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返事の届かない手紙⑩

Kの化粧が終わり、Kの家の最寄り駅から電車に乗り
電車に数分揺られ繁華街のある駅で下車し
改札を出て、繁華街へ向かって歩きだした

Kが繁華街を見て一番最初に言った言葉は「きたねぇな」だった
少し前までは、今以上に汚かったんだけどなって思いながら
繁華街の中を歩き、行きつけにしていた喫茶店に入り

マスターに挨拶をして、タバコに火をつけて吸いながら
Kにメニューを渡して食べたいものを先に決めてもらってから
自分のメニューを決めている間に、Kはタバコに火をつけ吸い始めていた

お互いにタバコを吸いながら頼んだ料理を待ちながら会話をした
「食事が終わったら、何か見たいものでもあるのか?」
「どんな場所どんな物が売ってるのがが見たい」
「例えば?」
「服とか、コスメとか、小物とかな?」
「ん?わかった」
「あと、カラオケに行きたい」
「わかった、わかった」

そんな他愛もない会話をしていたら、注文していた料理が運ばれてきた
またもや、会話もせずに食事を勧めていく
「ここの喫茶店2階があるの?」とKが急に話しかけてきた
「ここの喫茶店には2階があるよ、けど行かないほうが良いよ」
「何で2階に行かないほうがいいの?」
「ここの2階は悪ガキ達のたまり場になってるんだよ」
「そうなんだ、何で知ってるの?」
「昔にたむろってからなぁ」
「悪ガキだったんだ?」
「まぁそれなりにだよ、2階に興味あるのか?」
「興味があるから行ってみたい」
「飯食べ終わったら上に行こうか」
食事を終えて、タバコを吸い終えてから席を立ち
マスターに久々に上の連中に顔見せしてくるわと声をかけた
「珍しいな上に行くなんて」と行っていた

少し急な階段を登り、登りきった所の左側にドアがある
ドアノブに手をかけて、ドアを開ける
ドアを開けるまで、話し声や馬鹿笑いが聞こえていたのに
一瞬にして静まる
2階の間取りは1階と違いバーカウンターがあり椅子が並んでいる
その他に6つBOX席があった

1〜2年くらい、顔を出してしなかったから
知らない顔が多くなっていた
悪ガキ共は、皆元気にこれでもかって威圧的な視線を送ってきてくれる
そんな視線を気にとめていても、意味もない
Kは少し怯えているようだった

とりわけ元気な悪ガキが
「お兄さんとお姉さんで来る場所じゃないよ、下に行きな下に」
と言ってきたが、無視をして一番奥の席に座った
新入りはバーカウンターの椅子座り、少し常連になったり顔が売れてくると
手前のBOX席へと座れるになる、顔が売れ常連になるほど奥の席に
座るのが暗黙のルールだ
一番奥のBOX席に座り、タバコに火をつけてタバコを吸う
Kはこの場の空気に飲まれているようだった

とりわけ元気な悪ガキが
「一番奥の席に座ってるんじゃねぇよ」と
威圧的な口調で言ってきた
「一番奥が好きだし、文句があるなら2階のマスターに言いな」と
返事をした
2階のマスターは1階のマスターの息子さんだ
2階のボスは息子さんになるわけだ
ボスの存在は絶対だ、来るなと言われれば二度と店には入れなくなる

とりわけ元気な悪ガキがマスターを呼んで、マスターが奥から顔だしてきた
マスターがBOX席までやってきて、僕の顔見てから
「よー、久しぶりだな、ゆっくりとして行きな。そちらさんは依頼人さん?」と声をかけてくれた
「お久しぶりです、元気な悪ガキが五月蝿いのでゆっくりとタバコも吸えないし話も出来ないから注意お願いできますか?あと、依頼人ではないですよ。バイト先の上司さんにですよ」とKに嫌味のように聞こえるように
伝えた