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桃香おばあちゃんの施設訪問(「2121 ~100年後の未来~」 第14話)

桃香おばあちゃんには、親友がいました。大モモ教のトップであった頃、ずっとかたわらにいて支え続けてくれた大事な人でした。

学校では共に学んだ友人であり、ゾンビウイルスに襲われた時には一緒に戦ってくれた戦友でもありました。


そんな友人も命が尽きようとしています。

友人「桃香様はいいわね。お金持ちの家に生まれて。私なんて貧乏な家庭に生まれたから、最後までこんなよ」

桃香おばあちゃん「だから、私のうちに来なさいって言ったのに…」

友人「そこまでお世話になるわけにわいかないわ。この施設だって、100年前に比べれば随分マシになったのだもの」

桃香おばあちゃん「昔は、高齢者介護の施設に入るのも大変だったものねぇ」

友人「そうそう。高額のお金を払うか、そうでなければ何百人も順番待ちで。それも重度の人から順番だったから。入ったと思ったら、もうお迎えが来て…」

桃香おばあちゃん「あなた、もうここに来て10年になるかしら?」

友人「そうね。もうそんなになるかな。よく生きた方よ」

桃香おばあちゃん「そう、よく生きたわ」

友人「桃香様とはいろいろあったわね。楽しかった。けど、そろそろ私も順番が来るわね…」

桃香おばあちゃん「そんなコト言わないで…」


介護施設は、100年前より設備がよくなったとは言え、何人もが同室に暮らす大部屋。


未来の介護施設では、便利な発明がいくつも生まれています。

たとえば、「介護用のロボット」だとか「地上数センチだけ空中に浮く移動用のストレッチャー」だとか。でも、これが100年後の技術の限界でした。相変わらず介護は人の手で行われています。

ロボットが何もかもやってくれるわけではありません。あくまで、人間の手助けをする補助器具に過ぎないのです。


桃香おばあちゃんの友人は、ここで最期を迎えるコトになります。

noteの世界で輝いている才能ある人たちや一生懸命努力している人たちに再分配します。