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これだけは知っておきたい『配筋基礎知識』

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鉄筋工事は建物の安全を確保するために非常に重要な工程ですので、配筋検査は、専門工事業者・施工者・監理者・審査機関が各々個別に行います。適切な配筋を行うには最低限の知識が必要となり…
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#鉄筋

配筋豆知識『壁』

配筋豆知識『壁』

継手一般壁の壁筋の継手は、原則として壁内とし柱・梁内には設けないようにしましょう。

地下外壁縦筋の継手位置は、屋内側は端部Ho/4、屋外側は中央Ho/2となります。

地下外壁横筋の継手位置は、屋内側は端部Lo/4、屋外側は中央Lo/2となります。

下階の縦筋とピッチが異なる場合などの継手は、あき重ね継手とし、台直しはしないようにしましょう。

継手長さが確保できない場合は、フレア溶接(片面、

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配筋豆知識『スラブ』

配筋豆知識『スラブ』

主筋と配力筋スラブ筋には、主筋と配力筋があり、一般的に短辺方向が主筋で、長辺方向が配力筋になりますね。

3辺固定スラブなどは、長辺方向が主筋になることがありますので、構造図をしっかり確認しましょう。

主筋と配力筋の上下は、主筋が外側(上端筋は上、下端筋は下)で配力筋は内側に配筋します。

配力筋は、応力を分散したり、ひび割れを抑制するための鉄筋です。

定着上端筋の定着長さはL2ですが、梁幅が

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配筋豆知識『梁』

配筋豆知識『梁』

継手位置大梁の上筋の継手位置 : 中央のLo/2

大梁の下筋の継手位置 : 柱面から梁せいD以降のLo/4

小梁の上筋の継手位置 : 中央のLo/2

連続小梁(内端)の下筋の継手位置 : 柱面からLo/4

単純小梁(外端)の下筋の継手位置 : 柱面からLo/6

片持ち梁の継手位置:上筋での継手はNGで、下筋はどこでもOKですね。

Lo:柱内法寸法

定着定着の起点 : 柱主筋(梁筋)か

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配筋豆知識『柱』

配筋豆知識『柱』

配筋の基本ルールは、物件毎の構造図の配筋標準図によりますので、ここでご紹介するのは一例とご理解ください。

継手位置一般階の柱主筋の継手位置  :  梁天から500以上、上階の梁下からHo/4以下

1階の柱主筋の継手位置    :  梁天からDかつHo/4以上、上階の梁下からHo/4以下

上限の高さは、圧接作業の安全性を考慮して1500以下とする場合もありますね。

Ho:柱の最大内法寸法
D

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配筋豆知識『基礎』

配筋豆知識『基礎』

配筋の基本ルールは、構造図の最初にある配筋標準図なんですが、統一されている訳ではなく、日本建設業連合会・日本建築学会・東京都建築士事務所協会・関西建築構造設計事務所協会などの団体で作成されている他、大手ゼネコン、大手設計事務所では自社で作成されていて内容は必ずしも一律ではなく異なる部分がありますので、物件毎に確認する必要がありますね。

ここでは配筋のポイントと豆知識をご紹介したいと思います。

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鉄筋は端っこが大事なんです -鉄筋のフックのはなし-

鉄筋は端っこが大事なんです -鉄筋のフックのはなし-

【フック形状の規定】鉄筋の端部はどうなっているのでしょうか。
直線の場合もあれば、折り曲げている場合もありますよね。

なぜ、鉄筋の端部は折り曲げることがあるのでしょうか?

鉄筋の端部にフックを付けることでコンクリートと鉄筋の付着力を高めているのですね。

折り曲げ角度により、余長(鉄筋を折り曲げた後の直線部長さ)が異なり、フックの折り曲げ角度が緩やかになると、余長が長くなっていきます。又、鉄筋

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鉄筋をつなぐ継手

鉄筋をつなぐ継手

鉄筋は運搬できる長さに制限があるため一定寸法に切断されます。
工事現場では、長尺の鉄筋が必要になりますので、鉄筋をつなぎ合わせなければなりません。このつなぎ合わせる部分を継手といいます。

継手の種類には、重ね継手・ガス圧接継手の他機械式継手やフレア溶接、エンクローズ溶接継手のような特殊な継手もあります。

【重ね継手】一般的にD16以下は重ね継手とすることが多く、鉄筋と鉄筋を重ねて結束するのです

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鉄筋の間隔のはなし

鉄筋の間隔のはなし

【鉄筋のあきには規定があります】鉄筋のあきはなぜ規定されているのでしょうか?
鉄筋に適切なあきがないと、骨材がひっかかりコンクリートが周らなくなったり、適切な付着力が得られずコンクリートと一体化し難くなる為、鉄筋のあきが規定されています。

鉄筋のあきは下記の最大値になります。
①25mm以上
②粗骨材径の1.25倍以上(粗骨材径の最大寸法は25mmが一般的)
③鉄筋径(呼び径)の1.5倍以上

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鉄筋の『かぶり』はなぜ重要か?”かぶり厚不足は違法になります”

鉄筋の『かぶり』はなぜ重要か?”かぶり厚不足は違法になります”

絶対に確保しなければならない『かぶり厚さ』鉄筋のかぶり厚の確保は鉄筋工事の最重要事項の一つです。

かぶり厚さはなぜ重要なのでしょうか?
 ①コンクリートで鉄筋を防蝕し錆による爆裂を防ぐ
 ②火に弱い鉄筋をコンクリートで被覆し耐火性能を向上
 ③鉄筋の付着を確保しコンクリートと一体にする

かぶり厚は建築基準法施行令第79条で規定されている事項で、不足している場合は訴訟問題に発展することもあります

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何と何をくっつけるのか?『鉄筋の定着』

何と何をくっつけるのか?『鉄筋の定着』

答え柱に大梁筋を、大梁に小梁筋やスラブ筋をのみ込ますことによって、各々の部材を剛接合し、基礎から屋根まで一体化した構造体を造り鉄筋コンクリート造となります。

定着は配筋の最重要事項です鉄筋の定着長さ(L2)は、設計図毎の標準仕様書や配筋標準図に示されてしますので、そちらをご確認下さいね。
鉄筋強度が高くなると定着長さが長くなり、コンクリート強度が高くなると定着長さは短くなります。

定着起点は鉄

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配筋に上下内外あり

配筋に上下内外あり

配筋で鉄筋が交差する時、どちらを上(外)にすればよいのでしょうか?

もちろん図面に明記されている場合は、それに従うことになりますが、一般的なルールはあるんですね。
基本的に、部材の断面内で鉄筋が離れているほうが構造的に有利になりますので、鉄筋が交差する場合はより重要な鉄筋を外側に配筋することになります。

大梁主筋大梁主筋の柱内で交差し、上下は物件により異なりますので図面にXY方向の主筋の上下が

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鉄筋のかぶり厚を確保する『スペーサー』

鉄筋のかぶり厚を確保する『スペーサー』

スペーサーは、鉄筋の下部及び側面のかぶり厚を確保するために鉄筋を保持するものです。
鉄筋を保持するもの全てをスペーサーと呼んでもいのですが、水平方向のスラブ筋などを保持するものをバーサポートと呼ぶこともあります。

スペーサーの材質スペーサーの材質には
・コンクリート製
・スチール製
・プラスチック製
がありますが、プラスチック製のスペーサーは側面に限り使用することができますので、ベース筋、スラブ

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