「ホメオパシー」
理科教育を専門とする大学教員が書いた『暮らしのなかのニセ科学』(左巻健男著)を読んでいたら、第5章 あの健康法に効果ある? 1.ホメオパシー に面白い記述をみつけました。
そもそもホメオパシーって何?という向きもいらっしゃるでしょうか。代替医療のひとつで、同書では、
と紹介しています。
〈薄めて〉とありますが、どのくらい薄めるのかというと、
ということだそうです。さらに、2010年当時の日本学術会議の金澤一郎会長(医者、医学者)の次のような談話を紹介しています。
こう書かれると、ソレが「ただの水」であることは〈誰もが理解できること〉、つまり、常識人なら当たり前ということですね。
ここまで読んで、思い出したんです。たしか、どこかの難関中学校だか高校だかの入試問題だと喧伝されていた「問題」のことです。
それは、
という問題でした。
みなさんは、いかがお考えですか? 「ひとつも入っていないんじゃないか」というのが、私の第一印象でした。これは〈誰もが〉考えることじゃないでしょうか。えっ、違う?
さて、答えの解き方は、コップ一杯の水(体積180cc)に存在する水分子の数を計算します。…①
次に、世界の海の体積はコップ何杯分かを計算して…②、それで割ってやれば良いわけです。①÷②ですね。
世界の海の体積は、WIKIPEDIAによると、1349.9(百万km^3)とあります。自分で計算してみたところ、約800になりました。ええっ、そんなにぃ、ホンマかいな。
この問題を、京大法学部出の元大手商社マンの年配の先輩に出したら、「アリエナイ」の一点張り。
「だからぁ、180ccの水は180グラムだから10モルでしょ。1モルの分子数は6.0かける10の23乗…」と説明しても、「そんなわけがない」「常識で考えて、1個も戻ってくるはずがないやろ」「理屈がどうでも、間違っておる」と頑固なんです。
今調べたら、ちょうど良いサイトがありました。
https://onsuku.jp/blog/sugaku3_column_003
こちらでも答えは800になっているようです。
いかがですか。
ここは「日本語」を述べるマガジンですので、ホメオパシーについては語りません。冒頭に記した通りです。しかし、日常的な常識と、科学的な事実とは大きな乖離がある場合があります。
だから、金澤会長がおっしゃった〈誰もが理解できることです〉と、なかなか安易には言えないんですね。
そうそう、ついでに。
講談社ブルーバックスに『世界は「e」でできている』(金重明著)というのがあって、面白い。「e」って何だ?というのは、ここでは説明できません。該書の第1章は「人間の脳を裏切る指数関数」とあって、
と著者自身の考察が披露されています。簡単に言うと、長く続いた石器時代の生活が線形思考をするように脳を育んだというものです。私としては一部異論があるものの、とても面白い本ですので、ぜひ一読をお薦めします。こんな「問題」も載ってありましたので、最後に引用させてもらいます。
答え:59分。1分後に2個になったところから始まったと考えればよろしい。
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