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原作レイプ(第7回ヘイヨーさんのオタク講座)

前回、「笑傲江湖(しょうごうこうこ)」について書いたんですけど…

いろいろ調べてみたら、ありましたよ!映像化されてて、日本でも見れる作品が!アマゾンプライムビデオ置いてありました!

その名も「笑傲江湖 レジェンド・オブ・スウォーズマン」

ちなみに、「スウォーズマン」ってのが「笑傲江湖」の映像化の際によくつけられるタイトルです(一番最初の映画化の時も、このタイトルがつけられてました)

で、ヘイヨーさん、この作品を軽く見てみたので、その感想を踏まえつつ「原作レイプ」について書いていこうと思います。


原作レイプとは何か?

「原作レイプ」って何か知ってます?

たとえば、マンガを映像化する時に、原作と全然違うストーリーで作って作品をダメにしちゃうことなんですよ。

当然、ファンからはボコボコに叩かれます。原作者も悲しみます。

ところが、これが良い方向に働くこともあるんですよ。たとえば、「確かに原作と全然違うよね。でも、これはこれでおもしろいよね」みたいな評価になるわけです。この場合は成功ですね。

原作者の心構えとしても「あの作品は嫁に出したんだから、嫁ぎ先で好きにすればいいよ」くらいおおらかな気持ちでいた方が精神衛生上よいかもしれません。


「笑傲江湖 レジェンド・オブ・スウォーズマン」

で、それを踏まえた上でこの作品ですよ。

はっきり言うと、かなりストーリーが改変されてます。なので、初めて「笑傲江湖」に触れる人には、あまりオススメできないかも?

ただし、あの長い原作を今から読むことを考えたら、まずは映像作品で軽く触れてみるというのも1つの手でしょう。


で、どの辺が改変されているかと言うと…

たとえば、「藍鳳凰(らんほうほう)」ってキャラが登場するんですよ。五毒教っていう教団の女性教主です。簡単に言うと、毒使いです。アメコミのポイズンアイビーみたいなもんですね。

このキャラ、原作ではそんなに活躍しなかったんです。ところが、このドラマでは序盤からガッツリ出てきます。

さらに東方不敗!東方不敗も、実は原作ではちょっとしか出てこないんです。ムチャクチャ強いのに!歴史上でもほぼ最強キャラなのに、地下に引きこもって暮らしてるんですよ。

でも、このドラマでは序盤からガンガン登場します。しかも、結構弱い。すぐピンチになります!いきなり騙されて殺されかけます。

で、この2人が結婚しかけるんですよ。結婚式をあげちゃうんです(実際には結婚しないんですけど)

ドラゴンボールでたとえるなら、ランチさんとセルが結婚式を挙げるようなもんです。これでどれぐらいムチャクチャかわかってもらえると思います。


じゃあ、「このドラマ、つまらないのか?」といったら、そうでもなくて。結構おもしろいんですよ!

ストーリーや構成はかなり変えてあるんですけど、キャラを変えて原作通りのシーンも出てきたりして、これはこれで楽しめます♪

なので、笑傲江湖をしゃぶりつくして、「同じようなストーリーで、もう一度映像化してもしょうがないよね?」って思ってる人にはオススメできます!


「デビルマン」

デビルマンのアニメって見たことあります?昔のヤツ!

原作はかなり硬派なマンガなんですけど、アニメ版はギャグ要素強めになってます。マンガとは全然違う感じですよ。ある意味、おもしろいんですけどね。でも、これは激怒されてもしょうがないと思いますwオープニングは最高なんですけど。

ちなみに最近になって作られた「DEVILMAN crybaby」ってのがあって。これはかなりオススメですよ!基本的なストーリーは原作にのっとっていて、さらに原作の不足部分を補完したエピソードなどもあるので、非常に見やすくなっています!見るなら、こっちを見ましょう!


「CASSHERN」

「新造人間キャシャーン」の実写化映画です。これ、公開当時メタメタに叩かれたんですよ。でも、同時に絶賛もされました。つまり、賛否両論だったんです(ちなみに、ヘイヨーさんは絶賛派でした!)

監督の紀里谷和明さんが原作のアニメと全然違う作りにしちゃったんです。世界観から何から全く変えちゃったっていう!完全に別物ですよ!フレンダーも変形しないし。

それと、この映画、1回見ただけだと意味がわかんないんですよ。何回も見ないと理解できないように作ってあるんです。わざと!そこら辺が、初見の人には不評な原因なのでしょう。

逆を言えば、非常に歯ごたえのある作品です。いろいろ考察しながら見ると、おもしろさが倍増します!あと、音楽や映像もいいし!(映像はクセがあるので、これまた人によって評価がわかれるかも?)

その辺のおもしろさがわかってくると、「原作とは全然違うね。でも、いい作品だよね!」っていう評価に変わってくると思います。


「羅生門」

黒澤明監督の「羅生門」って言う映画があるんですけど。これ、タイトル詐欺で。実は半分「籔の中」なんですよ。どっちも芥川龍之介原作の小説なんですけど。

でも、よくできてるんですよ!タイトル詐欺ではあるんだけど、非常によくできた作品なんです!そういう意味では、原作レイプってのとはちょっと違いますね。

実は、最初に紹介した「笑傲江湖 レジェンド・オブ・スウォーズマン」も、この方式が取られていて…

「笑傲江湖」っていうよりも、作者の金庸作品のいいとこどりみたいな作りになっているのです。金庸先生の書いた小説のいろんなストーリーや設定があちこちに散りばめられていて、「ああ、そこまで勉強してるんだ!よく知ってるな~」って感心するレベルですよ!

ちなみ、芥川龍之介の「藪の中」っていう小説は、アンブローズ・ビアスの「月明かりの道」に影響を受けたとされています(両方読んだ人ならわかると思いますが、構成がそっくりです!ただ、「月明かりの道」の方は矛盾でもなんでもなくて、一読すれば「あ、なるほど!」って納得できる作りになっています)


じゃあ、小説やマンガを映像化する時、どうすればいいの?

結局のところ、何をやっても文句言われるんです。

原作通り映像化すると「なんだ。また、まんま映像化しちゃったんだ。これだったら原作読めばいいよね。意味ないよね」って言われちゃうし。

原作と全然違うオリジナルストーリーでやると「なんで改変しちゃうんだよ!監督も脚本家も何もわかってないよ!これじゃあ、原作レイプだよ!」って文句言われちゃうし。

どっちを選んでも文句言う人が出てくるので、どうしようもないっていう…

なので、好き勝手やればいいんですよ。ただし、そこに愛がないとダメですよ。愛が!愛もなく適当に作っちゃうとそれこそ原作レイプになっちゃいます。

たっぷりの愛を込めて作って、それで文句言われるようだったら、それはしょうがないですよ。諦めるしかないです。また次の作品でチャレンジしましょう!

それと、できれば見る方も、あんまり文句ばっかり言わずに愛を持ってあたたかい目で見守ってあげてください♪

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