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返事が届かない手紙③

重いバイクを押して歩く羽目になってしまった僕。
けど、さっさと家に帰りたいから、大通りまで出て
まっすぐ行って、4つ目の角にファミレスあるからと
道順を教えたのにKは自転車押していくから
僕にもバイクを押して歩けと言う

Kは自転車、僕はバイクだ。
バイクを押して歩いた人なら理解できると思うけど
バイクを押して歩くのは物凄い疲れる
タイヤはあるけど、なんて言ったって鉄の塊だ
Kは自転車に乗ってファミレスへ向かい
僕は家に向かいバイクを置いてからファミレスで合流したほうが
明らかに合理的だと思うのに説明をしたって聞きやしない

この状態になったら聞く耳を持たないから
渋々とバイクを押して歩くことになった
Kは自転車だから暢気なもんだ
腹が減ったから早く歩けという「はいはい」と返事を返して
必死になって押して歩く

職場から普通に歩いても20分かかるかかからない時間
バイクを押して歩けば、もっと時間はかかる
何度も言うけどバイクは鉄の塊で押して歩くものではない
愚痴愚痴と言うKを無視してバイクを押して歩く

仕事で疲れていて汗をかいていて腹も減っている
そんな状態でバイクを押して歩く
途中からは愚痴も言わなくなったK
無言でバイクを押す僕
ファミレスの看板がやっと見える距離に来た
僕はKに向かい「あそこにファミレスの看板見えるだろ?そこまで先に行っててくれよ、バイクを家に置いてからファミレスに行くから」と伝えた
Kは僕に向かい「絶対に来いよ、来なかったら許さねぇからな」と
返事が帰ってきた

ここまで付き合ってやってる訳だし、家に飯があるとも思えやしない時間
「分かった、分かった、行くから待ってろよ。ヘルメットを家に置きたいから5〜10分は時間がかかるから先に入ってメニューでも決めてろよ」と
伝え一度、別れた
バイクを家の敷地内置いて玄関の鍵を開けて
自室に戻りヘルメットを置く
案の定、家族は全員眠っていて飯はない状態

汗をかいたから、麦茶をコップ1杯飲みながら
なんとなく換気扇の下でタバコを吸う。
タバコを吸い終わったから玄関へ向かい靴を履いて、ファミレスまで歩く
自宅からファミレスは歩いても5分程度の時間だ
ファミレスに到着したらKは僕が投げ渡したタバコを吸い
店内へ入らず待っていた
僕に向かって発した言葉が「遅い、早く来いよ」だった
店内に入って、座ってまってりゃいいじゃねぇかと思いながらも
「悪かったな。タバコ1本吸ってきた」と返事をしておいた

ファミレスに2人で入り、席に通されメニューとお冷を渡される
一般的なら、「何食べる?どれにしようか?」なんて会話があっても
良さそうなものだけど、ファミレスに入ってからお互いに
一言も喋ってない
喋った言葉は「決まった?」だけ、呼び出しボタンを押し
店員を呼びお互い決まったメニューを頼み、食事がくるまで
お互い無言で待っていた。