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人と話すのは大の苦手。それでも、面白いことをするために“オールマイティーな強さ”を目指す|中瀬(maxilla・アシスタントプロデューサー)

※この記事はHelixes Inc.のオウンドメディア「Helixes.log」から転載しています。(公開日:2024.6.27)

Helixes Inc.のメンバーやそのマインドについて発信していく「Helixes.log」。

Helixesのクリエイティブエージェンシー・maxilla事業部においてアシスタントプロデューサーを務める中瀬。現在はアシスタントプロデューサーとしての業務だけでなく、プロデューサー業やHelixesでの新規自社IP開発などにも携わっています。学生時代には漠然と「映像系の仕事をやりたい」と考えていた彼女が、maxillaでの仕事を通じて目指す未来像とは? 確固たるキャリアがまだ見えない中でも、「面白いことをやる」ために成長を続けようとする彼女の思いを聞きました。


学生時代は漠然と映像系を目指していた

─現在の役職と仕事内容について教えてください。

中瀬 役職としてはアシスタントプロデューサーです。アシスタントプロデューサーはプロデューサーのサポートを担うポジションとして、企画から制作進行面でのフォローなどがメインの業務になります。ただ、maxillaでは案件ごとに立ち位置も変わってくるので、クライアントとの折衝を含めてプロデューサーとして前面に立つこともあれば、制作管理を主とするプロダクションマネージャーを務めることもあります。

ほかにも、最近だとmaxillaのクリエイティブプロデューサーである平嶋さんと一緒に自社IPの新規開発をしたり、私の好きなアニメ案件では企画出しやプランニング、クライアントへの提案なども行っています。

─アニメがお好きなんですね。アニメが好きだと気付いたきっかけは? 

中瀬 カルチャーはなんでも好きなんですけど、アニメは特に好きですね。アニメを好きだと自覚したのは、子どもの頃にテレビで見た『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』(2009〜2010年)でした。もともと2人の兄の影響で小さい頃から少年マンガをよく見ていて、『鋼の錬金術師』は原作マンガも好きだったんです。

ただ、原作マンガは当時小学生だった私にとっては少し難しいところもありました。そんな時にテレビでアニメ版を見ると音楽やセリフが付いていたり、話は同じだけど原作とは違う表現をしていて、アニメの演出として受け入れやすく、原作マンガとはまた違って見えたのが面白かったです。

─アニメ以外だと、どのようなカルチャーに触れていたのでしょうか?

中瀬 家ではマンガやアニメも見ていたし、ゲームもやってましたね。家族と一緒にSF映画だったりといろいろな映画も見に行っていました。私はあまり読まないんですけど家には本もあって、人並みにはカルチャーに触れていたと思います。

映画だと、特にクリント・イーストウッド監督の作品がめちゃくちゃ好きです。中学3年生で受験が終わった時には、イーストウッド監督の作品をTSUTAYAで大量にレンタルしました(笑)。でも、当時は映像の仕事をしようとまでは思っていませんでした。

─映像の仕事を志すようになった経緯は?

中瀬 そもそもはっきりとした夢がある人間ではなかったので、高校生で進路を考えるタイミングになって漠然と「映像系が良い」と思っていました。「やりたいことをやる」というよりは「やっても嫌じゃないことをしよう」という感じです(苦笑)。それで、アニメや映画、ドラマも映像という枠組みだったので、プロデューサーになろうというよりもとにかく映像系が学べる学校に進学してみようと。

それで、佐賀大学の芸術地域デザイン学部に進学しました。芸術地域デザイン学部は芸術の力で地域創生を目指すというちょっと特殊な学部で、キュレーション分野から実際に映像を作るなど制作において幅広く学びました。同期として現在はmaxillaでプロデューサーを務める園川と出会ったのも、この大学なんです。

─大学に進学して、映像系の技術や知見を学んだわけですね。

中瀬 最初は「映像を作る」といっても具体的にどういう関わり方があるのか自体、あまりわかっていなくて。「何か作りたい」という思いしかなかったんですが、勉強や実制作をしていくうちに、自分に映像ディレクションはあまり向いてないかも、と思うようになりました。それは大きく挫折した出来事があったというより、何回か制作をするうちに、やっていて楽しいけれど自分は作るのに向いてないと感じたんです。

一方で、大学在学中に地域の企業と一緒に企画の立ち上げから制作までを行うプロジェクトに参加して、企画するということが面白くて。将来の視野として、映像の企画分野も考えるようになりました。

maxillaの撮影に立ち会い、映像へのこだわりに感動

─大学で映像を学んだ後、入社するまでにはどのような経緯があったのでしょう?

中瀬 就職活動の際には「好きなことを仕事にしたい」というのがあったので、映像系で就職先を探して、テレビのバラエティ番組の制作会社に入社しました。小さい頃からテレビもよく見ていたので、テレビを作るのも面白そうだなと。小規模の制作会社だったので、手探りで仕事をしていましたね。

そんな中で、先ほど挙げた園川はmaxillaに新卒で入社して、彼女からmaxillaの話をよく聞いていました。それである時、彼女から「MV撮影のエキストラとして参加してくれないか?」という声がかかって。その現場で友人だった園川がプロデューサーとして前に立って働いている姿や、maxillaのスタッフたちの雰囲気やバイブスがすごく良いと感じたんです(笑)。

また、MV制作の現場に立ち会ったことで、テレビの制作のやり方と全然違って、私がやりたいことはどちらかというとMVのほうかもしれないと思いました。

ひとつは映像への考え方で、テレビのバラエティは画に対するこだわりというよりも、「話をどう面白く、わかりやすく伝えるか」を一番に考えているように感じていました。一方でMVは、楽曲の表現に合わせて画で内容を伝えるためにカメラや照明も凝っていて、映像としての表現の仕方に感動したんです。

もうひとつは人間関係です。私がエキストラとして参加したMVの現場では、スタッフ全員がその時やれることを役職の垣根なくベストを尽くすというmaxillaのやり方を見て、めちゃくちゃ惹かれたのも大きかったです。

─そこからmaxillaへと転職するわけですね。

中瀬 すぐに履歴書を送りました。リファラル採用があるのを知らなくて、一般応募したんです。一次面接をした後で園川もそのことを知ったらしくて(笑)。面接では社会人経験が1年半しかなかったので、「何ができるか」というよりも「自分がやりたいこと」を言った気がしますね。

初めてのプロデューサー業で重視したのは、人との対話

─入社後に手がけた仕事の中で、印象に残っているものはなんでしょう?

中瀬 入社後すぐに『マジック・ザ・ギャザリング』のアニメーショントレーラー「神河 輝ける世界」でプロダクションマネージャーを担当して、アニメを作る面白さを感じました。その後は、いろいろなMVやリアルでの撮影案件に制作進行として多く携わりました。2023年初頭には、時計で知られるセイコーウオッチのグループ会社であるセイコーインスツルとセイコーNPCのブランドムービー制作で、初めてプロデューサーを担当しました。

それ以前にセイコーインスツルの別の案件にプロダクションマネージャーとして参加して、そこでクライアントさんとお話しして良い関係性を築くことができていました。そこからブランドムービーの案件につながったということもあり、「中瀬が話をもらった案件だからプロデューサーをやってみなよ」と言ってもらい、プロデューサーを任せてもらえた1本です。

─プロデューサーに抜擢された時の心境は?

中瀬 まず、私にお話をいただいて任せてもらえたということがすごく嬉しかったです。

それと同時に、案件の予算規模も大きく、何より会社のブランドムービーという、いわば“会社の顔”を任されたということでプレッシャーも強く感じました。年度末でほかの案件も抱えて忙しい時期でもあったので、なおさら不安もありましたね。

─初めてのプロデューサー業でプレッシャーもかかる中、どのように乗り越えていったのでしょうか?

中瀬 とにかくいろいろな人たちとたくさん話をしました。プロデューサーとしての知見があまりない状態だったので、ディレクターやプランナーの方と企画や内容について遅くまで話したり、会社のさまざまな人に企画書を見せて、自分の価値観だけじゃない第三者目線を得るようにしました。

また、クライアントの会社にもおうかがいして、「会社として何を表現したいのか」ということを引き出すのに注力しましたね。先方も「ブランドムービーを作りたい」という思いを初めて実現するタイミングだったので、改めて会社として描きたい方向性を言語化する作業を一緒にやるようにしました。

─コミュニケーションを通じて先方が描きたいものを言語化して表現に落とし込む、というのはプロデューサー業の大きな役割だと思います。元々人とお話をするのは得意だったんですか?

中瀬 いえ、全然得意じゃなくて、そもそも人と話すのがめちゃくちゃ苦手なんですよ(笑)。人見知りなので、休日もなるべく人に会わないように家に引きこもってるタイプなんですけど……。正直、自分でもそれが出来たのは不思議なんですが、一緒に作ってるメンバーの人当たりの良さに支えられたという思いはすごくあります。maxillaは働く先輩や同僚との壁が全然なくて、すぐに話を聞けるので、すごく恵まれた環境だと思いました。


「面白いことをやる」ために“オールマイティな強さ”を目指す

─maxillaで仕事を続けていく中で、今の自分の強みをどう捉えていますか?

中瀬 プロデューサーはやっぱり人と喋ることが仕事の大部分で、コミュニケーションを築くのがとても重要です。もともと自分に自信がない人間なので、その点でも実は自分は向いてないってずっと思ってましたし、今でも自信を持ち切れていない部分はあります。
ただ、ほかの人からは「クライアントやスタッフとの関係値作りが上手い」と言ってもらえることもあって。まだ完全に自覚はできていませんが、客観的に見るとそういうところが強みなのかな、と思います。相手との関係値を築くという点では、maxillaプロデューサーの先輩である田中大地が、本当に人のA.T.フィールド(心理的領域/アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の用語)の内側に入るのが上手いので、そこを目指していますね。

─最後に、中瀬さんは今後maxillaでどのような未来像を実現していきたいですか?

中瀬 maxillaのプロデューサーの枠組みとして、主に営業や案件開拓を行う「クリエイティブプロデューサー」と、予算管理やチーム組成といった制作に特化した「プロダクションプロデューサー」があります。私はちょうど次のステップとして、どちらのキャリアを目指すのかという話をしているタイミング。個人的に自分に向いてるのはプロダクションプロデューサーと思いつつも、会社の面談では「クリエイティブプロデューサーに向いてるかも」と言われたり、客観視点と主観的な目線が見事に乖離している部分もあって、まだ決めきれていません(苦笑)。

ほかにも、冒頭で言ったようにプランナー的に企画・プランニングをやらせてもらって、こちらも面白いと思っていますし。だから、今は特定の役職というよりも「面白いことをやりたい」というのが一番しっくりきています。面白いことをやるために自分が携われるベストなポジションは何か、それによって役職を変えることが出来たら良いなって。本当にわがままで、正直プロとしてはどうなんだ?って感じですけど、“一つを極める強さ”もあれば、“オールマイティーな強さ”もあって、どちらかというと後者のほうが自分には合ってるとも思います。

アニメも好きなのでアニメ案件もやりたいですし、撮影現場も好きなのでMVの案件があればやりたい。IP開発・立ち上げもまだ始まったばかりですがやっていてすごく楽しい。私がさまざまな分野で得た知見を持つことで、誰かの心に刺さるクリエイティブを生み出せたら嬉しいです。

Interview & Text : Kentaro Okumura
Speaker : Shiho Nakase
Edit : Kohei Yagi / Hanako Yamaura
Photograph:AVO

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