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『ノイズ』のはなし

2022/11/12(土) 14:00回
劇団ストレイシープスさんの『ノイズ』を観てきました。

ストレイシープスさんのお芝居を観劇するのは今回が初めて。
今まで、存じ上げてはいたのですが、ご縁がなく観ることがありませんでした。今回、役者さんの一人からDMで公演の宣伝をいただいて、観に行きました。直接かかわりのない方にアプローチできるのがSNSのいいところですよね。人によっては迷惑がる人もいるかもしれないですが、こういう草の根運動的な集客活動は本当に大事だと思いました。積極的な公演の宣伝、素晴らしいです。見習いたい。

さて、本題に入りましょうね。作品の感想です。
(すべて私個人の主観です。演出の意図を確認して発言しているものではありません。そう受け取った人もいるんだなぁ、くらいの気持ちで読んでもらえたら嬉しいです。)


演出について

公演後に演出の山田さんにもご挨拶できてとっても嬉しかったです。
その時にご本人もおっしゃっていたのですが、静岡では珍しいタイプの、アングラ系…っていうんですかね?小劇場的な演出でした。
小説を読むようにストーリーをストレートに伝えるのではなく、観ている側がストーリーやキャラクター以外の要素から受け取り解釈する必要がある。そんな感じ。

(役者が4名なのでちょっと言葉が違うかもしれないですが、)「群像」って感じのダンスから始まり、淡々とした長文の語りが入って、あぁ、多分これ好きな舞台始まったな…って思いました。

照明、使い方がめちゃくちゃ綺麗でした。
衣装も白と黒ですごく見やすかったし、薄明りの中に役者が入ると、本当に「現れる」って感じでぼんやりと姿が浮かぶのが、すごく好きでした。
舞台装置も幻想的で綺麗だったなぁ。

役者の配置とか、舞台の空間の使い方が面白かったです。
同じ構図で繰り返されるシーン、最初に遊園地が3回繰り返されたところで、ここにたくさん意味が込められているんだろうなぁ、とワクワクしました。

役者について

メイク素敵でした。あと、基礎練習をしっかりやっていらっしゃるんだろうな、という発声、活舌、姿勢。基本的なところに細部まで気を遣っていらっしゃる感じがしました。大事。

以下、役者さんとその役についての感想です。

小林玲音さん

堂々と舞台の真ん中に立っているの、格好良かったです。呼吸とか、嚥下音とか、めちゃくちゃリアルでした。そこも含めて演出なんだろうなあと思いつつ、でもそれを体現できるってすごいなあと思いながら見てました。
演出意図の外かもしれないのですが、同じシーンを人を替えて繰り返す演出で相手のお芝居によって少しずつリアクションが変わっていて、現実軸の彼はどれだったんだろうなぁ、と思いながら眺めました。ちゃんと人の芝居を受けてお芝居をされている役者さんでした。

ストレンジシードのスタッフの際に、当時高校生だった小林さんと少しお喋りさせてもらったことがあるのですが、圧倒的成長を感じました。少年が青年になってた。びっくりした。(もう舞台の感想でも何でもない。)

京極唯さん

公演のDMをくれた役者さんです。誘ってくれてありがとう。良いものを観られました。

声の使い方がとても巧みでしたね。徐々に変わっていく声色、良い。男性的な表現もできるんだろうなぁ。
一番最初にかすみさんを見た時の印象は、かなり怪しげに見えたのですが、舞台が終わりに向かいネタばらしが進むにつれて、見え方が全然変わって大変面白かったです。人間性が見えてくる感じ。こっちが現実か…もう一回見たいな…ってなりました。首絞めるシーンもすごい気迫でした。ショッキングな演出のはずなんですが、なんというか、綺麗でした。

東海林晃介さん

この間サンリミットさんの『夏、駆け抜けてビー玉』(タイトル合ってるか…?)で初めてお芝居を観ました。今回が2回目。ご本人にもお伝えしましたが、すごく”会話”が上手で、コミカルもすごく軽やかにこなす、わかりやすく見やすいお芝居をする方だなあ、と思っていたのですが、今回は雰囲気がかなり違ってました。
感情、ではない、カチッとしたお芝居もハマりますね。動きが少ない役の方が自然体で見ていられる感じまでありました。声の表現が上手だからかな?

東海林さんと水族館に行った時の主人公が一番距離が近くて親密そうだったので、仲良いんだろうな(笑)って思いました。可愛かった。 

秋山実優さん

記憶が正しければ、発声したのは実際に主人公が体験した、あの出会いの一回だけ。それ以外のセリフはなし、だったかな。いい演出だな…。観客も聞いたはずの声が思い出せなくなるんですよね。もう見終わったときには彼女の声は思い出せなくて、主人公の彼と同じ状況を体感する。すごい。
で、その演出を可能にするのは、役者さんの表情や身体表現なんですよね。セリフがなくても成立する。すごい。
バレエ的で綺麗な、全身を使うダンスをされていました。ダンス疎すぎて、演出的にダンスで何かを表現していたのであれば、それは私には読み取れなかったので、ぜひ何か掴んだ方がいたら解説してほしいです。でも、ずっと見てられるな、と思いました。白い衣装が映えてた…。

まとめる

とっ散らかり始めましたが、鮮度が高いうちにoutputできてよかったです。
書けば書くほどもう一回見たくなってきちゃいました。
でも連日足を運ぶのは難しいので、感想を書くにとどめておきます。

とてもよい観劇体験でした。シェイクスピアとか宮沢賢治とかを齧っていた学生時代が懐かしくなりました。
山田さん演出の舞台に一度立ってみたいな、と少し思ったりしました。
(技量とか相性とかはまた別のお話で…)

ストレイシープスさん、素敵な時間をありがとうございました。
残り2公演、応援しています。

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