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詰めるティッシュは大きめに


ぅわぁぁぁぁぁぁん!!!

夜中2時頃長女が叫びながら寝室の電気をつけた。

我が家はエアコンの関係で5人揃って同じ寝室に寝ている。「川の字」ならぬ「州の字」になりそうな勢いでそれぞれがそれぞれに転がり散らかしている。

そんな家族全員が寝ているのもお構いなしにとてつもない勢いで電気を付けた長女。

なんなんもぅ、、、

と目を瞑ったまま聞いたら
「鼻血が出てるねんっっっ!!!!」
とのこと。

鼻の上の方つまんで上向くんやったかな
上向き過ぎたらあかんかったよな
とりあえずティッシュつめといたらいいんちゃうの…

と言いたかったけど
なんせ眠過ぎて口が動かない。

力を振り絞って出た言葉は
「ティッシュゥ………」
とその一言のみだった。
ごめん、長女よ。

もう4年生にもなる長女なので、鼻血の処理は自分で出来る。
人生でほぼ鼻血が出た事のない私なんかよりも
定期的に鼻血を出す彼女の方が経験値も高い。
と、綺麗に理由を述べてみたけど…

とにかく眠かった!!!

「お茶のんどいでぇ〜」
と謎のアドバイスを再びしながら、薄目で長女を眺めた。
鼻血の処理もお茶の補給も夜中に自分で出来るなんて、大きくなったもんだ。

その後の記憶はないので、私も、落ち着いた長女も寝たのだと思う。

しかーし!
そこからまた数時間、全く同じ出来事が起きた。
これまたすぐには鼻血は止まらず長女がティッシュで四苦八苦していた。

「ティッシュは大き目で…」
とこれまた寝ぼけながら必死のアドバイスを長女にした。
「鼻に詰めるティッシュは大き目にしなさい」
と言いたかったのだ。
奇跡的にそれが伝わり、大き目にティッシュをちぎっている長女に

「なんでなん?」
と聞かれた。
理由を答える気力がなかったので

「なぁぁぁあ〜〜〜〜…」
などと言った記憶がある。
長女は確実に大き目のティッシュに納得いってなかっただろうが、何故か言うことを聞いて大き目のティッシュを鼻に突っ込んで寝ていった。


大き目のティッシュ、本当の理由は…

5年程前、我が家の長男の顔面付近から異様な香りを放つ事件が発生した。

最初に異変に気付いたのは本人だった。
「なんか臭くない?めっちゃ臭いんやけど!」
と隣にいる妹を匂って言い出したのだ。

「え?なんも臭くないけど?」
くんくんくん…?

臭いの、長男ちゃう?
「えぇ?なんか鼻めっちゃ臭い!!!」


遡る事数ヶ月…
鼻水が全然止まらずに長男が鼻にティッシュを詰めていた。
詰めても詰めても流れ行く鼻水。
相当辛かったことだろう。

月日が流れて、おかげ様で鼻水もすっかりおさまってきた頃。
季節は冬から春に変わっていた。

学年も上がると同時にクラスが替わり、担任の先生も変わっていた。

鼻水が止まらなかった日々のことなんてすっかり忘れていた。

が、すっかり忘れさられていたティッシュが彼の鼻の中に鎮座していたのだ。


耳鼻科でその「ブツ」を見るまで、絶対に副鼻腔炎だと思っていた私は、彼の小さな鼻の穴から信じられないサイズ感のそれが生まれ落ちた時には病院で大声をあげてしまった。

「なんで気付かへんねん…」
先生も今まで無意識にも彼が"それ"を大切に育てていたことにびっくりされていた。

あの時もあの時もあの時も
ティッシュin the noseだったの?

とその数ヶ月に起きた出来事を振り返っては、私は頭を抱えた。
もちろん私の頭を抱えたところで何も変わらないことは言わずもがな。
「と、とりあえず今後気を付けます…」
と逃げるように病院を後にした。

やっぱり子どもの生活はありえないことばかりが起きる。
いつも想像をはるかに上まってくる。

まさか我が子が数ヶ月もの間、鼻の中にティッシュを季節が変わってしまう程の長い期間ホームステイさせることなんて想像していなかったのだから。

それはそれは衝撃的な事件だった。
だから夜中にいきなり起こされて、寝ぼけ眼だったとしても一瞬にして思い出せたのだ。

だから渾身の一言
「ティッシュは大き目で…」
が出たのだ。

言われた通り、大き目のティッシュを詰め込んで三たび眠りについた長女。
翌日は学校を休ませて、念の為病院に連れて行くことにした。


ひとまず漢方をもらい様子見になった長女。
薬が大の苦手な長女は大騒ぎしながら薬を飲んで翌日は元気に登校していった。

ほっとしたのも束の間…
お次は

「なんか喉が痛いんだけど…」
と末っ子が起きてきた。

もう…うそやろ…。






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