時を遡って罰せられる時代

ダウンタウンのまっちゃんが、芸能活動を休止すると発表した。

前にも言ったかもしれないが、私は別にダウンタウンの熱狂的信者ではない。ただ、芸能界における影響力は莫大であることに違いないし、芸能界の長者番付トップ10に長きに渡って君臨し続けているような人である。

報道されているような事実があったかどうかは、私が言及する立場にないので控えるが、ここでは昔あったことをどこまで遡って蒸し返されるのか考えてみたい。

そういうような事件で有名なことは袴田巌さんの冤罪かもしれない。これに関しても私が生まれる前の事件を未だに争っていたりする。

冷静に考えてみると、世界の戦争なども昔のことを蒸し返して、現代の全く関係ない人達にむけて憎しみをぶつけているような気がする。

今を生きる人達にとってみたら、そんなこと本当にあったのかどうか事実もわからないわけだし、よく第二次世界大戦を始点として語られるが、それより前から私達の民族は生きていて生活を続けていたわけである。

昔、米軍に悪さをされた人はアメリカ人に対して良いイメージを持つことは難しいだろうし、そういう思考は人間にとって珍しいことではない。

ダウンタウンのまっちゃんのケースで言えば、完全な犯罪になるケースもあれば、同意の上で事に及んでいた可能性もある。ただ、実際のところは昔の話でよくわからないし、週刊誌の報道が、どこまでが真実でどこまで嘘かわからない。

私達の日常でも「あなたのせいで10年前に満員電車の中で足を踏まれて、足の指を骨折しました。」と言われて、何々線の何両目で、何時に乗っていて、などと勝手に状況説明されたら、本当に生まれて一度も行ったことがないと確信できる場所じゃなければ、絶対に自分はやってないとは言い切れない。

昨日、一昨日のことなら記憶も鮮明だろうが、10年近く前のことを今更思い出そうとしても、よほど思い出に残った日じゃない限り無理だと思う。

被害者も自分の都合の良いイメージを作り上げてしまうかもしれないし、その時の状況を思い出しすぎて、恐怖から実際に起ったことより、時を経てオーバーに改ざんして記憶に植え付けてしまうということもあるだろう。

なぜこんな面倒な事件が起こるのか考えてみると、軽犯罪みたいなことが昔は許されていたからだと思う。昔は電車の中でタバコをバンバン吸って車内や道端にバンバン捨てていた。今だったらあり得ないが、それが当たり前で何の罪悪感もない時代があったことは事実である。

そこまでのことじゃなくても、日常生活や周りの環境で、そのような軽犯罪的なことが見過ごされてきたこともある。「みんなやってるからいいじゃん。」みたいな感覚で、善悪を考えずにやってしまう人間は多い。

これは個人だけでなく、会社の経営やハラスメントの基準なども、極端に言ってしまえば、昔は良いとされていたことが、現代では犯罪レベルの正反対の認識に変わってしまったと言っても過言ではない。良いことをやったつもりなのに、犯罪者扱いされるオジサン・オバサンはよくいる。

昔はそういうことがあって変な時代だったよね。と言って笑えれば良いのだが、仮に何年も前のグレーゾーンの事を、現代に蒸し返されて訴えらたりした場合、どうしたらいいんだろうか。

本人の同意なく女性を裸にしたりするのは、もちろん犯罪になる。だが、昔はテレビでよく女性の裸が放送されていた。仕事とはいえ、「本当は私はあんな番組に裸で出たくなかったんです。」と言って、訴えることはできるんだろうか。

昔であれば、今より法整備がしっかりしてないだろうし、同意書を書かせるなんてこともしてない可能性が高い。それに引き換え、動画のような証拠が残っている場合、当時放送されていたエロい番組などのディレクターやプロデューサーを訴えることはできる可能性もある。

会社からの圧力で、裸でテレビなんか出たくなかったけど、無理やり強要されたんです。と訴えれば、かなり多くの人が賠償金と取れる可能性がある。エロい番組じゃなくても、テレビ番組の中で司会者が女性アシスタントのケツを触ったり、胸を揉みしだくような映像も普通に残ってると思う。

そういう映像なんかを証拠に全て訴えれば、当時の事で罰せられる人達が何人も出てくるかもしれない。じゃあ、ほとんどの被害者が訴えてないからオッケーなんだ。という認識も違うと思う。やられて嬉しいと思う女性はほぼいないだろうし、訴えるのも手間だし、嫌な思い出なら今更蒸し返して当事者と関わりたくないと思う人も多いだろう。

日本には昔、”夜這い”という風習があったらしい。それが現代に残って無いということは、誰かがどこかで終わらせたキッカケがあるはずである。そのような転換点になる時代が現代なのかもしれない。

ついこの前の女盛り考記で簡単にホテルに行くことの性的同意が話し合われていた。

ホテルに二人きりで行くことは、同意しているのかどうか。これはよく話題になるが、嫌なことをはっきり断るという文化が日本に無いせいで、かなり面倒なことになっている。

現実的に考えれば、女性が嫌がって合意していないのに2人でホテルに行くという流れになるのは考え難い。無理やり腕を引っ張られたり、何かで脅されたりしたら話は別だろうが、「Yesと言ったけど、本当は嫌だった」みたいなことを事後に言われた時、どうしたらいいんだろうか。

通販など物を買う時の状況で考えてみると、その商品に対して事実と異なる説明や、誤解させるようにオススメされて購入してしまったら返品できる。だが、しっかりと真実を説明されて、返品もできませんよ。的なことまで言われてから、返品したいと言っても無理。ということが一般的かもしれない。

この動画で話されているように、いい年齢の大人が男女でホテルへ行こうと提案された時、そのような行為に及ぶものという事が常識になってるかどうか。ということが1つ鍵になるかもしれない。

ホテルならわかりやすいが、もっとグレーゾーンが家の場合だと思う。女性の中には、そういう性的な行為をあからさまに言うんじゃなくて、何か別の理由で誘って欲しい的なことを言う人もいる。これが実際、かなり面倒くさいことの原因になっているように感じる。

「なんか高いワインもらったから、うちん家で飲まない?」みたいなことだったり、「犬飼ったから見に来る?」とか、「でかいテレビ買ったからそれでNetflix見る?」とか別に何でもいいと思う。

家で男女二人になるという共通認識の上で、夜で飲んだ後で寝る時間だったとしたら、そう言ってるけど、実際はもうそういう事だよね。的な共通理解はあるのが日本の常識だと個人的には思う。

ただ、終電ギリギリの時間で本当にワインだけ飲みに来たり、ペットの犬だけ見て帰る人とかがいても、まぁおかしくないとも思うし、それを無理やり引き止めたら多分犯罪になるんだと思う。

まぁなんというか、女性には当然そのような行為をしたら身体的なリスクが伴うので、断る権利は当然あるし、外では良いと思ってたけど、家に行ったら、家がゴミ屋敷だったり、口がめっちゃ臭かったり、下がめっちゃ皮被ってたら、「あー・・・」みたいになっても不思議ではない。

そういう行為をやるにあたって、気軽にやりまくる人と、貞操観念が固めの人とで、かなりギャップがあるのかもしれない。デート経験値がレベル100の人とレベル1の人でそういう感じになったと仮定したら、知識もデートの感覚もなにもわからないまま、パニックになることもあると思う。

そのあたりは人によって違うから、誰に合わせるとかいうものでもないだろうし、自分が嫌だったらしっかり断るという勇気や、男性としては加害者にならないように、もう趣味に没頭する人生や非婚を増やす原因になるのかもしれない。

冒頭の話に戻るが、こんなことで松本さんが芸能界から消えかけているのが悲しいし、正直こんな疑惑みたいな感じでアウトだったら、他の芸人や俳優、広告代理店などくまなく調べたら、もっと酷い飲み会の事実だったり山程あると思う。

今まで笑い話で話していたようなことが、どんどん規制されて犯罪みたいになっていくだろうし、これから過去を蒸し返されて爆死していく人がどれだけ出てくるんだろうと思うと、芸能人のような職業になる人も減るかもしれない。

学校の先生だったり、芸能人もそうかもしれないが、横断歩道がない場所で道路を横断するにも、誰かに見られていたらどうしようと神経をすり減らす生活をしてたら、身が持たない感じもする。

その瞬間は良くて、みんなが笑っていても10年経ってから、「あの時、あんなこと言いましたよね?傷ついたんです。」みたいなことを言う人がでることを想定して生きるなんて、芸人にはできないだろう。

とりあえず、その場のノリみたいな感じで傷ついていた人がたくさんいると考えると悲しいし、無意識にそういう文化を醸成している人達は改めるべきかもしれない。私はそういう意味では、酒が飲めない人間で良かったなと思う。


無駄に思えることを一生懸命やっていきます サポートありがとうございます。