お外に出ると…ー清水


おはようございます。
ExtraVirginというバンドでドラムを叩いております、清水と申します。
今回は私がお話させていただきます。
何卒よろしくお願いいたします。


書を捨て町へ出よ、と敬愛する歌人は言いましたが—
寒くて、体力がなくて、物理的にできませんでした。
でも、暖かくなってきたので、たくさんお外に出ようと思い立ち…

この間は、『奴』と公園に縄跳びしに行きました。

少しだけ寒かったけど、歩いているうちに慣れたんです。
そんな気温でした。

見上げればもうすぐ夕暮れが来そうな、ちょっと哀しい水色をしていて、くすんだ緑の山々とのコントラストがより哀愁を誘いました。
そんな時間帯、石造りのベンチにて縄をカスタマイズして…
準備完了。
どこまでも続く枯葉のカーペットをずんずんと進み、開けた場所に辿り着きます。
地面はコンクリート。縄跳びにはもってこいの舞台でした。

縄を片足で踏んで伸ばし、
「大丈夫そう。」
『奴』は少年のように微笑んで、軽くその場でとん、とんとリズミカルに飛びます。
「うわーっ。うわーッ!やばいっ。やばいやばい」
表情がだんだんと緩んでいき「うわ」と「やばい」しか叫べない体になってしまいました。
『奴』の様子を見て、好奇心に駆られて私も縄を回して飛びます。
「うわーっ。うわあああ。わー」
こちらも言葉を選ぶ余裕がなくニヤニヤしながら雄叫びを上げるだけ…。
前跳びで手一杯な私に反して、『奴』は二重跳びを何回飛べるか挑戦していました。
飛ぶだけで自然と笑いがこみあげ、なかなか回数が飛べません。

でもとっても愉快でした。
ライブやっての「楽しい」とか映像を見ての「面白い」とは違う感覚で、
昔を思い出した記憶や、あの頃との体力・感覚のギャップ、「飛び跳ねる」という行為の新鮮さが一気に押し寄せた感情がキャパオーバーしてぶっ壊れて泣きそうにまでなりました。

十何年ぶりかの縄跳びにキャッキャしているところを、通りすがりのキット縄跳びルーキーであろう少年が眉間に皺を寄せてジッと見つめてきます。父親に手を引かれ公園の奥へと消えていき…、彼には私たちがどう見えたのだろう。
なぜこんなことをやっているのか?なんで飛んでいるのか?
そんなこと思っていたのでしょうか?
それは私たちにもわからないのです。
衝動で、「やりたい」と思ってやり始めたから…。





1時間もしないうちに疲れ果て、その場に座りこみます。
いつの間にか少しだけ日が暮れ始めていました。
私たちは体の限界を感じ、縄を縛って
「これ続けようね」
と縄跳びを継続することを約束しました。
いい運動だし、きっと持久力に繋がるから、ライブでも活かせるはず。
そんなことを期待して約束してけど、
本当はきっと、また縄跳びで楽しくなりたいだけなんでしょうね。

その後、くすんだ茶色と緑の公園を一周しました。
危険な滑り台に日和って滑らず、でっかい陸上競技場をぼーっと眺め、帰路につきます。
私たちは無言…。
サウナから出てコーヒー牛乳を飲んでいる時みたいな感覚で、幸福指数値が非常に高かったと言える疲れ方です。

お外に出ることはとっても良い刺激です。
匂いとか、風の感覚とか…、また、外に出た時にあの時と同じ感覚と思うことで、記憶が厚くなり、刺激を促し人生を豊かになっていくものかと思ってます。
だから、なるべく外に出て、色々発見したり動いたりして頭使って、思いきり笑って刺激を受けようと、縄跳びを飛んだ時に決めたのです。
もしもおすすめの公園とか、お散歩の場所とか知っていたらこっそり教えてくださると嬉しいです。





そんなこんなで、
感情に浸りながらちょっと良いとんかつ食べて、さっきまでの記憶を肴に酒を飲んで、素敵な夕暮れを過ごしたことに満足して、久しぶりにぐっすりと眠ることができるのでした。
翌々日の筋肉痛も知らず………

清水
1998.05うまれ
ExtraVirgin Dr/Cho

https://twitter.com/extravirgin102

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