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持ち物準備で見えてきた身業

 まず私は小柄で、
 手足も小さい身体的には女性である。


 5年以上前、
 サイズ感も色柄デザインも、
 細部まで私の好みに適ったバッグに出くわし、
 即購入して以降は基本的に、
 どこへ行くにもそのバッグだった。

 壊れたとて修理屋さんに依頼して、
 直しながら使っていたのだが、
 昨年ついに修理屋さんから、

 「次に壊れたらもう修理はいらないと思いますよ?
  (そもそも経年劣化で全体的に弱っているし、
   修理代の方が製品の値段より高くなりますよ?)」
 と言われてしまったので、

 そしてついにまた壊れてしまったので(泣)、

 とりあえず私の場合は図書館で、
 厚めの本2、3冊を借りて運べたなら良い、
 と割り切って、

 100円ショップ+α的なお店で、
 持ち歩いても嫌ではない程度の、
 丈夫そうなトートバッグを税抜300円で購入した。

 高野山にもそのバッグで行く予定だったのだが、


 「奥の院歩くんだよね。
  リュックの方が良くない?」
 と見かねた配偶者が、
 自分の持ち物の中では割と小振りなリュックを貸してくれた。

 「ありがとう。ただ荷物は減らしたいんだ。
  そして歩きながらメモを取りたいので、
  すぐ取り出せる位置にポケットが欲しい」
 と話すとボディバッグも貸してくれた。

 「ありがとう。ありがとう」
 と大変に感謝しつつ荷物を入れ収めて、
 リュックを背負い、
 ボディバッグも胴に締めてみた。


 配偶者は180cm後半の、
 手足もでっかい男性である。


 彼にとっての小振りであったとて、
 私にとってはバッグそのものがでかくて重い。

 「見た目はともかく機動力は高まるよ♪」
 と配偶者は笑顔だが、
 貴様も「見た目はともかく」言うてしもうとるやんけ。

 「お気持ちは大変にありがとうなんだが、
  やはり普段使い慣れたバッグで行きたい」

 と結果的に、
 御朱印帳や小銭入れや輪袈裟や数珠といった、
 ちょっとした小物だけ持って外出したい場合用に、
 金峯山寺でもらったエコバッグだけ拝借した。

 パッと見では分からない、
 この諧謔をどなたか察してくれるだろうか。


 この一連の流れで思ったのだが、

 私は小柄で手足も小さく、
 周囲から満足される仕事を人並みにこなす事が出来ず、
 他人様からも侮られ軽んじられる要因になると、

 長らく不都合に思ってきたのだが、

 配偶者は身体とのバランス的に、
 どうあっても私よりは大振りな道具類を使わざるを得ず、
 日々の食事も私より1.5倍は必要だ。

 食欲の問題ではなく、
 平均より大柄な男性の身体を維持機能させるだけでも。
 (実際に一時期彼自身の、
  「経済的に厳しいし食欲を抑えたい」
  という希望で食事量を減らした結果、
  排泄が上手くいかなくなり体調を崩した。)


 小柄で小造りな方が身業、
 つまり身体に伴う業は深くない。

 そして大柄に生まれついた事それ自体は罪ではない。
 大柄でなお貪れば業が深まるだろうけれども。



高野山の旅まとめ


何かしら心に残りましたらお願いします。頂いたサポートは切実に、私と配偶者の生活費の足しになります!