100年の時を超えて繰り返す恋(「2121 ~100年後の未来~」 第25話)
桃香様は、社会人として働き始めてからも、男の人とつき合ったり別れたりを繰り返しました。相変わらずよくモテたので、望みさえすれば相手が途切れることはなかったのです。
そんな桃香様が最後にたどり着いたのが、しがない画家の青年。ろくすっぽお金を稼ぐこともなく、ひたすら自分の作品制作に没頭しています。
それも、デジタル大全盛期の今どき、本物の絵の具と筆を使い続けているのです。
桃香様は100年前の恋のお話を思い出していました。
「桃香おばあちゃんも、こんな人に恋をした。そして、結婚した。ナンジャおじいちゃんは、私が生まれた時にはすでにこの世にいなかったけれど。いつも外の世界を飛び回ってばかりで全然家に居つかない、とんでもなくいい加減な人だったと聞く」
「それでも、桃香おばあちゃんは幸せだったのよね。だって、ナンジャおじいちゃんの話をする時は、いつも笑顔だったもの。どんなに言葉は厳しくても…」
「もしかしたら、私もこの人と、この人と一生を添い遂げるのだろうか…?」
桃香様は、青年が懸命に絵を描き続ける姿を眺めながら、そう思うのでした。
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