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季語六角成分図「実紫」

俳句ポスト 第250回 2020年9月3日週の兼題。

季語六角成分図「実紫」より。
(視覚)沢山成る紫の丸い実(白から紫へ変化)。葉の色は薄め。枯れ始めた野山、落葉樹林。晩秋の淡い日光。
(嗅覚)冬に向かう野山の匂い。
(聴覚)葉ずれ、落葉のカサカサ。
(触覚)つるづる、ころころ。手に収まる小ささ。
(味覚)なし。
(連想力)高貴さ、雅さ、上品。源氏物語。粒、雫、凝縮。
★傍題である実紫と見出し語である紫式部の印象の違いは気を付けたいところです。実紫はより実にピントが合っており、視野が近く、五音で使いやすいです。紫式部はやや樹全体を引いて眺めている感じで、源氏物語のイメージが浮かびます。あえて実紫という傍題をお題にしたのは、実をじっくり観察せよという組長からの宿題ですね。なお、紫式部で画像検索して出てくるのは結構コムラサキ(小式部)が混じっているので気をつけたいところ。
★実際に山の中で紫式部の実を見たことがありますが、木々が葉を落としはじめ、花もなく枯色が増えてくる山で、かの実ははっとするほど目立ちます。あの野山の風情が本意だと個人的には思っています。ただし、庭木として詠んだ例句も多くあります(庭木としてよく使われるコムラサキと混同している可能性もあります)。

季語六角成分図に関する注意事項


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