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季語六角成分図「春暖」

俳句ポスト 第239回 2020年3月5日週の兼題。

「春暖」季語六角成分図より。
(視覚)春の光景、日差しや山、川、野、花や草、鳥や動物の目ざめ、などどんどん広がります。
(嗅覚)草、土、水のゆるむ匂い、生き物の匂い。
(聴覚)そよ風、せせらぎ、鳥のさえずり。
(触覚)暖かさにゆるむ身体や肌。
(味覚)わずかな空気の甘さ。
(連想力)以下参照。
★突出しているのは連想力。そもそも時候の季語はあまり実際の感覚を伴いません。春暖は触覚の実感はありますが、視覚、聴覚、嗅覚などは連想力の産物で、つまり具体的な感覚を足す必要があるようです。一方でかなり広範にモノを取り合わせられる季語で、いかに独創的な視点をもつか、どこに焦点を絞るかが難しいです。また、季語としては気候的な暖かさのことで、心理的なあたたかさを重ねる際には注意する必要があります。
★2015年4月2日の兼題として「暖か」が既出であり、これは春暖という季語を突き詰めろという組長からの指令と受け止めました。「暖か」と「春暖」を比べると、形容(動)詞の語幹⇔名詞、発音がおおらか(あ行の音)⇔やや硬く鋭い(濁音や'ン'の音)、和語っぽい⇔漢語っぽい、などの違いがあります。後者の「春」の一文字の効果も気になるところ。しかし、これをどう句作に活かすべきか…「春暖の~」の形が使いやすい気がしていますがどうだろう…。

季語六角成分図に関する注意事項


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