バックグラウンドに関係なくハードルを公平にしたい。
日本で生まれ育ってきて宗教に感じていた率直なイメージについて
─ 現在の仕事と、今に至るまでの簡単な経歴を教えてください
新規のお客様を相手にしたセールスとして働き始めて9ヶ月が経ちました。それと同じくらい、現在力を入れているのが「ハローハラル」の立ち上げ・ブランディングです。
学生時代は、社会学・歴史学を専攻しながら特に興味のあった「難民問題」と「環境問題」に関する学生団体で活動していました。他にもゲストハウスで住み込みで働いたり、3ヶ月ひとり旅をしたり...笑
学生時代からマルチタスクでフィールドワーク的な、実際の体験を大事にするタイプでした。そういう意味で昔から多動な所は変わっていないですね笑
マイノリティに焦点を当てて学んできた学生時代を経て、今現在は「ビジネスという経済循環の上で持続可能なダイバーシティ&インクルージョンを生み出したい!」と思っています!
─ すごい好奇心と行動力ですね!日常の中で「宗教」を意識して過ごしたことはありますか?
実は小さい頃から身近なものとして「宗教」がありました。母方の祖父の家が天理教の教会をやっていたので、祖父の家にいくたびに神様に手を合わせるのが当たり前でした。また、私の通っていた高校はキリスト教系の学校だったため、週に2時間の聖書の授業と週に1回の礼拝がマストでした。
私自身は特定の宗教を選択しているわけではないのですが、こうやって振り返ってみると「常に宗教が身近なところにあったな〜」と思います。
─なるほど、麻理さんの生活には身近に「宗教」を感じる環境があったのですね。そんな麻理さんの想う「宗教」のイメージを教えて下さい。
そんな環境で育ったので、私にとって宗教は価値観のひとつであり、人生の中で「お守りみたいに各人が持っているもの」というイメージです。むしろ最近は「宗教を選んでいる人っていいな〜」なんて思ったり...笑
実際に特定の宗教を選択している母を見ていて「宗教=何があっても自分を裏切らないもの」として心の中にあるからこそ強く生きていけるのでは?と感じます。
一方で無宗教が一般的な日本では「宗教=よくわからない・怪しい・こわい」といったネガティブなイメージがあることも理解しています。だからこそ「イメージと現実のギャップはもったいないな」と思います。
Z世代が考える「コミュニティ」のあり方について
─ 麻理さんはZ世代に含まれると思いますが、同世代の友人と「宗教」について話すことはありますか?
ほとんどないですね...。宗教どころか自分の価値観に関する話や政治、社会問題に対するスタンスについても、自分を含めてほとんどの人が避けがちじゃないですかね。
一方で私がゲストハウスや旅の中で出会った海外の同年代の友達とは、宗教含めて色々な考え方に関する話を多くしてきました。しかもこれが結構楽しくて面白い!話題は真面目でも、トーンは明るく話せてしまうのが不思議です笑
これに関しては世代というより日本の「協調性を大事にする風潮」が背景にあると思っています。
日本では、個人の意見を明確にしなくても合意が取れるし、そのほうがスムーズだから、わざわざ核心をつくような質問は避けがちです。でもこれからの日本では互いの意見を交換する対話が重要になってくると思っています。真面目な宗教の話もちょっと明るく、ジョークなんか交えながら話せたらいいですよね!
─ 明るく話す、楽しく話すのは何事においても重要ですよね。国内外問わず世代間によって「コミュニティ」に対する考え方や意識は違うと思いますが、まりさんが考える理想のコミュニティはどういったコミュニティですか?
「第2のHOMEになる場所」です!
私は家族に対して、普段それぞれ別の活動や別の交友関係を持っているのに、どこか繋がっている感覚を持っています。同時に家族との信頼関係があるからこそ、外でチャレンジすることができる気もしています。
コミュニティも同じで、普段はお互いに別のことをしていても、何かあれば「帰ることが出来る場所」といったイメージがあります。私にとっては、学生時代に働いていたゲストハウス(Hostel DEN)が所謂「コミュニティ」との出会いであり、今も変わらず理想のモデルケースです。最近、働いていた当時のメンバーと再会したのですが、4年の時間が空いていても昨日の続きみたいに話せる安心感に感激しました...♡
理想は、そこにいる人の強みがかけ合わさってみんなの夢や理想がどんどん実現されるコミュニティです。従来のコミュニティが帰る場所だとしたら、これからのコミュニティはちょっと先の未来を創れる場所にもなればいいですよね!笑
─「第2のHOME」は素敵な言葉ですね。コミュニティといえば「ムスリム」を初め「宗教」は「コミュニティ」をとても大事にすると聞いたことがありますが、コミュニティ作りにおいて大事だなと思うことを教えてください。
私が、コミュニティ作りに力を入れている方から教わりたいくらいなのですが笑
ここでは個人的な経験の中で大事だと思っていることをシェアさせて頂きます。
「対話すること」「コミュニケーションをとること」「共有すること」
最近、会社ではチーム作りを、友達とはコミュニティ作りを経験する中で少しずつ違いが見えてきました。「チームはゴールを達成することが目的の集団」なので、リーダーとして「何の為のタスクなのか?」「進み具合は順調か?」をメンバーに示すことが大事です。最終ゴールに向かってみんなでマラソンを走るイメージです笑
一方コミュニティは、決まったゴールがなくメンバーも流動的なことも多いです。だからこそ、みんなでコミュニケーションをとりながら、核になる価値観を育てていくことが大事だと思います。だだっ広い森みたいな公園の中で、真剣に秘密基地を作るイメージですかね!笑
私がブランドを立ち上げるワケ
─ そんなパワフルで多彩な麻理さんがブランドを立ち上げるに至った出発点を教えてください。
「長いようで短い人生だからこそ、チャレンジし続けたい!そんな姿を見せることで、誰かの何かのきっかけになればいいな。」そんな想いを持ってブランドの立ち上げを始めました。
私はこれまで、森澤雄基さんをはじめとした身近な人生の先輩達のおかげで「やってみたいこと」を具体的に実現することができました。起業して世界中でビジネスをする人、地方の産業を盛り上げるために色々な事業を展開している人、フリーランスで働きながら日本や世界を旅する人、夢をリアルに描けば描いた分だけ実現できるんだって近くで見て実感しました。
だからこそ、私自身も周りの人に同様の価値を提供できる大人でいたいな、と思ってこのブランドにも関わっています!
─ 確かに挑戦の先でしか得られない物は沢山ありますよね。さて、一般的なブランドに比べて「ハローハラル」は意識しなくてはならないポイントが多いと思います、今回ブランドを作る上で意識した点を教えてください。
自分達の提供したい価値や世界観を作りつつ、最終的には「それ欲しいと思ってた!」「あったらいいよね!」と思ってもらえるような商品に落とし込んでいくことを意識しています。
例えば、一般的にハラルフードといえば「ハラル認証マークがないといけない」と思われがちですが、実際は認証マークの有無よりも「原材料は何か」が明記されていることにニーズがあったりします。私もモスクでムスリムの人たちと一緒にご飯を食べるまで気づきませんでした。
ちゃんと広く声を聞いてニーズの背景まで見ていかないと、独りよがりなブランドになってしまう可能性もあるので、今後も「現場の声を大事にする」ことは意識していきたいですね。
─ ブランド化することで周りの反応などはどうでしたか?
想像以上にすんなりと受け入れてもらっている印象です。
特に20、30代のノンムスリムの知人に話す際、最初は「懐疑的な反応が返ってくるかもしれない」 と想像していたのですが、話してみると「面白いね〜!どんなことするの?」と好奇心を持ってもらえるので嬉しいです。
まさにちょっとした好奇心を持った人に寄ってもらえるメディア(Note・ポッドキャスト・インスタグラムなど)も充実させていきたいと考えているので、俄然やる気になりました!笑
─それは素晴らしいですね。時代も変わってきている事を実感するストーリーですね。 このブランドを通して社会に伝えたいこと、見たい、創りたい景色など教えてください。
このブランドを通して、『各人のバックグラウンドに関係なく、何か行動・選択する時のハードルを公平にしたい』です。
突然ですが、「平等」と「公平」の違いってご存知ですか?
辞書には
・「平等」=全員に平等なものが提供されている状態。
・「公平」=個人の違いを考慮して公平な機会が提供されている状態。
と書かれていました。
個人の違い(イラストでいう身長)を等しくすることはできないし、社会のルール(イラストでいうフェンス)を変えるためには時間がかかりすぎる。
だけど、モノ(イラストでいう箱)を通して価値(イラストでいう野球観戦)を提供することは「私でも出来るな」と思うんです。
ハローハラルで扱うモノを工夫した結果が、例えば、代々木公園の食事のイベントに何人か誘った時に、ムスリムの人もビーガンの人もアレルギーのある人もなんでも食べれる人も、同じくらいの気軽さで一緒に食事できたら絶対楽しいじゃないですか!笑
109でウィンドショッピングしてる時に、ヒジャブ(ムスリムの女性が頭に着ける布のこと)から靴下まで統一感のある服装をしたいムスリムの人も、レザーのスタイルが好みだけど動物や自然環境に優しい選択をしたい人も、純粋にファッションを楽しみたい人も、一緒にオシャレを楽しめたら絶対仲が深まるじゃないですか!笑
そんな景色を見るために、まずはムスリムの人たちへの価値提供から始めていきたいなって思っています!
ハローハラルを通して伝えたいメッセージとアクション 今後の動き
─ 平等と公平について、大変興味深いお話でした。改めてまりさんがハローハラルを通して、大事にしていきたいことを教えてください。
何度も同じ表現を繰り返してしまいますが「自分が提供できる(したい)価値は何かを考え続けること」と「そのための変化に対応する柔軟さ」を忘れないでいたいです。
若いうちって、知識も経験も足りないですけど、失うものがないから「考えて、やってみて、間違えて、改善する」が気軽にできちゃう期間だなって思うんです笑 だからこそ、可能性を感じてもらえるわけでもあって笑
ブランドや会社も同じだと思います。「ハローハラル、なんかいいな。めっちゃおもしろいな。」って思ってもらえるように「チームハローハラル」で頑張ります!
─ まさに何か動いてみたいけど悩んでいる若者にも届きそうなメッセージですね。これから宗教のイメージがこうなったらいいなと考えていることはありますか?
世の中の宗教のイメージを直接的に変えていくのは難しいですし、私のコントロール可能な範囲ではないって正直思います。しかしイメージと現実のギャップを埋めることはできそうです。
そのために、等身大の宗教「イスラームをシェアしていこう」と思います。
まずは興味を持ってもらって知ってもらうところからですかね! 私もまだまだ知識不足なので勉強します!
その延長線上で「イメージも好転すればいいな」と、そこは楽観的に考えています!笑
─小さな行動が大きなものを動かすこともありますよね。 最後にハローハラルに関わりたいと思っている方に向けて、メッセージをお願いします。
少しでも興味を持ってくれたみなさん!ありがとうございます。
私も分からないことがいっぱい、初めてのことも沢山あるのですが、このブランドと共に成長できればと思っています!
ぜひ、一緒に見たい景色を創っていきましょ〜!
─ 麻理さん素敵なメッセージを沢山ありがとうございました。とても楽しみです。明るくて前向きな麻理さんのエネルギーが社会を少しでも良い方向へ導いてくれる事を願っております。
(文・撮影 森澤雄基)
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