ファンとアーティストとしての距離を置き、
  保ち続けてきた関係が揺れ動く。

  その揺れ動き加減が、
  きらめきつつも美しい見どころ。


重箱の隅をつつくのが大好き

  誤字脱字の類いは、
  「いづれ」は「いずれ」が良くないか?
  程度の二つ三つしか見当たらなかった。
  相当に神経を注いである。

  明確に指摘できる項目が無い、
  という事は、
  以下はあくまでも私の好みに基づく、
  「提案」になります。

  3点ございます。

  1.所々の語句選びに違和感。

    「一先ず」や「窘める」を、
    漢字で思い描き口にするような、
    主人公たち世代でしょうか。

    それを言い出したら私も、
    昨今の若者言葉などは、
    到底使いこなし切れないのですが、

    主人公たちが使いそうにない語句は、
    書けてもあえて選ばない工夫も、
    必要になると思います。

  2、流香の職業が分からない事が、
    ちょっと残念。

    推し活がメインの恋愛小説であり、
    具体的な生々しさが無い方が、
    感情移入しやすい面もありますが、

    どういった顧客を相手に、
    日々どのような気を使っているかが、
    もうちょっと記されていた方が、

    ⑨でのルナとの衝突シーンに、
    説得力が増します。

    現状でも社会人経験がある読者なら、
    概ね察し切れない事もないですが、
    顔が見えないお隣さんとの、
    今後の関係性の方が気になります。

  3.最後まで読み終えた上で、
    冒頭のモノローグに戻ると違和感。
   
    筆者としてはどうしても、
    入れたい文章だろうと察せられますが、
    この話全体の冒頭として適切でしょうか。

    ここに一行分くらいの、
    流香っぽさを乗せて欲しいです。

    ネタバレあるいは既読感につながる
    恐れはありますが、
    現実あるいは流香の本音と思われる方が、
    デメリットが大きい気がします。


沈めクッションの海に沈むがいい

  畜生可愛いじゃねぇかこの女。

  わざとやってんのか?
  狙ってやってくれてた方が、
  むしろ男の側は救われるんだがな。

  好意を持ちながら眺めてる男には、
  たまらなさ過ぎる光景やないかい、

  と私の中のおっさんが、
  ワンカップ片手にクダを巻いちまうぞ。

  何もせえへんて。
  何もせえへんから姉ちゃん、
  いっぺん一緒にゴハン行かへんか。
  もちろんおっちゃんがおごったるがな。
  おっちゃん若い子が元気よーぉ、
  目の前で食事してくれんの、
  ただ見てんのが大好きやねん。
  ホンマにそれだけやねんて。

  とか言うても絶対来ぇへんよな。
  つまりどういう事や。分かるか姉ちゃん。

  お前それでその男に惚れてへんとは言わさへんぞ。  


ルナちゃんは程度の差こそあれ割といる

  しれっと日常的に存在していて、
  しかもルナちゃんも可愛らしいので、
  つい誤魔化されてしまいそうだが、

  メシ食えよ。

  ルナちゃんが生まれて存在し続けてる原因は、
  きっとそこだぞ。

  女の子は太ってちゃ可愛くない、とか、
  食い意地が張ってるところを見せちゃダメ、とか、
  悩み事がある時は食欲がなくなるのが普通、とか、
  当然のように常識のように言われ続けながら、
  育って来なかったか?

  流香の心身に必要なだけの、
  栄養分すら摂取できていないじゃないか。
  脳的に、かつ肉体的には、
  もっと食ってもらわな困るんだよ。

  かく言う俺はまた別の理由で、
  常に脳内を3人で暮らしているんだけどな。
  (故に身は女性だが時におっさんも出る。)

  こちとらわりと命に関わる深刻さで、
  ルナちゃんと流香みたく、
  仲良くおしゃべり出来るのホンマに羨ましい。

  自覚までは無いかもしれないし、
  名前までは付いていないかもしれないが、
  大抵の女子にはいると見た。

  もちろん本体を守ってくれる存在だ。
  無視せず大事にしておいた方がいい。


以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。

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