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初めて映画館でエヴァ見たらぶっ飛んだ

※ネタバレあり、リハビリ兼ねての自分語り、冗長。ご了承下さい。


シンエヴァ、良かった。本当に良かった。まず旧劇含めようやく映画館で観れた事、長かった物語の終わりにリアルタイムで立ち会えた事…と、その前にオタク特有の、観に行くまでの自分に取ってエヴァの歩みを振り返る。(ウザがられるし必要か?とも思うけど、そこすっ飛ばして語るのはどうしても無理だった)

イントロ(シンエヴァを観に行くまでの、僕とエヴァ)

初めて観た時の事は割合鮮明に覚えている。学校から帰って来て習慣のようになってる夕方のテレビをつけ新聞見ながらダラダラチャンネル回してる時に「出会って」しまった。

何だか重厚だけど緊迫感のある音、トラックに飛び交う血飛沫、出てくる少年たちは自分とそう歳も変わらないらしいけど何だか様子がおかしい。あとで分かることですが、18話。バルディエル、第13使徒。寄りにもよって。

たしかシンジが強制的に動く初号機を必死で止めて「やめろおおおお!!」とか絶叫して、友達の乗ってるエントリープラグ粉々にする凄惨なシーンの前後。それが僕が初めて見た「新世紀エヴァンゲリオン」だった。

その後、瞬間的にTVを消したかチャンネルを変えたかまではもはや曖昧模糊。しかし、見てはいけないものを観たという恐怖と畏怖、何だこれ?訳分からんという感覚。

やがて、その変なアニメの事など忘れて暫くは何事もなく過ぎていき、その次が25か26話。

ファーストインパクトがデカすぎただけに、その時もテレビザッピングして、なんやこれ?となり新聞のラテ欄観て「あの変なアニメ、またやってるやん!」と1度ちら見ただけに暫く我慢して観たものの、監督自身の特大投げっぱなしジャーマンを上記のような状態で理解出来る訳もなく(ガチで追ってた人ですらそうなのに)やっぱ最後まで変なアニメなんやなー、何がしたいんや?(ポチポチ)で僕と変なアニメことエヴァンゲリオンは終わりました。いや、終わるはすわだった。

状況が変わり始めたのは1年後。友達数人が「綾波レイ?いや、アスカやろ!」「いやいやいや!」(きのこたけのこ戦争)とか、部活の先輩やクラスメート女子が「カヲルくんとシンジくんがきゃー❤」(腐女子的な事を言ってた)とか、やたらと耳にするようになりめざましテレビでもエヴァの劇場版がどうたらこうたら…

自分の知らない間に、誰も話題にしてなかったあの「変なアニメ」はすっかり「社会現象」になっていた。

そうすると、選択肢は徹底的にスルーしていくか、観る(調べる)のどちらかしかなく、俄然興味が湧いて来る。深夜の再放送があったのも助かった。

「え?面白い!?めっちゃ面白いやん!」意味ありげな謎やら何やらありますが、まずシナリオ(セリフ回し)が抜群に面白かった。なので、まずドラマを観るような感覚で最初は入っていった。

言うのが遅いけど、当時はドラマ、バラエティ、歌番組はよく見てたけどアニメはほぼ見てなかったので、余計にそう感じたとこもあったのかも。

たまたま観た初回放送が余りにも面白くてサントラ買ったり謎本買った程度にはどっぷりハマった古畑任三郎や、(これは放送その後だけど)踊る大捜査線とかを見た時のような驚きとワクワクがそこにはあった。

これは身バレの危険性も含むし、変に同情請われるのも嫌なので端折りますけど、自分もいわゆる片親です。持病とかじゃなくて、ある日突然母親がバッタリ倒れ、その後目覚める事は無かった(くも膜下出血)

そんな事情もあって、物語の中身が判明すると否が応でも共感を覚えるように(特にシンジくん)

当時、映画好きの父がWOWOWに加入したおかげで例のシト新生も最速で観ることが出来ました、確かその時は父と一緒に見ました。(父なりに息子が最近ハマってるものに興味があったらしい。小難しいけど、なんや悪くないんちゃう?みたいな感想言われた記憶)

首絞めエンドの旧劇映画、今考えても見に行かなくて良かったと心底思う。友達とならまだ終わって語り合えるものの、1人であの終わりを(スマホもない頃に)受け止めるメンタルは僕には無い。あれに感化されて文字通り自分で自分を終わらせた人が(ホントに)いないか心配になる。

バンダイのトレカ、結局1人で買い続けるのでトレードも(トレカまで買ってる友達が周りにいなかったし、当時はお店で買ったり同好の士とトレードするなんて事も知らなかった)何もなくコンプは出来なかったものの、カルビーのカード付きポテチも毎回美味しく頂きましたし、カードダスでようやくキラキラの綾波レイ自引き出た時は思わず歓喜の雄叫びを上げました(キツいね)

アニメイト、というか専門店に初めて入ったのもそれ目当てでした。「笑えばいいと思うよ」の綾波レイのラミネートカードと、版権絵か描きおこしの可愛い綾波レイの2つ。

古本屋でぽちぽち買い揃えたアンソロジーで、同人誌の存在を知り、その後の著名作家の名前もこの辺で把握出来たように思います。タカハシマコさんはそんな中でも印象的。初めてコミケのサークルで本買った時は感慨深かったです…

サントラをすべて揃えてMDに鉄板のベストを作って、addition収録のレイ、アスカ、ミサトバージョンの残酷な天使のテーゼとドラマ…

セーラームーンとミサトさんが同じ声優さんがやってると知って!?てなったり、キャストスタッフの名前がどんどん頭にインプットされると別作品で名前を見た時に答え合わせが出来たような妙な嬉しさを覚えるようになり、カレカノ▶トップをねらえ▶ふしぎの海のナディア▶フリクリ▶オネアミスの翼…

順番は適当ですが、GAINAXと貞本義行仕事はとりあえずチェックしていきました(使命感)

特に、フリクリはpillowsに出会わせてくれ、ライブを見るという新たな楽しみを教えてくれた作品として今でもエヴァとはまた違う部分で大きな位置を占めています(それだけに現在の名ばかりガイナの今は悲しい)

当時、深夜放送で観た庵野監督初実写長編「ラブ&ポップ」、援助交際という題材や諸々破綻してる部分も多かったし割と退屈な作品でしたが、それより魚眼レンズやwikiに詳しいですが色々と監督が挑戦してる姿勢そのものが面白くて妙に印象的。

と打つ手も疲れてきたので、この辺で辞めますがとにかく多くの人がそうであるように、エヴァ以前と以後にハッキリと別れるような、また1人量産型オタクゲリオンが出来たと言えばそれまでの話なんですがそんな感じでここまで歩んできました。

正直、大人になって色んな物を見聞きしてエヴァはいつしか「懐かしい思い出」としてフォルダに入っていました。

それだけに、新しくエヴァを作り直す!とぶち上げた時は困惑しました。自分が嬉しいのか寂しいのかすら分からないような。パチンコ出したら思いがけずまた経済回しちゃったから、そそのかされたのか?大丈夫ですか?もうやりたい事やっていいんですよ?

知らん間に、エヴァの関連商品からガイナの名前がコピーライトから消えカラーとかいう読み方がそもそも分からん会社ができたり、戸惑いは増すばかり。

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序、破、Q、レンタルで見たり日テレが絡むようになってからは金ローで初回見たり。

どれも確かにリビルドと言うだけあって(ストーリー自体、ほぼ変化無しだけに技術力と予算が相当増えてるのが如実にわかる序が特に)面白く、その中でも外せない2つ変化した点では宇多田ヒカルと、真希波マリでしょうか。

真希波マリ、は自分が坂本真綾(別件で歌から入りましたが本筋ではないし省略)のいちファンで今まで彼女の役柄としてもあまり聞いたことの無い、かつ旧エヴァにはいない、掴み所の無い萌え要素の塊みたいな別枠。

宇多田ヒカルもそう。またwikiに書いてるので各自読んで欲しいのだけど、公式が主題歌を打診するきっかけの週刊プレイボーイの記事読んでたので、エヴァに高橋洋子じゃなく宇多田ヒカル?てのと縁はどこで繋がるか分からんな…て2重の驚きがあったり。

と、その間(最初の時点で四部作と発表)いくらでも映画館に足を運ぶ機会が会ったのに、結局足を運ぶ事はありませんでした。

別作品(まどマギ)を見に行ってる時に、予告でカヲルくんとシンジくんの連弾シーンがあるQのやつ流れて思わず!となるも、です。

理由は、探そうと思えばいくらでもあるんでしょう。でも、突き詰めて考えると「ガッカリしたくなかった」と言えば1番伝わりやすいかも知れません。

最悪の終わり方を迎えたとはいえ、完結した作品をいちから作り直す。そこまでは分かります、世の中リメイクで名作や良作は山ほどあります。

だがしかーし!(アスカの声で脳内再生してくれると助かる)Qのアレは無いわ、と思いました。旧劇やTVシリーズですら、理不尽な目に合い続ける碇シンジ。でも、なまじ本人がエヴァのパイロットであるという自覚や経験があるだけに今回はもう残酷度が桁違いです。10数年の時が経ってる、内部分裂でネルフ解体して使徒とか以前の問題だし、自分のせいで世界が崩壊してる、ミサトさんは目も合わせない(終始目を覆ってるから目線が読めない)し冷たいし、アスカはなんか眼帯つけてガラス越しに殴りかかるわ、「エヴァには乗らんといて下さいよ!」しか言わない関西弁が妙に引っかかるトウジの妹(沢城みゆきさんに罪は無い)やら挙句の果てに綾波レイは?の問に「もういない」とだけ告げられ、お前はもう何もするな(=死ね)なんて…こんなのないよ、あんまりだよ、て話ですよ。

そこへやってきた、渚カヲル。誰だって頼れる相手、それ以前に話を聞いてくれる相手が誰もいないこんな時に不意に、自分のこと全肯定して話聞いてくれて、トドメにCV石田彰のイケメンが現れたら好きになるしか無いじゃない。

そんな、シンジくんとカヲルの連弾など一連の話題になったシーンは良かった。いや、尊かった…これだよ、こういうので良いのホントに。何もするな、エヴァには乗らんといて下さいよ!と言われたら旧劇までのノリなら過去のラッキースケベ的シーン思い出して、しこって最低だ俺とか賢者モードに入りそうなもんですが

しかし、何やかんやあって大方の予想通り今回もカヲルくんはシンジくんの目の前で爆発四散します。旧劇とは経緯が相当違う上で。

この時は、旧エヴァの時とは反対に割合にあっさりとした最後だった。それより鼻水流して完全に主人公のやる顔じゃない悲惨な顔と声で嗚咽するシンジくんが辛くてたまらなかった。

急(Q)とは上手いこと付けたものだ、とも思いますし、その後の桜流しもまた絶品で…いや、こればかりは情報を遮断して初日観たかったなとは思います。無常観、どんなに親しい人だろうと別れは突然訪れる、震災をモチーフにしたとか色々と言われてますし。

そして、寝ても醒めても少年マンガ~もとい、次の完結編の進捗が来ないまま時が流れます。物語の完結以前に、またメンタルやられてるのかな?とかモヤモヤしてるのに宮崎駿引退作の主演に抜擢とか?????とか、やっとカラー公式のリリースが来たと思ったら一応エヴァ作ってるよ。あと、ゴジラやります(!?)などなど。

この辺になると、もう完全にエヴァどうこうより、監督の動向が気になってきます。もう何となく分かってるんです、どうせ使徒が何であるかなんて、いまさらきちんと説明しないんだろって。されても今さらそんなに興味無いし…

師弟関係というか、自分の引退作にシロウト主演で使うてどうなん?て監督というか鈴木Pいよいよバグったか?など思いましたが「風立ちぬ」普通に面白かったし、役柄にも合ってた。

そして、問題のシン・ゴジラ。何だか、日増しにネットでザワついているのが見て取れます。今までエヴァもゴジラも興味なかったクラスタの人まで騒いでるし興行も良いらしい。

監督ほどじゃないですが、元々アニメより東宝特撮好きで、特撮作品のロボット変形シーンとか発進シーンだけ集めたビデオとか見たり怪獣大百科とか持ってたような奴なんで、さすがにこの絶賛ぶりは裏切られた的なことは無いにせよ俺の観たいゴジラと違ったら嫌だな…と地上波初放送まで見送ってた始末、中々の豆腐メンタルです。因みにその後見たシン・ゴジラ最高でした。早く見てバレ気にせず、みんなとワイワイやりたかった…

さわやかなエヴァンゲリオン

緒方恵美さんをはじめとするキャスト陣のアフレコしてるよ終わったよ、などのTwitter情報がよく目にするようになり、とうとう明るい兆しが見えてきました。かに思えました。

コロナ禍…多くは言いません。映画は延期になりました。払い戻しは1件だけでしたが、中止になった上坂すみれ大阪でやりました。震災の時なら、東北行こう!福島に支援しよう!経済回してこう!と何かしら一人一人行動が出来ました。でもコロナ禍は突き詰めてしまえば「何もするな」です、なんだかミサトさんに冷たく言い放されたQのシンジくんと我々とは何が違うんだ?と言えばもちろん言い過ぎですが社会世界全体が見えないウイルスに怯え、会いたい人に会えない、どこにも行けない、あれをするなこれをするな…母親との死別、阪神大震災、これは直接被害は無いけど社会的にという断りで名前出すのだけどオウム…かつて経験したことの無い窮屈でがんじがらめの日々だったように思えます。ネットや他者との関わりが無かったらホントにどうなっていたか…

今回は是が非でもスクリーンでその終わりを見届けるつもりでした。何度目かの延期の末に発表された公開日は1/23、自分の誕生日の2日前だった事も勝手にモチベ上げていました。(パンフには、広告情報の日付がズレる旨のお詫びと断りのビラが入ってる)

最後の最後に、ようやく本決まりになったのが3月8日。しかし多くの人がそうであるように僕もまた座席を取れませんでした(席や時間を問わなければ行けない事も無かった)

3月9日、つまり2日目ならいけるのでは?と期限切れしていた会員カードを更新、2日前の夜9時からの最速予約に何としても間に合わせるまてに、久々のオタク現場終わり僕は内心気が気じゃない焦りようで無事に丁度いいとこを取れました。あの時の皆さん、諸々申し訳ない(私信)

さわやかなエヴァンゲリオン

公開日のあとの0時すぎ、サブスクでOne Last Kissを聞いた時は本当に驚きました。

爽やかすぎる…………??宇多田ヒカルは好きだしエヴァ云々なしにしても単純にとってもいい曲です。しかし今までのテーマ曲にこんな青空の空の下のような開放感は見いだせません。他に収録のリマスター盤主題歌と共にを延々リピートしながら公開までの時をその日は過ごし、果たしてこの楽曲にハマる終わり方を出来るのか?そんな事が可能なのか??いや、しかし…などと考えていました。

さて、ここからようやくネタバレに入ります。(長すぎる)

前半は案の定といえば案の定辛いものでした。失語症になり出されたご飯を一口も手をつけないシンジくん。そんな彼に業を煮やしたアスカが無理やり口にレーションぶち込んで耳にいたいこと言うシーンはハイライトのひとつだと思います。口ではガキ、バカガキともはやバカシンジ、と名前すら呼ばないのに絶対に見捨てない、いやほって置いてくれない…ツンデレと言うには単純化できない葛藤を持ってるのでしょう、どちらもそれぞれの辛さがあるだけに見入ってしまうもこの辺りやはり苦しかったです。

意外だったのがアヤナミレイ(仮称)です。綾波レイで綾波レイでない、また色々とねじれまくった彼女の存在がこんなに救いになるとはQの時はまるで思いもしませんでした。文字通り赤子状態のアヤナミレイに対して、「そっくりさん」と言い一つ一つ丁寧に挨拶や子供にお乳を上げることを説明するヒカリ。ゲンドウが彼女に取っての唯一全てだったのに対して外の知らない世界、知らない事に(表情や声色にほぼ変化はない)一喜一憂する様子は癒しそのものです。ほんっと可愛いよ…あとこれはパンフに対して僕はちょっとクレームなんですけど、かつての第3の制服着て周りのオバチャン連中に可愛い可愛い、と言われて表情を赤らめるシーンあるでしょ。数秒ですが。あのカット載って無いんですけど!?!?

あとこれ完璧にダイマですが、序盤の畑仕事するアヤナミレイは、林原めぐみさん的には嘘でしょ!?とかかなり楽しかったようで気になった方は是非とも…

まあ、シンジくんのウジウジはともかく(ひどい)今回は何かと旧エヴァをなぞったようなセリフ回し演出が相当多かったですね。

それまでの新エヴァは違いました。

序こそTVシリーズの序盤リメイクとはいえ、破以降はほぼ別ルートです。アスカなんて名前変わっちゃってるし。それはでも意地悪な言い方をすると、旧エヴァを比定、つまり無かったことにしてる、と取られ兼ねない危うさがあります。

お上(創作者)がかつての著作を燃やしてくれ、とか絶対に読むな!!て言ってるのはまだ良いけど(良くはないか)

旧劇のほうが好き、あるいは旧劇が好きという人も当然いる訳でその人たちからしたらあれ俺らの気持ちは蔑ろ?てなるかもしれません。僕ならなります少しは。

先程書いた過去作とのなぞり、メタすれすれどころかややくどいくらいに書き割りを出すタイトル回収までやってしまうのも!!!!で大変面白かったですが。

長々描きましたが、今回のシン・エヴァンゲリオン劇場版:||でやった事はつまり何かと考えるとそれは「否定しない」という事です。

物凄い考察してる人めちゃくちゃいるし勝負しようとかじゃないけど、俺の頭じゃこの程度の事しか言えません、でもそうなんです。

「新世紀エヴァンゲリオン」とは「否定」の物語です。他者を否定し、自分を否定し、世界を否定する。エヴァのパイロットは全員片親やシングルマザー(エヴァ=母親)で愛情の欠落や劣等感に苛まれ続けますし、後者でも最も悲惨な目にあったのが惣流・アスカ・ラングレーなことは今さら書くまでもありませんが一応。

ゲンドウ編、Twitterでトレンド入りしてましたし僕もうっかり口をすべらすところでしたが半分は当たってます。見た人にだけ分かるけどバレにも配慮のやさしいせかいで好きてです。

僕は心のどこかで、いや確信を持ってシンジくんがダメ親父のマダオをぶん殴ってくれることを期待していました。全部とは言いませんが、あの親父はマジでひどい。いや、今までの場合そこまでは共通認識としてありました。

しかし、彼は本当に無口です。この流れで書くのは立木文彦さんにもとても失礼なのですがお許しください、ギャラ泥棒(セリフの少ない役柄を演じる事が多い人は現場でよく弄られる、らしい)と言っても言い過ぎじゃないほど彼は喋りません。喋らないし、内心を知られたくないのか知りませんが。少なくとも、これまで彼の視点で物語が語られた事は確か1度たりとも無かったはずです。

その、碇ゲンドウが。立木文彦ボイスでですよ?まあ喋る喋る。あれは圧巻です。量的にページ数とかでならそこまでじゃないかもですが、25年もの間作品内としてもこちらとしても無口だった男があのいい声で、イッテQとかナレーション並の物量で半生を語り出すのは鳥肌ものでしたね、やはりプロは凄い…

あんまりにも喋り出すので、初めこそ???とついてくのに必死でしたが。段々と、これはかなりの長ゼリフだなって分かると見えてきます。

彼はずっと1人でした。他人に興味が無い、そもそも他人と関わるのが苦痛だった。本が好きなのは知識を与えてくれるから…独白が静かに訥々と語られます。だろうな、位のものではありましたが。

そして、大学でユイさんに会います。経緯はあまり語ってなかった気がしますが、とにかく2人は付き合ってやがて結婚します。この辺り聞くと、旧劇の事思い出してゲンドウがユイさんに近づいたのはその裏の莫大な遺産やら知識が欲しいだけだろう、などと悪い噂ばかりだったと言うのがそもそも間違いだったのか。

しかし、最愛のユイさんは実験の途中で命を落とします。この辺はほぼ我々の知ってる事です、しかし彼にはユイさんが全てだった。子供はどうでもいい、とまで言い放っています。最初からシンジくんが好きでも嫌いでもなく、どうでも良かったと。そしてそれを心象風景みたいなとこで親子喧嘩、というかエヴァ同士でウルトラファイトみたいなことしながら息子に話すのは、ほんとに言葉がありませんでした。

人類補完計画、魂の救済、そんなものどうでも良かったのです、何のことはありません。彼はただもう一度ユイさんに会いたかった、エヴァで誰よりも救われたかったのは他ならぬ碇ゲンドウです。彼は息子すら手駒にして、ユイさんのクローンを大量に作らせ、そうやって何もかも利用してきたのです、たったひとつの叶わぬ願いのために。

ゲンドウの気持ちは痛いほど分かります。随分と前に軽く書きましたが、母が亡くなってらからの1年ほどは記憶があまりありません。ずっと暗闇の中をさ迷っていたようなそんな感覚。ふとした時に母の事を思い出して涙が止まらなかった事は何度もあります。

会いたい、愛するあなたに会いたい。せめて、最後にありがとうと言いたい。もう考えるのも嫌になるほど考えました。会って謝りたいこと、今のこと、最近こんな事があったよ。

しかし、子供でもやがて分かります。そんな事は無理です。絶対に。それが出来るならとっくのとうにタイムマシーンは完成しています。

お経を唱えたり、坐禅くんだりお焼香したり…昔はなんで三回忌だのなんだの、毎度毎度やるのか良く分かりませんでしたが今ならわかる気がします。それは僕たちのためにやってるんです。死者のためを思って?そんな事は綺麗事です、いい意味で忘れて前を向いて歩いていくから空の上から見守っててね。そんな感じだと思います。他人の、ましてや死者のことなんてわかりようがないしそれよりも今生きているこちら側のことを…のためにやるルーティンだと。

しかし、不器用というかまともに他者との関わりを持たなかった(ユイさん以外)ゲンドウには、そんな子供でも分かるような問題が何年経っても分かりません。むしろ、時が経てば立つほど…でしょう。

それをじっと聞いて、怒るわけでも不貞腐れる訳でもなくて「父さんもさみしかったんだね」などと受け入れるシンジくん。天使かな?

これを受けたゲンドウの「大人になったな、シンジ」は今こうやって書いていても涙が止まりません、むしろ見た時より泣いてるw

その前後の「さよなら、すべてのエヴァンゲリオン」などの1連のシーンは監督からの文字通りの御礼だと捉えました。すべてのスタッフキャスト陣、これまで応援してくれた人、今これを見てるあなた…随分長い間待たせちゃってごめんなさい。そんでこうなりましたけど、どうですか?て。

でも、まどマギを通ったあと何度もループしてた渚カヲルという種明かしは、ちょっとうーんてなりましたね。たまたま被っただけかもですが、ね。

それより、渚司令、と相変わらず食えない男加持リョウジのほうが捗りますけど。この映画で1番!!てなったとこのひとつです。

文字通り命懸けで被害を最小限に食い止めた加持リョウジに対して、すべてのクルーを船から出して戦艦で突っ込んでいくミサトさんも良かったですね。Qからのあの変貌はそうでもしないと自分を保てない(特にシンジくんに対して)彼女の脆さと生来の母性を感じます。ほんとに息子出すのも割かしビビった。

シンジくんの次に救われなかったアスカ。最後のアダムとイブになってまで、お互いを拒絶し否定して終わったあの衝撃がまるで嘘のようです。もちろんご都合主義だなあ、とか思うとこは無くはないです。でも、シンジくんとアスカ、ここの2人に救済があったことはほんとに嬉しかった。

アヤナミレイ(仮称)、前半の人間らしさを魅せていく流れがあるだけにやはりウォークマン渡して液体になる最後は悲しい。

ラストの象徴的なシーン、既に特定してる人がいましたが山口県、監督の地元の駅がモデルのようです。成長したシンジくんの顔で神木隆之介くん(サプライズ出演)の声になるのは、ま????ではありましたし、真希波マリぽい人とラブラブカップル(死語)なのは末永く爆発しろ!!としか言えないし、主要なキャラ(少年たち)はみんな駅にいましたね。

そして、OneLastKissのイントロがかかってエンドロール…あー、遂に終わったーてのと単純に長い(2時間半)のでそれなりに疲れてましたがとにかく濃密で面白かった!それに尽きますね。映画としての完成度が高い、エンターテインメントしてました。

シン・ゴジラの評判とセールスなど含めた評価が監督と今作に与えたものはきっと相当大きいなと感じました。やればええやんて説得した人達や、最初に声掛けたPさんたちマジでGJです!ありがとうございました。

作劇上の見せ場もモリモリ選手権で、その最も美味しいシーンの中で当然のような顔をして特撮劇伴が流れたのは笑いながら見てました。(惑星大戦争のBGMとエンドロールで判明)

僕はそもそもオリジナル存じ上げ無かったんですが、ユーミンVOYAGERのカバー、素晴らしかった。何の曲か分からなくて、でもshazam!とかいう訳にもいかなくて何とも落ち着かなくてあまり集中して見れてなかった…

 #シンエヴァ

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