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極東より愛を込めて

はじめに
ここから書くものは、敬愛するバクチク櫻井敦司氏の訃報に寄せたものであるが
ほぼ自分を落ち着かせるために書くものであり、けして追悼文などという体裁のよいものではありません。

最大級の敬意を込めていますが、乱文や事実に反する間違いなどが多いかもしれません、あらかじめ御了承ください。
そして何より、櫻井敦司さん。今はあの言葉は使いたくないので。
お疲れ様でした、ゆっくり好きな酒飲んでください。

まったく、ここ一か月ほどロクなことがない。金欠はいつもの事として(良くはない)
今日食うものにも困るほどのカツカツさ、転居するための作業がモノ(円盤や本)が余りに多すぎて遅々として進まないし
飯と買い物に行けば自転車を盗まれエトセトラエトセトラ。
とにかく、片づけなきゃいかん問題が山積みなのである。
通院してるメンタルの先生には「悪いことって続くよなあ・・・」て言われた。
もうこれ以上、悪い事は起きんだろうと片づけに取り掛かろうと
スマホに触った瞬間、文字列が飛び込んできた
バクチク公式の大切なお知らせ・・・・嫌な予感が止まらなかった。
最悪の予感を確認するかのように詳細を読んだ。最悪なことが書いてあった。

BUCK-TICK櫻井敦司、脳幹出血のため57歳で死去 公演中に体調不良 - 音楽ナタリー (natalie.mu)

へるし(@kommunityhell)/2023年10月24日 - Twilog (togetter.com)
上に貼ったところでいうと、PM2:38辺りからのRTや混乱ツイートはほぼ全て櫻井敦司のことである、というかまだ整理が全然ついていない。
好きになったきっかけなんかも書いてるので物好きな方は目を通して頂ければ。

正直、それからは何も手がつかなかった。肉親や親戚以外の赤の他人の死でここまでショックで力が入らなくなるのは人生で初めてかもしれない。
何か聞こうと思ったが何も聞く気にならなかったので、無理やり外出し買い出しに行った。
歩きながらも頭の中は殆ど櫻井敦司のことだった。
そうか、57才か。。。。え?57?そんな歳だったのか(吸血鬼)という想いと
まだこれからやんけ・・・と言う複雑な心境。

櫻井敦司の、そしてバクチクのどこに僕が惹かれるのか。
10年以上、つかず離れず聞き続けているのか。
まずはっきり言えることは、他にいない唯一無二の歌声。
完璧に完成された芸術品のような漆黒の濡れた、艶のある声。
芸術品といえば、言わずもがなの「美」を具現化したような見る者全てを圧倒するルックス。
そのバクチク節としか言いようのないメロディは、一度ハマれば病みつきになる。
狭いようで深い世界観。テクノからパンク、ありとあらゆるジャンルを縦横無尽に走り回るようで一貫したブレない芯。
それから、歌詞である(今井敦作詞の曲も多いが、基本的に歌うのは櫻井敦司なので、どちらが書いていたかは僕の中ではさほど重要ではない)

櫻井敦司が、バクチクがずっと35年以上歌い続け、伝え続けているものとは何か。
それは、めっちゃくちゃ平たく言えば「愛と死」である。(平和)もつけていい。

僕が思い返して、改めて凄いなと思うのは例えば、タイトルで借用した
「極東より愛を込めて」
BUCK-TICK 極東より愛を込めて 歌詞 - 歌ネット (uta-net.com)
911テロの直後に出たアルバムからのシングルであり、歌詞も彷彿とさせるのだけど
特に凄いのが「愛を込め歌おう~」のあとの
「汝の敵を愛することが俺に出来るか (君に出来るか)」

今も昔も大きな戦争やテロが起こると、色んなミュージシャンが反戦歌なり
リアクションを起こす。愛を込めて~辺りなら、まだ分かる。こういう歌よくある。
しかし、だ。お前の敵を愛することが俺に出来るか?と自問して
そして、君に出来るか?と問いかけるミュージシャンが何人いるだろう?

「俺は汝の敵を愛せるぜ お前はどうだ?」的な上から目線ではない。
彼は常にオノレに問いかけ、そして聞き手に問いかける。

決して大上段に構えない、そしてどこまでも優しい。これはほぼ一貫していると思う。

「最新作」であるアルバムに先駆けて35周年記念ベストアルバム収録された唯一の新曲だった「さよならシェルター」はその最新型であり
WOWOWで見た年末恒例の武道館の際の、曲中のウクライナの子どもを抱き抱える兵士のジェスチャーをした彼の姿はこの日の公演でも取り分け印象的な光景だった。

ここまで書くと、知らん人には何だか暗くて重い、シリアスなばかりの
バンドだと思われるだろうから
そういう人のために、これを貼っておく(非公式なことには目をつぶってほしい)
(1) Buck Tick memento mori live - YouTube

ちゃんと見た人は読んでね。既に知ってる人はどちらでも。
これ、「死を想え」てタイトルなんだよ。アルバムの、しかもタイトルナンバー。

BUCK-TICK Memento mori 歌詞 - 歌ネット (uta-net.com)
このジャケットでさ、こんな歌詞でさ、誰が沖縄民謡(名前失念したけど音階が沖縄のやつになってる)のバカ明るい曲がくると思うよ。
今井寿、どうかしてるぜ!て最初聞いた時も思ったけどやっぱどうかしてるよ大好きだ。

そういや、愛の方面全然書けてなかった。有名だけど、一個だけ。
(1) BUCK-TICK / 「JUPITER」ミュージックビデオ - YouTube

とにかくメロディーからほぼギターと歌のみの一番といい、美しいバクチクの極北みたいなナンバーだと思うんだけど、この祈るように歌う櫻井敦司の声と歌詞・・・・どこか達観してるような、でも違和感があるような・・・
時代背景などはこちら参照。
JUPITER (BUCK-TICKの曲) - Wikipedia

最愛の母の死が色濃い曲ではあるが、決して暗い気持ちにならずに救いがあってとても好きな曲。さっき貼り付けのためにYoutube飛んだら、コメント欄が追悼の会場になっており一瞬現実に引き戻されてしまった。

彼にとって、母がどれだけ大事だったのか。LongDistanceCallや様々な曲で
モチーフとなって表れている。特に熱心に記事など読んでいないけれど、まるで僕はずっと忘れてないよ、と語り掛けてるようで新譜にそういう曲が有るたびに僕は胸が少しだけ締め付けられる思いがしている。
(僕は子供のころ母と死別したので、どうしたって他人事ではなくなる)

人の価値は、その人が死んだときの葬儀の列で分かる、みたいなことを言うけど
それで言うと今回はまた凄い。何万人が並んでいるのやら、といった風だ。
先輩、後輩のビジュアルミュージシャン、V系以外のミュージシャン、ライター、漫画家。。。。予想外の人まで名前を上げてその死を惜しんでいる。
観測できた範囲で余りの幅広さにこんなにいるのか・・・・というくらい
その影響力には呆然としてしまった。
そうでないファンの人たちのことは言うまでもない。

ずいぶんととっ散らかったけど、ここまで付き合ってくれた方いたらありがとう。
もう櫻井敦司に会う事は出来ないし、新しい歌を聴くことも出来ない。
いつかライブで・・・でいう願いは永遠に成就できなくなってしまった。
今井敦は大丈夫!続けるよ!とインスタで言っていたが(優しい人だ)
今後どうなるんだろうか。予定されていた残りのライブは全て白紙になってしまった。
ボーカル(フロントマン)が亡くなってから活動しているバンドも少なくない。
とにかく残された遺族とメンバーが、少しでもいい方向へ向かってくれますように。
某県某市某所の狭いマンションの一室から愛を込めて。
見出しの画像は櫻井敦司さんが生涯愛した猫の画像にしました。





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