かっぱ食堂キッチンカー店をやってみて

概要

川西市中心市街地活性化協議会さん主催のキッチンカーシェアリングという事業に参加させていただいた。1台のキッチンカーを6組のお店が曜日替わりでレンタルし、川西能勢口駅前の藤ノ木さんかく広場で出店するというもの。期間は、私が参加させていただいた今回(2021年)は9月~11月の3ヵ月だった。
かっぱ食堂は月曜日担当で沖縄料理店として営業していた。
この投稿では、シェアリングでキッチンカー営業を体験してみた感想をまとめたいと思う。

シェアリングという形でのキッチンカー利用について

※まずは注意点
3ヵ月間 週1回の営業なので、この取り組みで生計を立てるのは不可能と考えた方が良い。もっと率直に言えば、ある程度の赤字は覚悟のうえでやるのが望ましいと思った。私の場合は、引っ越したばかりの中でお店を始めるべく物件を探して…と、生活拠点づくりと店舗立ち上げを同時進行でやっていたので、開店の準備にはある程度時間の余裕がある方が良くて、その中で お店の営業を体験させてもらえるのは非常にありがたく、また店舗開店の宣伝もさせていただけたので、かなり良かった。そういった「お金を稼ぐ」以外の目的があればすごく良いと思う。実際、申し込みをする際にもそこは注意点として説明をいただいていたし、他の曜日の担当さんも、それぞれに違った目的を持って取り組まれていた。

ということで、やってみて思ったことを挙げていく。

・実践しながらご来店のイメージをつかめるのが ありがたかった。
これはかなり大きい。お店を始めるなら、人の流れやその地域のニーズ、客層などなど、あらかじめ調査して場所を決めて、と進めていくのはセオリーだと思うけど、私はこういうの とても苦手。知ってる土地でも出来る自信がない。その点、キッチンカーシェアリングは「来てもらえるかな」という不安を軽くしてくれた。「ターゲット層は?」と聞かれると未だに返答に困ってしまうけれど、実際にキッチンカーに来店してくれた皆さんの姿が思い浮かぶので、来てもらうためにすべきことはイメージできるようになった。

・楽しい!おそらく人生一度きりの経験
キッチンカーで開業する方にとってはこれから日常になっていくことだけど、店舗開業を目指す私にとって、キッチンカーでの営業は、今生もう経験しないことだと思う。やろうと思ったらできるのかもしれないけど、今回よりも相当頑張らないといけない。なかなか困難だと思う。そう考えると、キッチンカーで営業したことがあるという思い出は、私の人生にとって とても貴重なものである。

・経営の難しさを「疑似体験」できる
注意点で「生計は立てれない、赤字覚悟」と書いたが、これは自分でお店を構えてもリスクが無い項目ではない。どころか、実際に自分が手に入れたお店でそういう状況に陥った場合にはもっともっとダメージが大きいだろう。経済面だけでなく、精神面でも大変なことである。始める前からそんなことばかり不安に思っていてもしょうがないのだけど、だからこそ、「お試し」でそいういった面を経験できるのは非常に大きな意味があると思った。赤字でも大損害にはならないし、終わりが決まっているぶん、フットワーク軽く戦略を立てることができる。イメージしていたとおりではあったけど、お店をやるのは大変なことだ。大変さゆえ「やっぱりやめよう」という結論にたどり着く人もいるかもしれないけど、それが やってみる前に分かるのはとても良い。

キッチンカーという営業形態について

せっかくなので、キッチンカーという形態全体の感想も述べておきたい。

・小回りが効く
まず、費用。キッチンカーは店舗に比べて圧倒的に固定費が少ない。車を買えば税金や保険はかかっていくし営業場所によっては場所の使用料が結構かかるのかもしれないけど、でも店舗の家賃+光熱費に比べると安く済むと思う。
そして、場所。キッチンカーシェアリングは藤ノ木さんかく広場に固定だったけれど、自前で営業されてる方々は「〇日はここ!」と場所を変えて営業することで幅広い地域の顧客を獲得することができる。
色んな場所を回ってたくさんの人に会いながらお店するのって、夢があるなぁと思う。

・メニューは要工夫
メニューに関しては店舗よりも一段上の工夫が必要だった。色々やりたければ設備が必要で、設備を増やすと設営の負担は大幅に増す。また、衛生管理も店舗よりも難しく、「車内で完結する」「シンプルな動線にする」というのは1つの解答だと思った。品数を増やせば選択肢が増えるし売り上げが増える可能性も上がるけど、「そこまでやれない」という意見が出れば大きくうなずいてしまう。…って言いながら、かっぱ食堂は「やれる最大のことをやろう」という方針で、これ以上無理!という品数にチャレンジしたのだけど。おかげさまで、メニューを眺めているお客さんを見るのも、色んなものをお買い上げいただくのもとても嬉しかったし、非常に良い経験になった。
車内でシンプルに、かつバリエーションを増やす、という方向で工夫されてるお店は、スイーツ屋さんで多く見受けられるように思った。

・天候が芳しくない日も要工夫
かっぱ食堂は ほぼテントで調理していたけれど、車の外に調理スペースを構えるのは移動販売車の営業許可とは別で露店の営業許可も必要なので、「キッチンカーやる」と言った時にはテントは含まれておらず、必要があればその2つの許可を取得しなければならない。外で調理する想定で両方の許可を取れるならそれで問題ないかと思いきや、天気によって事情が全く違った。まず強風の時。藤ノ木さんかく広場はビル風が吹き抜けるため「強い風に気をつけて」と最初に教えてもらっていたのに、正直甘く見ていた。テントはびっくりするくらい風にあおられる。風対策は常時必要だった。次に雨の日。テントで雨の日に営業するのは、かなりきつかった。具体的に例を挙げると、車や水道との行き来で都度濡れる、テントのコンディション(雨漏り・水跳ねは無いか、屋根に水が溜まっていないか、など)を気にかけながら調理をする、といった点だ。というわけで、前項でも同じ感想を述べたが、車内だけで完結する営業も視野に入れた方が良いのだなと学んだ。
また、来客数の面でも、雨の日はやはり、ガクっと下がる。その事実とどう向き合うかは、キッチンカーでお店を続けていく上では考えざるを得ないと思う。雨の日はお休みにしよう!というお店もあるだろうし、雨の日来店特典という方法も聞いた。雨の程度にもよるし。毎回、天気予報とにらめっこしたり急に降りそうになって焦ったりしながら検討していた。

くきたふみや氏の助言

いやもう、書きだしたらキリがないので、1つだけご紹介します。この記事を読んでくださる方は、くきたさんのお名前聞いたことある方がほとんどだと思うので、ご本人紹介は割愛します。

「売り切れを出さないように心がける。全部が無理でも、せめて看板商品であるソーキそば(とソーキ単品)だけでも。店員の手が空いてるのに商品がなくて売れないという事態はシステム上のエラーであり解決すべき課題」

これは9月前半の営業の時にアドバイスいただいて、そこからずっと意識していた。キッチンカーは食材保管キャパや仕込みの観点から、ストックを増やすのがかなり難しい。週一の営業だと在庫管理も難しく、廃棄が増えれば利益は減るし食品を捨てるのは喜ばしいことではない。だけどそれはお店の内部事情であり、来てくださるお客様には関係ない。何より、せっかく足を運んでくださったのに何も出せないのは非常に心苦しい。どうすればお店側の負担少なく売り切れを出さないで済むかを、くきたさんは一緒に考えて協力してくれた。最初の頃は、売り切れは出るわ提供にも時間がかかるわ…と問題が山積みだったのを、何をまず解決すべきか助言いただいて、優先順位がしっかり見えたことによって、早い段階で売り切れ対策が取れたし、以降はそれはシステム化できているので悩まずに済み、提供に時間がかかるという課題検討にスムーズに移行できた。どっちつかずに悩み続けることなく進められた。

まとめ

引っ越しが思ったより遅くなってしまい、しかも「やれるだけいっぱいやってみよう!」と品数とかをかなり頑張っていたので、最初は相当大変で、どうしようかと思ったけど、無事に完了できてよかった!
今までイベントをやったり間借りで1日店長をしたりしたことはあったけれど、「かっぱ食堂」としてお店を構えた中では、このキッチンカーが初めての取り組みだったので、記念すべき第一歩として、ここに記します。
末筆ながら、お世話になっている皆様に多大なる感謝を申し上げます。いつもありがとうございます!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?