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返事の届かない手紙⑪

とりわけ元気な悪ガキはマスターに「アイツ何なんすか?」と聞いていた
マスターは「お前らが束になっても敵わないヤツだよ」と伝えていた
とりわけ元気な悪ガキは納得のいってない顔をしていた
マスターが続けざまに、「ほれ、ちょいと前にあった暴走族の喧嘩があったろ?誰がやられた、やられなかったりってヤツだよ、あれを話だけで解決したヤツだよ。あと、地廻りのシマを荒らして狙われていたヤツしたろ?ヤツを事務所に連れて話をして解決したヤツだよ、お前らでも聞いたことはあるだろ?下手に手を出したら、お前たちが狙われるぞ。この裏街からな」と笑いながら話をしていた
とりわけ元気な悪ガキは信じられないような顔をしていた

僕はマスターに聞きたいことが1つあった
「マスター、前田と連絡とれないんだけど、あの馬鹿何処にいるの?」
「前田はケンショー喰らってるよ」と返事があった
「あの馬鹿ケンショー喰らってんのか本当に馬鹿だなアイツ」
そんな会話をしたら
元気な悪ガキが「前田さんしってんすか?」と聞いてきた
「知ってるも何も、アイツの尻ぬぐいで何度か面倒なことになってるからな」と言ったら、元気な悪ガキは急に敬語になったのには面白かった
ちなみに前田ってヤツは正義感は強いんだけど、頭が少しどころじゃないほど残念で喧嘩っ早く、誰でも関係なく喧嘩をするアホだ
前田には喧嘩っ早いの治さないとネンショー食らうぞと何度か忠告していたのにネンショーを飛び越えてケンショーに行くとは思ってなかった

※ネンショーとは少年院、ケンショーとは少年刑務所

そんな話をしていたら
「あ、あのさ依頼人って言われたんだけど何よ?」とKが聞いてきた
「あれじゃない?DV彼氏から別れたいからとかの依頼だと思われたんじゃない?」と僕は返事をした
「あんた、悪ガキしてたって言ってたけど次元が違わすぎない?」
「そう??ちょいと前までは日常だったからよくわからないね」
「人の良さそうな顔してんのに、危ない橋渡ってたの?」
「見方によれば危ない橋かもしれないけど、筋さえ通せば問題なんて起きないよ?」
「いや、危ないでしょ!」
「まぁ〜、何度かあぶねぇって思った事は実際にあるね」なんて
笑いながら言った

Kは何故か怒っていたから、面倒くさいなって思って
「お前の実家の住所と父親の職業と家族構成当ててやるよ」と言いながら
携帯を取り出して、メールを見ながら読み上げる
「東京都〇〇区〇〇町〇〇番地〇〇丁目だろ?父親の職業は警察官で母親が専業主婦姉が1人妹が1人、んでKを合わせて5人家族だろ?」
Kはビックリしていた
「何で知ってるの?」
「あぁ、僕の仲間に調べさせたから、2日で情報が上がってきたよ」と
言った時の顔は今でも忘れられない