カメとばばあ
飼っているカメがどんどん大きくなる夢を見た。
同じ水槽の金魚はずっと小さいのに、
同じ水槽のカメは
最初はミドリガメくらいだった大きさが
馬鹿でかいリクガメサイズになっていくのだ。
カメは、私をお母さんのように慕っている。
そのことがヒシヒシと伝わる日々。
友達が遊びに来て、
2階でお喋りをしようということになる。
金魚とカメの水槽の水を足してやらないとな、
と思うが後回しにする。
結構喋ってから戻ると、
水槽が干上がっていて、
金魚がビチビチ跳ねていて、
カメはひっくり返って足をバタバタしていた。
カメはまたデカくなっていた。
慌てて水を足してやると、
私の母が隣に来て小言を始めた。
母は、今の母ではなく、
私が小学生くらいの時の母だ。
水を足せと言ったのに聞かないからとかなんとか
今更イチイチ言ってもショウガない様なうるさい事を
つべこべ言っている。
煩いと言うと、
狂ったようにもっと何か言い始める。
気が付くと、カメが貞子の様にズルズルと
水槽から這い出してきている。
ほぼホラーである。
顔を上げたカメは人間で、
美男子であった。
背は180センチくらいもあって、
ただやっぱり身体はカメだった。
丁度でかいカッパのような風体だ。
私のそばに来たカメは、
くしゃくしゃの顔をして泣きながら、
放っておかれた事について文句を言いながら
抱っこしてと甘えて来る。
流石にデカいから抱っこは無理で
仕方なく、おんぶしてやると喜んだ。
カメをおんぶして、
まだ隣で煩い母親から離れるために
トコトコと歩き出した。
すると母は、私の左手の肘の辺りを掴んでついて来る。
私の隣で相変わらず、
ずっと狂ったように何か説教のような事を言って来る。
カメも私もほとほと呆れるが、止む気配なし。
母に煩いと怒鳴ると
もっと大きな声で何かまくし立てて来る。
イライラして来て、心の中で思い切り母に爪を立てていた。
殺してやりたい、と思うほどムカついて、
壁に思い切りぶつけてやりたいと思いながら起きた。
起きた時、ああ私は小学生の時、
本当にそう思っていたなあと思い出した。
左側にまだ母親の呪いのような気配があった。
でも今の自分がどこか、あの時の母親の様に
私の息子に煩く言っているのだろうと反省した朝だった。
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