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【9to5】すべての働く女性に贈る応援歌!#私のスタンディングオベーション

24歳、社会人2年目。
会社員という肩書には未だに慣れず、朝の通勤電車の中では‟このままここで働いていていいのだろうか…”などと将来への不安に襲われることがある。

そんな時こそ、私はこのミュージカルのサントラを聞きます。なぜなら、これは働くすべての女に向けた、最高の応援歌だから。3人のヒロインがどんな時も私の生き方を肯定してくれるから!

私がお勧めする作品は『9to5』。いわゆる”ボーイミーツガール”の物語が多いミュージカルの脚本にしては珍しく、女性3人組が主人公、それもどこにでもいる中年会社員女性たちなのです。

#私のスタンディングオベーション は、ミュージカル好きな人達が、それぞれに”思わずスタンディングオベーションしたくなった、大好きなミュージカル作品”について、自由に書いたミュージカル紹介エッセイです。
扱うのは、日本で舞台化した作品・日本にはまだやってきていない作品、映画のみの作品、アニメで有名になった作品など様々。単なる批評や紹介ではなく、個人のエピソードも交えた一種の愛を語っていただきます。

社会風刺がてんこ盛り!笑いっぱなしの90分

(あらすじ)
同じ会社で働くベテラン社員でシングルマザーのバイオレット、 セクシーなルックスの社長秘書ドラリー」、そして不倫夫に捨てられたことをきっかけに働き始めた新米社員のジュディ。彼女たちはそれぞれ社長であるフランクリン・ハートのセクハラ・パワハラに悩んでおり、ひょんなことから3人は社長への怒りで意気投合する。横暴な社長を懲らしめようと妄想する3人だったが、妄想は現実となり…!?

『9to5』の魅力は、ドリー・パートンのキャッチーな楽曲と、社会風刺のきいた脚本・演出にある。

原作映画は1980年制作、ミュージカルは2008年に作られた。原作映画は世界に「9時5時勤務」の概念や、OLへのセクハラの実態をいち早く世界に認知させた作品だといわれています。

主人公の3人のOLが、自分たちの会社に働き方改革をもたらす、という痛快なコメディですが、3人の描かれ方は極めてリアル。
家事と仕事を完璧にこなし、優秀なのに性別を理由に昇進出来ないシングルマザー「バイオレット」。セクシーな見た目のせいで社長には迫られ、女たちからは疎まれる「ドラリー」。自分に自信が持てず、夫への未練を断ち切れない「ジュディ」。彼女たちの悩みは自分と重ねる部分も多い。

そのため、個人的な見どころは3人が社長を懲らしめる妄想をするシーン。「ドラリー」は社長に半ズボンを履かせ、お尻を叩き、「いいお尻ね!」と揶揄うのだが、これはミニスカ姿の自分が受けたセクハラの復讐。また、お茶汲み要員にされた「バイオレット」は、頼まれたコーヒーで社長を毒殺!痛快なやりとりが楽しめる。3人による女スパイ、カウガール、白雪姫のコスプレ姿も必見です。

また、終盤に「ジュディ」が歌う「Get out Stay Out」も、グッときます。ヨリを戻そうと迫ってきた元夫に、「もうあなたなしでも生きていける」と力強く歌い上げる。(元夫の名が「ディック」なところも皮肉です…。)

サントラはサブスクで聴けるので是非聞いてみてください。
有名なオープニングの「9to5」は通勤のお供におすすめです!鬱々とした朝をすっきりとさせてくれるから。

いろんな生き方があっていい。それぞれのハッピーエンド

もう一つ、私の心を捉えて離さないのは、なんといってもラストシーン。

フィナーレは全キャストで「9to5」を歌い上げるのですが、曲中にミュージカルでは描かれない、その後の自分の人生を各々のキャラクターが語る。
会社を辞めて別の夢を追った人、最期まで独身で楽しく生きた人、年の離れた夫と幸せに暮らした人。女性同士の愛を見つけた人。
全員が自分らしい生き方を見つけましたとさ。という三者三様のハッピーエンディングなのだ。”人生のゴールは1つではない、自分で決められるんだよ”というメッセージは、ついネガティブになりがちな自分をいつも奮い立たせてくれます。

👏

実は日本でも2012年に草刈民代さん、紫吹淳さん、友近さん、という豪華なメンバーで上演されているのだが、残念ながらその後は上演されていない模様…。
私の勝手な想像ですが、上演当時の日本でこの作品は”時代を先取りしすぎていた”のかもしれません。現在、令和2年。皆がそれぞれのハッピーな生き方を追及するこの時代に、どうかまた日本の劇場で上演されることを心から願っています。再演のためにもこの作品をもっと広めたくて、こうしてコラムに書くなど、地道な布教活動をしている私なのでした…。


■ 会社に嫌な上司がいる人
■ 自分を変える勇気が欲しい人
■ さくっとハッピーな気分になりたい人。

MISATO
舞台の魔法を信じる24歳。
煌びやかだけどで社会派な作品が好き。
最近は舞台メイクの知見を活かして
コスプレイヤーになりました。

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