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返事の届かない手紙⑬

トイレの個室から出て、手を洗いハンカチで手を拭き
本当になんとなく、さっきまでKが見ていたブランドの店まで行って
Kが手に取って悩んでいた筆入れみたいな商品を見たら
まぁ、少しは悩む金額だなぁと思った
手にとって見ていたら店員さんに覚えられてたみたいで
「彼女さんへのサプライズですか?」と声をかけられ
「彼女でもないし、面倒な女だけです」と返事をした

これを買って、渡したらどんな顔するんだろうと思って
店員さんを捕まえ並んでいる商品ではなくて
バックヤードにある同じ商品を下さいと面倒な事を言い
新しい物を出してもらった
正直、誰が触っていじくり回した物を渡すのは僕が嫌いだからだ
新しい筆入れみたいな商品受け取りレジへ向かい
支払いをしてる最中に「プレゼント用ですか?」と聞かれ
食い気味に「ラッピングはしなくていいです」と言った

筆入れみたいな商品をご丁寧にショッパーに入れてもらい
ブラブラとぶら下げてKのところへ向かったら、Kはらしくもなく
ベンチにチョコンと座ってる姿が見えたから
筆入れみたいな商品が入ったショッパーを後ろに隠して
Kのところへ行き「ほれ、くれてやる。ありがたいと思えよ」
Kの前にぶら下げる
Kは睨んできたが、ショッパーを見て顔が一瞬で変わった

ショッパーを引っ手繰るように僕から取り、中味を確認する
中身を確認したKは「気が利くな」と言ってきた
まずは、ありがとうじゃないのかよって僕は思った

「ありがとう、嬉しい」って可愛らしい台詞はKの中には無いようだ
まぁ、一瞬でも嬉しそうな顔を見れたからいいかなんて思い
カラオケ、カラオケと五月蝿いKを連れて歓楽街へ向かった
向かう歓楽街へ僕には少し心配事があった
それは、昔の仲間や知り合いに会いたくなかった
理由は会えば確実に面倒事に巻き込まれる可能性があるからだ

Kは僕の心配を余所にドンドンと進んでいく
僕はKの後ろを歩く、チラチラ周りを見ながら
知り合いがいないか確認をしながら僕は歩く
昼間だから知り合いは居ないだろうと安心した瞬間に
「おや、次男さんじゃないですか?お久しぶりですね。
最近は顔をださなかっじゃなかったですか」とポン引きに
声をかけられて、Kは足を止めてコッチを見ながら
不思議そうな顔をしている
「親父さんに元気にしてますとお伝え下さい」と返事をした
ポン引きはK見ながら「そちらの娘さんは彼女さんですか?」と
聞いてきた「こんな面倒な女は彼女でもない、仕事先の上司ですよ」と返す
「次男さん、足洗ったんで?」と余計な一言を言った

ポン引きの襟首を掴んで、顔を寄せて
「これ以上余計な事は言うな、分かったな?」と伝えた
ポン引きは「すみません」と誤ってきた
襟首を離し「仕事に専念しろよ」と声を掛けて、その場を立ち去った
さぁ、面倒な事になってくるぞ、どうするか?
喫茶店の依頼の話も来てるし、僕が歓楽街に顔を出したって情報は
直ぐに親父さんの所へ行くだろう
ここはさっさとカラオケに言って、裏道を使って歓楽街から抜け出すことを
考えていたが、Kがいると裏道を使うのは少しばかり気が引けた