そういえば、あの食費はどこから捻出されてるの?

「世界を変える戦い」も、もう終盤。3月の23日を過ぎました。

3月30日に「ボランティアの集い」を企画しているので、それが終われば、事実上の終了です。3月31日は完全にフリーの日としてあけてありました。

その日、「何かがおかしいな?」と青年は思いました。

当初の予定だと、その日はひさしぶりに丸1日、自由にできるはずでした。ところが、板橋区のボランティア活動があって、あの人はそこに参加するというのです。なので、青年もついていくコトにしました。

けれども、夕方まであるボランティアの内、あの人は午前中で切り上げて「何か予定があるので帰る」というのです。

仕方がないので、青年は彼女を駅まで送り、自分は残りの時間もボランティアに参加することに決めました。

駅まで歩いている途中、あの人はこんな風なコトを言い始めます。

「浜田君も来ればよかったのにね。浜田君なら、きっとこの活動を楽しんで、盛り上げてくれたはずだから」

青年は心の中で思います。

「あの浜田君が?家に来ても、ボランティアでも寝てばっかりなのに?」

なので、「浜田君は寝てばっかりだから、このボランティアに来ても役に立たなかったと思うよ。彼は君が思ってるような人じゃないよ」と言おうと思いました。

その言葉がノドから出かかって、でも、やめました。

なぜだったんでしょう?陰で悪口を言うような行為がいけないように思えたからかもしれません。この頃にはもう、自由に思っているコトを言えなくなっていたからかも?

駅に着くと、彼女は「お金が足りない」と言い始めました。なので、青年は電車賃ピッタリの金額を渡しました。

そうして、ふたりが別れてから、青年はふと考えました。

「アレ?そういえば、いつも料理を作ってくれているけど、その食費はどこから出ているのだろう?」

あまりにも忙し過ぎました。忙し過ぎて、そこまで頭が回りませんでした。ここに来てようやく、青年はそのコトに気づいたのです。

「確か、最初は『家にある冷蔵庫から食材を持ってきてる』みたいなコトを言ってたような。でも、そんな行為が長続きするだろうか?もしかして、彼女は毎日自分のお金で食材を購入して、料理を作ってくれていたのではないだろうか?」

アレだけ優秀な「ディケンズの分解メス」も、発想がいたらなければ、なんの役にも立ちません。逆を言えば、ほんのちょっとでも考えがそちらの方向に向けば、一瞬にして裏にある行為を解析してしまえるのです。

「おそらく、彼女は自分のおこづかいを使って、毎日のように食事を作ってくれていたんだ。だから、電車賃も足りなくなってしまったんだ!」

あの人の性格すれば、充分に考えられる可能性です。愛する者のためにならば、最大限に自分を犠牲にできる人です。きっと、お金に困っても自分から言い出すコトはできないでしょう。

お金を渡さないと!家に帰ったら、お金を用意しておこう!3万円くらいでいいかな?」と青年は心の中で決めました。


その日は、残りの時間をボランティア活動に従事して終えました。小学生以来、ひさしぶりに「ハンカチ落とし」もやりました。

帰りは、ボランティアのメンバーで近所のファミレス「ジョナサン」に寄りましたが、あの人のいない空間は何か味気ないものがありました。

青年は再び心にポッカリと穴があいてしまうのを感じました。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。