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「未来を先読みする男」と「信じられないレベルで目の前を見る女性」

青年が「理想の女性」と思い込んでしまった人は、単純な性格ではありませんでした。

いえ、ある意味で「誰よりもシンプルな生き方をしていた」とも言えます。


青年の特殊能力。そして、基本的な性格は「先読み」

「与えられた条件や手持ちの情報から、ありとあらゆる可能性を分析し、未来を予測する能力」です(この能力は、後に自ら「ディケンズの分解メス」と名づけられます)

それに対して、彼女の基本的な性格は「信じられないレベルで目の前を見るコト」なのです。

たとえば、今おつき合いしている男性がいるとするでしょ?この人はこの人で大事な人なんです。これは揺るぎない事実。

でも、それと同時に、長時間同じ空間で生活している人がいると、そっちの人も好きになっちゃうんです。これも自分の真実の姿であり、嘘偽りのない想いなのです。

そして、そこに矛盾を感じない!その瞬間に一番好きな人のために最大限尽くしてしまうという特性がありました。

小さな子供を抱きしめている時に、聖母のような神々しいオーラを発していたのも、この能力によるもの。その瞬間、「目の前にいる子を我が子のごとく愛してしまっている」のです。

何もかもがこの調子!そして、彼女の中の世界では全く矛盾は存在していません。でも、端から見てると、矛盾だらけなのです。

特に男は誰しも「この人、オレのコト好きなのかな~?」みたいに勘違いしてしまいます。いや、勘違いですらないのかも?だって、その瞬間は真実の想いなのですから。


さらにやっかいなのは「心の声がもれてしまうコト」なのです。本人は隠しているつもりでも、あまりにも目の前に没頭し過ぎてしまうがために、自然に「心の底の声(深層心理)」が表に出てしまうのです。

たとえば、頭の中で「この人のコトなんて、なんとも思ってないんだからね!そもそも私にはすでに恋人がいるんだから!」と考えていたとしても、目の前に理想の男性とか好感度の高い人が現れると、ついつい恋人みたいに甘えちゃうのです。

声に出して「○○さ~ん♪」「やっだ~♪」みたいに、あまったる~い声が出ちゃってるんです!オマケに、微妙な力加減でボディタッチしてきたり、キュ~っと服を引っ張ってきたりされると、たまりません!

これをやられちゃうと、誰でもイチコロなんです。恋愛という名の戦闘を無数にこなしてきた歴戦の勇者ならいざ知らず、経験値ゼロに等しい純朴な文学青年なんかだと完全にまいっちゃうんです!

しかも、本人は罪悪感のカケラも持ち合わせていないので、余計にやっかいな事態に陥っていきます。気づいてないのは本人だけで、周りの人たちはみんな「あの人、誰のコトを好きなのかバレバレだよね…」ってなってしまいます。

特に子供はそういう想いに敏感なので、一瞬にして悟ってしまいます。その上、遠慮がないので「2人はつき合ってんの?」みたいに容赦なくダイレクトに質問してくるわけです。

普通の人なら、ここで頭を冷静に切り替えて「残念だけど違うのよ。私には別におつき合いしてる人がいるから」みたいに答えられるのですが、心の声がダダ漏れなので「そうよ~♪」なんてナチュラルに答えてしまうのでした。


役者には2種類いるってご存知ですか?

1種類目は「頭で演技するタイプ」

このタイプは与えられた役を一生懸命に分析し、自分をその役に合わせようと努力と根性で積み重ねていき、徐々に役に近づけていきます。いわば「役作り」というヤツです。

もう1種類は「完全に登場人物に成り切るタイプ」

努力なんて必要ありません。だって、一瞬にしてその役を憑依させ別の人生に没頭できるのですから。

彼女は、明らかに後者。それも、とんでもないレベルの女優なのです!

その能力を「それと知らずに」現実世界で使用してしまっているのでした。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。