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コーチの視点から共に考えるビジネスコラム

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「Coach's VIEW」はコーチ・エィのエグゼクティブコーチによるビジネスコラムです。 コーチ・エィ代表取締役の鈴木義幸をはじめ、東京、上海、バンコク拠点在住コーチが、エグ… もっと読む
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#リーダーシップ

「他者に影響される」リーダーシップ

written by 栗本渉 私たちは成長する過程で、教育を通じ、自分で問題を定義し、自分で問題に向き合い、自己完結的に解決していく、そういう姿勢や能力を訓練されてきました。 自分なりに課題を整理する 自分なりに全体プランを考える 自分なりに解決策を考え提案する そして、自ら主導権を持ち、周囲に影響を与えていく。その力が強いほど、「あの人にはリーダーシップがあるね」と評価もされる。 リーダーとして役割を与えられ、難しい課題に直面し、解決の責任を引き受け、常に「では

「想定外の世界」のリーダーの役割

written by 市毛智雄 コロナ禍という「想定外の世界」の体験が始まって、3年目に突入しました。対人接触や移動が制限され、以前の当たり前が当たり前でない世界を、私たちは日々体験しています。 「想定外」とは、「事前の予測を超える」という意味です。その観点では、ある人にとって「想定外」でも、別の人にとっては「想定内」ということはあるでしょう。コロナ禍が「想定外」と言われるのは、世界中の多くの人にとって予想を超える事態だったからにほかなりません。 「想定外の世界」は何を

先に進むために立ち止まる

written by 稲川由太郎 現代はVUCA、つまり先の見えない不確実性の時代と言われます。「自社の主要事業の5年後について、見通しがつかない」と回答した企業が7割に上るというデータもあり(※1)、多くの日本企業が経営環境を取り巻く不確実性を不安視していることが伺えます。 先日、この4月に、連結売上高7兆円、従業員数4万人を超える会社の社長になったばかりのAさんと1対1で面談する機会がありました。 「こんな会社にしていきたい」 「会社の存在意義(パーパス)から、こん

私はいま何をしようとしているのか?

written by 小池恭久 ここ上海でロックダウンが始まり、1ヶ月以上が経ちました。政策への賛否はともかく、部屋から一歩も出ることができない状況がここまで長く続くと予想していた人は少なかったでしょう。 当然ながら、仕事をしている人は、ほぼすべての人が在宅勤務をしています。私自身、メンバーとオンラインでミーティングをする毎日です。 現在の上海の状況は特殊かもしれませんが、世界中で、2年前と比較して圧倒的に在宅で仕事をする人が増え、業務上でのオンラインでのコミュニケーシ

コーチングは一期一会

written by 有吉祐介 「コーチングは一期一会なのよ」 コーチ・エィに入社したての頃、社内でコーチングを受けていた時にコーチから言われた言葉ですが、今でも印象に残っています。 「一期」とは仏教語で「一生涯」を表し、「一会」は「ただ一度の出会い」を意味します。「一期一会」は茶道の心得を表した言葉で、お茶会に臨む際には、全く同じものを繰り返すことはできないので、常に人生で一度きりと心得て、相手に対して精一杯の誠意をつくしましょう、という意味があります。つまり、「一期

リーダーシップに変化をもたらす他者との対話

written by 今城直樹 コーチングの焦点は「行動変容」にあります。同じことを繰り返しているだけでは、目標の達成は難しい。新しい行動が不可欠です。とはいえ、行動変容は、決して簡単なことではありません。「わかる」と「できる」の間には、大きな溝があります。 やることはわかっているのに、後回しにしてしまう。 人に頼んだほうが早いことを知りながら、自分でやってしまう。 このように、わかっていてもやれていないことは、みなさんの身近にもたくさんあるのではないでしょうか。 「

不確かな未来を確かなイメージに変えるアプローチ

written by 栗本渉 21世紀に入り、リーダーシップのあり方は大きく変化しています。 ステレンボッシュ大学 ビジネススクールのニッキー・ターブランシュ博士 (Nicky H.D. Terblanche)は、論文の中で、その変化に関する様々な論者の視点を紹介しています。(※) 今日のリーダーたちは、複雑で不確実で不安定な環境という課題に直面している。ビジネスの通常のやり方が変わった。人々のつながりが、正式な組織構造よりも重要になってきたからだ。 (Horney,

組織変革と組織開発

written by 鈴木義幸 弊社のサービスに「エグゼクティブ・コーチング」と「Driving Corporate Dynamism(DCD)」があります。そして、エグゼクティブ・コーチングの資料には「エグゼクティブコーチは組織変革のためのパートナーである」とあり、DCDの資料では「組織開発を進めるプログラム」と説明しています。 弊社に入社したばかりのコーチから、「なぜエグゼクティブ・コーチングでは『組織変革のパートナー』という表現を使い、DCDでは『組織開発を進める』

リーダーシップと「組織文化」は表裏一体 〜誰が組織文化を創造するのか〜

written by 稲川由太郎 我々を取り巻く環境が大きく変化する中、組織としての「変化のスピード」は、経営において非常に大きなテーマです。そしてそのスピードに大きく関係するのが「組織文化」と言われます。 「組織文化」とは、具体的に何を指すのでしょうか。 一般的に「組織文化」とは「現場で起こっている現実」を指します。「ものの見方」や「考え方」、組織内の「仕事の進め方」や「振る舞い」といった組織内の日常です。つまり、その組織に属している誰にとっても「あたりまえ」のものな

「怒り」を感じたときの3つの選択肢 〜リーダーは相手の可能性をひらくために何を選ぶのか〜

written by 青木美知子 部下やチームが思うように動かないときや彼らが失敗したときに、怒りや焦りなどから相手に感情をぶつけることはないでしょうか。 失敗は実験的な取り組みであり、挑戦のプロセスであり、ひいてはイノベーションの当然の副産物だと言われます。頭では理解できても、失敗や挫折を受け入れるのは、思いのほか難しいものです。それは、わたしたちが感情をぶつける以外の選択肢を持っていないからかもしれません。 「怒り」を感じたときの3つの選択肢 ボストンフィルハーモニ

「シェアード・リーダーシップ」とは? 〜「シェアード・リーダーシップ」と「主体化」〜

written by 市毛智雄 先日、弊社のコーチング・プロジェクトを数年にわたり継続して導入してくださっている、ある企業の役員の方からうれしいお話を聞きました。 「コロナ禍で、見通しのつかない状況下、この時期、何が正解かがわからない。そんな状況でも、現場のメンバーが、自ら活動のイメージを描き、提案し、主体的に動いてくれた。 いわば、現場のメンバー一人ひとりがリーダーシップを取りながら、互いに啓蒙し合っていた。これは『会社を変えるために、日々、あなた自身は、何を変えてい

私たちはなぜ「助け合う」ことができないのか 〜「助け合う」種であるホモ・サピエンス〜

written by 今城直樹 エコシステムという概念があります。システムの構成要素とそれを取り巻く環境が相互に作用し、循環し、全体として成立しているという概念です。もともとは自然界におけるバランスの取れた全体モデル、いわゆる生態系を指しますが、IT業界での活用を皮切りに、ビジネス用語として用いられていることは、みなさんもご存じの通りです。 構成要素のそれぞれがメリットを享受しつつ、生態系そのものが維持され続けるには「豊か」であることが重要な条件だそうです。多種多様な要素