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【ケの日ラボ】日本茶を学ぶ

\なんとなく淹れていませんか?日本茶のキホンを学ぼう/

2019年7月12日に開催した「ケの日ラボ」では、
日本茶インストラクターの水嶋秀八さんをお招きして、
「暮らしを潤すお茶の楽しみ方」をテーマに暮らしの中ですぐに役立つ、
お茶の知識をたくさん教えていただきました!!

▶︎ウェルカムティーをいただく
はじめに何も説明されずに用意された2つのお茶。

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飲んでみると、片方はまろやかな甘み、もうひとつははっきりと輪郭を感じるお茶の味がしました。
これは、お湯で出したか、お水で出したかの違いだそう。
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高い温度で入る→苦み渋み成分であるカテキンという成分が出やすくなる。
逆に低い温度で入れる→甘み旨み成分であるテアニン(アミノ酸)などが出やすくなる。
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まずは導入編として、お茶の簡単な特性を会のオープニングトークで教えていただきました。

▶︎お茶の種類を知る
お茶の種類は、見方によって分け方や呼び方も様々です。
お茶の種類を見るときのキーワードは5つ。
「発酵度合」「茶種」「摘採時期」「生産地」「品種」
ひとつひとつ詳しく見ていきましょう!

①発酵度合
実は、緑茶も烏龍茶も紅茶も、同じ茶の葉からできているということ、ご存知でしたか?
詰んだ後のお茶の葉は、葉の中にある酸化酵素が発酵することで、時間が経つとともに茶色く変化していきます。
その変化の中でカテキンやカフェイン、アミノ酸など成分のバランスが変化することによって、お茶の風味も変わるのだそう。
葉の発酵は加熱することでコントロールすることができ、その変化に伴う味わいや香りを生かして、お茶がつくり分けられています。
◼️不発酵茶(緑茶):採れたばかりの茶の葉を蒸したり炒ったりして発酵を止めたもの。日本でつくられるほとんどはこれ。 なんとなく勘違いしやすいが、ほうじ茶や玄米茶もここに含まれる。
◼️半発酵茶(烏龍茶など):完全に発酵させず途中で発酵を止めたもの。中国茶の多くはこれに該当する。
◼️発酵茶(紅茶):完全に発酵させたもの。紅茶は世界で最も飲まれているお茶。

②茶種
お茶の栽培や製造の工程、原料の名前に由来するものが多い。
お茶屋さんでお茶を買うときに使われる呼び方とされますが、思っていた以上に種類が多くびっくり!

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それぞれどのような工程を踏んで、製品になるかで茶種が変わって来るのがとても興味深かったです。
中でも、玉露・かぶせ茶・碾茶・抹茶などは栽培時に茶畑に覆いをかけることで、苦み渋み成分であるタンニン(カテキン)を抑え、旨味甘み成分であるテアニン(アミノ酸)を多く含む葉に育つとのことで、栽培時に一手間かかっている分、市場でも高級茶として出回っているのだなと、納得しました!!

③摘採時期
次は、お茶の葉を摘む時期(年4回)と、生産地で見ていきます。
【摘採時期による分類】
◼️一番茶:いわゆる「新茶」。主要産地では、4月上旬から5月上旬に摘まれる。清々しい若葉の香りを楽しめる。
◼️二番茶:主要産地では、6月上旬から7中旬頃に摘まれる。
◼️三番茶:主要産地では、7月中旬から8月上旬に摘まれる。三番茶を摘まずに秋冬番茶を摘む地域もある。
◼️四番茶:秋冬番茶ともいう。主要産地では、9月中旬から10月上旬頃摘まれる。

④生産地
【生産地による分類】
国によっても、日本茶・中国茶・台湾茶・ベトナム茶・ジャワティーなどがありますが、
国内でも地域によって味わいや強みも違い面白い!!
◼️静岡茶(静岡):茶の生産量全国1位。県内各地でもまた産地ブランドが分れるほど。深蒸し茶の主産地。
◼️宇治茶(京都):歴史的な茶産地。玉露・碾茶などの高級茶では、生産高全国1位。
◼️狭山茶(埼玉):「狭山火香」という独特な香りをもつ。渋みの中にも甘みがある、爽やかなお茶。
◼️かごしま茶(鹿児島):茶の生産全国第2位。全県的に生産され、薩摩地方の平坦茶畑では大型機械栽培が進んでいる。最近とても勢いがあり、もしかすると数年後には生産量1位になる日が来るかも・・・!?

⑤品種
お米に「コシヒカリ」や「ひとめぼれ」といった品種があるように、お茶にもさまざまな品種があります。
それぞれに味わいや香り、水色に特徴があります。
有名どころでは、「やぶきた」「ゆたかみどり」など。
「やぶきた」は、耳にすることも多いですよね。日本で栽培される茶の75%を占め、幅広い茶種に使用されているとのことです。

ー番外編ー
茶の葉以外からつくられるお茶として
麦茶・そば茶・どくだみ茶・杜仲(とちゅう)茶・ハーブティーなどもお茶の仲間である。

▶︎お茶の淹れかたを知る
お茶の淹れかたのポイントとしては、まず器具を知ること。
そして、【注ぐ前】と【注ぐとき】2ステップに分けて、
コツを抑えておくと良いのだそうです。

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▲これは「湯さまし」という道具ですが、持っていない家庭も多いので、今回は湯飲みで湯を冷ます方法を実践!

《お茶を淹れる手順》
お茶は、大きく分けると「ぬるめのお湯で淹れるお茶」と「熱めのお湯で淹れるお茶」の2タイプがあります。
一般的に、お茶の階級が上級なるほど、より低い温度で淹れるのだそうです(下記の表をご参照ください)
どんな工程で育ったお茶が高級だったか、なんという種類だったか、思い出して見てくださいね^^

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ぬるめのお湯で淹れるお茶→渋みや苦みの元であるカテキンの抽出を抑え、上級のお茶にたっぷり含まれるアミノ酸の旨みや甘みが引き立つ。
熱めのお湯で淹れるお茶→熱湯に近いお湯でサッと淹れることで香ばしいアロマが引き立つ。湯のみが熱くなるので、厚みのあるもの、陶器、マグカップなどがオススメ。
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※表はあくまでも目安です。これを目安にご自身の好みのポイントを見つけていくのもお茶の愉しみ方のひとつ◎

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《もっと!美味しく淹れる豆知識》
◼️湯飲みにお湯を移す量は、湯飲みの8分目くらいでOK。急須に移した際に、茶葉がお湯を吸収し、注ぐ際には丁度良い量になります。
◼️湯温は、器に移すごとに10℃下がると言われています。やかん→保温ポット→湯のみと移す間に20℃下がるといった感じに。
◼️飲む人数や、急須の大きさなどによって、上記の目安を元に茶葉の量も調整します。
  例えば80ccの湯飲み2個分なら、煎茶の場合、茶葉は少なめの6g程度にするなど。
◼️急須の穴は、注ぎ口の方にもっていったほうが、中の回転がよくなると言われています。
◼️急須は、握手をするように、取っ手の部分を持って、傾けた時に蓋が落ちないよう片手で押さえます。
◼️急須から注ぐ際は、各湯飲みのお茶の量や味が均等になるように、まわし注ぎをします。1→2→2→1→1→2のように。
◼️二煎目以降も美味しくいただけるよう、1煎目のお湯は最後の1滴まで注ぎ切ります。残ったお湯で苦みや渋みが出てしまうのを防ぐためです。

《2煎目を淹れる時》
1煎目注いだ後、茶葉が注ぎ口に偏ってしまうので、2煎目を淹れる前に急須のお尻の方をトントンとしてもらうと
茶葉が中央に寄って2煎目飲む時も効率良く抽出することが出来ます。
すでに茶葉が開いているので、急須にお湯を注いだらすぐに淹れられます。待つのは30秒程度でOK。
目安として、3煎目くらいまでは美味しくいただくことができるでしょう。
煎茶の場合は、1煎目よりもお湯を冷ます時間を短くし、高めの温度で味の変化を楽しむのも良いでしょう。

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1度に二杯淹れられる急須だったので、自分で入れたお茶を隣の人と交換して飲み比べてみました◎
同じ淹れ方なはずのに、なぜかちょっと味が違ったりして^^それもまた奥深く、おもしろい。

ー番外編ー
Q.朝の忙しい時間に飲む場合、時短で美味しく淹れるコツはありますか?
A.冷ますのを待っていられないとゆう方は、急須に茶葉を入れて少量水を入れて1分ぐらい待ち、
そこに熱湯を入れるとちょうど良い塩梅で調整される。最初に水を入れているので甘みや旨みを引き出せます。是非やってみてください◎

●水出しのお茶の淹れ方
フィルターインボトルのような、茶こし付きのボトルが人気。
そういったものがご家庭にあると簡単に水出しの緑茶を作ることができます。

《水出し茶の淹れ方》
1、茶葉を入れる
大体水1リットルに対して茶葉10グラムぐらい。ちょっとたっぷりめに使ってもOK◎
写真のボトルは750ミリリットルなので、7.5gと。ボトルの大きさによって調整してください。
2、水を注ぐ
茶葉を入れたら、水を入れます。蓋をして、これで冷蔵庫で一晩冷やしたら完成です。
フィルター付きのボトルがない場合は、ティーパックやお茶パックを活用しても良いです。
つくった分は、できれば1日で飲みきったほうが◎
必要以上に長く水に茶葉を浸しておくと、苦味やエグ味が出てきてしまいます。

《お急ぎの場合》
水を注ぐ量を半分くらいの水にしておいて、茶葉が”深蒸し茶”の場合なら30分くらい置いてから軽く振れば、結構出ます。
ほうじ茶・玉露のように、少し茶葉が大きめのものだったら、1時間~2時間ぐらい様子を見ながら抽出してみて、
ある程度出たなと思ったところに、氷を大量に入れてもらって急冷すれば、割と早く飲むことができますよ◎

●器具のお手入れと茶葉の保存
《急須の洗い方》

特に陶器の急須は香りを吸収しやすいので食器用洗剤の使用はおすすめできません!
普段は水やお湯ですすぐだけで大丈夫◎
茶葉を捨てたら、蛇口の水を注ぎ口のところから通して汚れを取り、
茶が網にくっついてしまった時は歯ブラシなどで取れば完了!
茶渋が付着してしまった際は、重曹を急須の底が隠れるぐらい入れ、熱湯でひたひたにして冷めるまで待ってから中を捨てて磨くと綺麗になります!
重曹がない場合は、かなり薄めに希釈した漂白剤を使うという方法も。30分ぐらい漬け置きして磨けばOK◎
もし、匂いが付いてしまったのなら、洗い桶にお湯を入れて1日ほど放置しておけば、匂いも取れますのでご心配なく!あまり神経質にならなくて大丈夫ですよ!とのことでした。

《お茶の保存方法》
茶葉は本当にデリケートで大敵がいっぱいいます。
例えば、酸素・湿気・高温・光(紫外線)・他の匂いなどの影響を受けると風味にも影響が出てきてしまうそうです。
そういった影響を防ぐために、開封後は必ず密閉容器に入れて冷暗所、棚の奥に保管するのをおすすめします。
「お茶をもらったけど、しばらく今のお茶があるから使わないわ」という場合は、冷蔵庫か冷凍庫に保管する方法があります。使うタイミングになったら、完全に常温に戻してから開封して下さい。
冷えたまま開封してしまうと、結露してしまって結露の水分を茶葉が吸収してしまい、茶葉の劣化に繋がります。
最近では、4月上旬から5月上旬に摘まれる新茶を冷凍保存して熟成させ、秋になったら開封する”蔵出し新茶”なるものも出回っているほど。寝かせることで風味が良くなるとも言われているそうです。冷凍保存は、お茶にとっても私たちにとってもいいことだらけですね◎

●急須・ティーポットの選び方●
ポイントは、”急須の素材”と”茶こしの形とサイズ”!
《急須の素材》
代表的なものは、陶器・磁器・耐熱ガラス

・陶器:土を固めて焼き上げたもの
代表的なものには、常滑焼・萬古焼などがあります。
お茶を淹れたときに水分を吸収しやすく、それによって渋みも取り除いてくれるといった作用があると言われています。
渋みを取ってくれるので味がまろやかになる。実際に陶器で淹れたものと磁器で淹れたものと比べてみると、味わいの違いを実感します。
香りも吸収しやすいので、紅茶やハーブティーなど香りが強いものと緑茶を併用して使うと、思っている以上に香りが混ざってしまいます。
ご家庭で陶器を使う場合は、できれば緑茶専用などと分けるのがオススメ。洗剤で洗ってはいけないのもこれと同じ理由ですね◎

・磁器:石の粉を固めて焼き上げたもの
代表的なものは、有田焼とか波佐見焼。
白くて光沢があって滑らかなのが特徴です。割といろんなデザインがされているものが出ていたりするので、
デザイン性が高くて、テーブルを彩ってくれるという点で人気です◎
こちらは香りですとか匂いを吸収しにくいので、いろんな茶種で併用しても良いかなと思います。

・ガラス
こちらは中が見えるので、例えば中国茶で花が開くようなものに使ったり、見た目が写真映えするという理由で使っている人も。
電子レンジ対応のものもあるので、冷たくなったお茶を温めなおすことが出来たり、
ピッチャーとして代用することもできるので、使い勝手はいいかなと思います。
他にも鉄製の物や、樹脂の物もありますが、先生のオススメは陶器でした!
急須の大きさについては、諸説ありますがそれぞれのライフスタイル、家族の数などに応じて
適したものを選べば良いでしょうとのこと。
《茶こしの選び方》
実は茶こしが、味を左右する大事なパーツ!!必読です!!

・陶製茶こし
陶器の材質でできている茶こし。急須そのものにシンプルに穴を開けた「胴穴」というものや、
「ささめ」とか「セラメッシュ」と呼ばれると言うものがあります。
急須本体と同じ材質の茶こしが一体となっていることで、お茶本来の美味しさを引き出せると言われている。
ただ穴が小さいので、割と細かい茶葉の茶種は詰まりやすく、比較的茶葉の大きい茶種に適している◎

・ステンレス製メッシュ
メッシュ状のものが、急須の裏側についているもの。
もっとも一般的で使いやすいタイプ◎
比較的大きなサイズの網が張られているため、どんな茶種でもしっかりと湯切りできる。

・ステンレスカゴ製
一番の特徴はカゴを取り出して茶殻を捨てることができるので、お手入れが簡単です。
デメリットとしては、たまにカゴの底が急須の底と結構離れてて、お湯が茶葉に浸りきれないって言ったことはあるので、その辺はきちんとと見て選ぶことが必要かと思います。


=スタッフ振り返り=
普段なんとなくお湯を電気ケトルで沸かして、なんとなく手に取ったスプーンで茶葉を急須にいれ、
なんとなく色が出てきたら湯飲みに注いで(一応交互に注ぐということは知っていた)・・・と、
そんな、実にテキトーな煎茶ライフを送っていた私。
とっても身近な飲み物だからこそ、子供の頃になんとなく見よう見まねで覚えた淹れ方のまま大人になり、
(きっと母は知っていた・・なぜちゃんと教わらずに家を出てしまったのだろう・・・)
自分の大切な人にも、実にテキトーな淹れ方で飲ませていたなんて、大ショック!!!
(同じような人、きっといるよね・・?と心の中で願いつつも)
ちょっとしたことを気をつけるだけで格段に美味しく、お茶そのものの旨みや甘み、香りを存分に愉しめることがわかり早く帰宅してお茶を振る舞いたい!!という気持ちでいっぱいに。
お茶を育てて、蒸して、揉んで・・出荷されるまで、とても手がかかっているということも改めて再認識。
お茶農家さんの日々の苦労を無駄にしないためにも、脱・テキトー煎茶を宣言したいと思います^^
改めて、水嶋先生どうもありがとうございました!!

【講師の先生】
HATOHA代表/日本茶インストラクター
水嶋 秀八(MIZUSHIMA HIDEYA)
日本一の茶産地といわれる、静岡県・牧之原台地出身。
茶畑に囲まれた家で育ち、実家もお茶屋。
広告業界でコピーライターとして活動後、日本茶インストラクターの資格を取得し、
2018年10月よりWEB販売を中心とした「日本茶屋 ハトハ」をスタート。
現在、東京・人形町にて日本茶カフェを出店中。
お茶と暮らしとの新たな関係を創造し、提案していきます。
日本茶屋 ハトハ 公式サイト
tea-hatoha.com

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